アブダビで開催された今シーズンのCWCは、マドリーが大会初の連覇を達成した。
かつてより南米勢の力が弱まり、CL優勝クラブの優勝はほぼ当然となっているので、結果そのものに特に強い感慨は沸かないのが率直なところ。
開催地によって変動はあるものの、長距離の移動を強いられることから、CL優勝クラブにとって、その翌シーズンにコンディション低下をもたらす「罰ゲーム」的な扱いにさえなっている。
優勝は必須事項で、それとともに大きな問題なく大会を終えることがとにかく大事なのだ。
アルジャジーラ戦はメンバーを落としたこと以上に油断が見られ、一時は先制されることに。主審によるVAR判定なども相まって、混乱した印象の試合となった。
グレミオ戦ではフルメンバーとなり、試合全体としては完全にマドリーが支配した。生まれたのはロナウドのフリーキックによるゴールのみだったものの、グレミオに良い時間帯を作らせず、チャンスらしいチャンスもないままに90分を終えたことは良かった。
アルジャジーラ戦はもっとゴールが入っても良かったし、決勝でも積極的にいけば華々しい試合になったかもしれないが、とにかく無理せずこの遠征を終えることがシーズンにとっては重要なので、こうして2試合をのらりくらり終えられたということで良しとすべきだろう、
世界中で放映される大会にあって、マドリディスタが増えるような魅力を出すことはできなかったが、やむを得まい。
大会の振り返りとして、いくつかポイントを拾って簡単にまとめておく。
■ベイル復帰
2試合とも途中出場でベイルが帰ってきた。出場時間は短いながらも、ミッドウィーク、週末と連続してピッチに立てたこと自体が良いニュース。
そしてアルジャジーラ戦では大事な勝ち越しゴールも挙げた。
こういう場面でボールが巡ってきてゴールを挙げられるということで、まだ彼の運は尽きていないように思われ、チームの祝福の仕方を見ても、シーズン後半にこれまでの不在を挽回するチャンスがありそうな予感。
決勝ではスペースが出来た左サイドをよく走っていたし、彼にはクロスの選択肢があるのが良い。左足での速いクロスは他のプレーヤーにはない特長で、中央のロナウドもわかって動いている。途中出場でこういうプレーができれば、負傷さえ再発しなければ良い感触をわりと早い段階で掴めるだろう。
■ロナウド、大会のトップスコアラーに
ロナウドは決勝のゴールでCWCで最もゴールを挙げたプレーヤーとなった。
不調、衰えと言われながらも、こういうところで決めてしまうのが彼らしい。
フリーキックのゴールも、壁を越えたわけではなく、僅かに割れた隙間を抜けてのもの。CLボルフスブルク戦でのフリーキックのように、最高のキックではなくても、”そこ”にボールが吸い込まれていくというのが、何とも言えない。
こういう試合で結果を出してしまえるところを見ると、まだまだやれそうだ。
2試合を通してモドリッチのプレーは群を抜いていた。
ボールを失わないし、運んでシュートも出来る。プレーの判断が早く、それを実行する高い技術があってのプレーで、チームを支えてくれた。
彼がいるから、イスコが高い位置でのプレーに専念できるというメリットもある。決勝ではイスコが組み立てに降りてくるよりも前線に近いところでプレーできていた。
ゴールに結びつくプレーこそ、彼にやってほしい仕事なので、モドリッチの活躍でそれが下支えされれば何より。
このレベルのプレーを週2回続けていくのは、年齢的にも難しい。そこでモドリッチと同じような仕事が担えるコバチッチの重要性も増しそうだ。
コバチッチは、途中出場での登場となったものの、中盤の低いエリアでのプレーには安定感があった。終盤で陣形が乱れた時は一気に持ち上がることもでき、汎用性が非常に高い。
彼の復帰で、質をあまり下げずにローテーションできるようになればありがたい。
その先に、中盤の序列の変化が見えてくれば面白い。
■怪我なし、出場停止もなし
新たな負傷者を出すことなく終えられたことが一番の収穫。
決勝で退場となると、次の試合であるバルセロナ戦でその出場停止を消化する規定になっていたので、その点も心配だったが、そうしたこともなかった。
負傷者が帰って来て、戦力としてはようやく落ち着きつつあるので、ここで迎える大きな試合で選択肢が狭まることがないのは嬉しい。
誰かがいれば、と悔やむようなことなく、首位のバルセロナに挑戦できることとなった。