アウェイでのバルセロナ戦。厳しい相手が続く連戦も半ば。ここは踏ん張りたい。
■マドリーの先発メンバー
GK:カシージャス
DF:サルガド、メッツェルダー、カンナバーロ、セルヒオ・ラモス
FW:ラウール、イグアイン
35分:スナイデル→パランカ、72分:グティ→ハビ・ガルシア、77分:イグアイン→ファン・デル・ファールト
メンバーが揃わず、一番の問題だった最終ラインは、セルヒオ・ラモスが左に入る形に。メッシのサイドに置くことにしたが、急造の感は否めない。
■バルセロナの先発メンバー
GK:ビクトル・バルデス
MF:トゥーレ;シャビ、グジョンセン
FW:メッシ、エトー、アンリ
64分:グジョンセン→ブスケッツ、89分:エトー→フレブ、90分:シャビ→ケイタ
アウベスとメッシの対処は当然だが、前節ハットトリックを決めたアンリも警戒が必要。
■プラン通り
マドリーの方針は明確。退いてスペースを埋め、カウンターを狙うこと。前線に残るのは2トップのうちどちらか(主にイグアイン)で、ボールを奪った後の狙い目はそこかドレンテ。
マルケスからいいボールが供給されるのを阻止するため、できるだけプジョルとアビダルにボールを持たせ、いい位置でのボール奪取を狙うが、序盤は完全にバルセロナペース。マドリー左サイドからの攻撃は数的優位を作って止めに行かないと怖い。
ボールの支配率はバルセロナが7割近く、20分過ぎまではカウンターの機会すら見いだせなかった。
25分あたりからマドリーも慣れてきて、ドレンテの決定的場面を作るなど、カウンターからチャンスを作れるようになった。
ディフェンスは集中していて、体を投げ出してシュートを止めることが何度もあった。退いているため、ゴール前での場面が増える分、一人一人最後まで集中することで跳ね返していた。
問題はスナイデルの負傷。無理をさせて出場させたためか、35分での交替を余儀なくされた。代わって入ったのはカスティージャのパランカ。クラシコでのトップチームデビューとなった。
そのパランカは右サイドでなかなかのプレーを見せた。押し上げがなく、フォローが期待できないなか、アビダルとの1対1に何度もトライ、突破することもあった。
バルセロナが攻め続け、マドリーがしのぐ展開のまま、前半終了。ボール支配率ではバルセロナが圧倒していたが、その実30分過ぎからは焦りが出てきたようだった。ドリブルで仕掛けることが多く、時間がかかったところをマドリーがボールを奪うシーンがかなりあった。
この展開でいえば、退いてまずは失点を防ごうとするマドリーの方針が成功している。バルセロナは早く先制点が欲しかったところだろう。
■ついに・・・
後半になってマドリーは前半より若干ボールを保持できるようになったが、それは、反面スペースができやすいということでもある。
前半のように単純にプレーするのではなく、繋ぐ意識が出てきたのはいいことだが、悪い奪われ方で一気の攻めを受けやすくなってしまった。
それでも、この試合でのゴール前での守備の集中力は評価するに値する。まずは戻り、ボールに食らいつく。これを徹底してできていたので、バルセロナも攻めあぐねた。
PKをストップした時は、守りながらもペースを握ったかに思われたのだが・・・
グティは攻撃での持ち味を発揮できなかったが、チームの方針に従って守備に奔走していた。ハビ・ガルシアを入れて運動量を回復させ、守備の意識を再確認させたが、コーナーからエトーが最後はつめてついに均衡が破れた。
80分過ぎまで守ってきたマドリーが、ここから反転攻勢に出ることは難しく、逆にカウンターを受けて追加点を奪われ万事休す。
戦前の予想を覆す結果を出すことはできなかった。
■もろもろ
「守って速攻」という方針を監督が出して選手がそのプランを実践した、という点では、この試合はポジティブにとらえることができる。80分まではそのプラン通り、ドレンテの1対1が決まっていれば最高の状況となっていたのだから。
勢いの差もあり、普段のカンプノウでのクラシコよりもバルセロナが攻める時間が長く、マドリーは見てくれのいいフットボールはできなかったけれど、今は理念に殉ずるよりも結果を求めたい状況だから、(結果は伴わなかったけれど)監督の考え方は正しかったと思う。
ここ一番で最高の集中力を見せた選手たちのがんばりも正当に評価したい。
そしてトップチームでデビューしたパランカについても。
ラウールとのワンツーで抜け出す場面もあり、最初の試合(しかもクラシコ)にしては上出来だった。今後も期待できる選手だ。サイドで力を発揮できる選手が今は少ないだけに、積極的に使ってもいいのではないだろうか。
首位バルセロナとの勝ち点差は12。諦めるには早すぎるが、開き直っていくことも必要だ。スナイデル、カンナバーロが負傷し、次節のバレンシア戦ではセルヒオ・ラモスが出場停止と、相変わらず苦しいが、思い切った策で乗り切ってほしい。