レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

世代交代は難しい

バルセロナリバプールに敗れ、スペイン勢のCLは終わった。

マドリーが早々に脱落し、アトレティコもペースを上げられず、その他のクラブも対抗馬足り得なかったため、リーガは確保できることが早い時期に確定的となっていて、CLも狙えるシーズンだったのだが、決勝にたどり着くことができなかった。

試合内容やバルセロナの詳しい状況について書くことは、ずっと彼らを見てきた方にお任せするとして、ここではできるだけマドリーにひきつけた内容で書いてみたい。

 バルセロナは主力に多くベテランを抱えている。

イニエスタやシャビの退団は割とうまく乗り切ったように見え、少なくともリーガでは安定した結果を出していると言える(その過程においてプレースタイルがポゼッションによらないものに変化していることに批判的な方も少なからずいるだろうが、この点は措いておく)が、ピケ、スアレスラキティッチといった面々は30歳代であり、なによりメッシは次の誕生日で32歳となる。数年のうちに間違いなくメッシ後を構築する大きな世代交代の必要に迫られることになる。

そうした状況下で、チャンスがあったCLを昨年に引き続き落とすことになってしまった。

 

一方マドリーは、言うまでもなくロナウド抜きでの形を作ろうとしたシーズンだった。モドリッチやラモスといったベテランは残しつつ、一番の核を放出して世代交代に舵を切ったのだ。

ロナウドはプレーこそ衰えをほとんど感じさせないが、34歳になるシーズンだった。彼の後を見据えるタイミングとしては悪くない。

 

しかし、ロペテギのポゼッション路線は失敗、ソラーリもその後のチームをある程度立て直すところまではいったが、今シーズン中の結果を出すには至らず来シーズンに臨むことを決断してジダンと再び契約することとなった。

ロナウドを放出したものの、核となれるプレーヤーを連れてこられず、既存の戦力の中からそうしたプレーヤーが現れることもなかった。ロペテギが期待したイスコは相変わらずで、アセンシオも期待に及ばない低調なシーズン、ベイルもいつものように怪我がちでモチベーションも維持できないまま批判されるべき低空飛行を続けた。

 

かといって、ビニシウスや冬にやってきたブライムでは若すぎる。プレーそのものは意欲的だったが、マドリーの中心となるレベルや状態ではまだまだなかった。

結果として、タイトルを取りつつ若返りも進めるといった理想的な展開とはならず。今シーズンのうちに順調な世代交代をスタートすることは出来なかったと言える。

 

もちろん、ロナウドを出した時点でこうしたことになると危惧する声はあった。だが、その時点では主力となるプレーヤーと契約する可能性も、現有戦力の底上げの可能性もあったのだから、世代交代に向かう判断それ自体は不正解ではない。

間違ったのは、ベテランを放出するという判断そのものではなく、その後の戦力の補填と整理なのだ。

 

もしマドリーがロナウドを残したままタイトルを取れないシーズンになっていたら、今よりも大きな嵐が吹き荒れることになっていただろう。戦力ダウンしてなお今シーズン当初にかけられた期待を振り返れば、戦力を保ちつつ失敗した時の雰囲気は想像するだに恐ろしい。

やはり世代交代しておくべきだったという世論は強まり、それこそ現状予想されるようなレベルではない、土台から全て覆すような変革を迫られることになる。

そういう嵐の中で、冷静な判断を積み重ねていくのは難しいものだ。

 

ロナウドがいればそれなりの結果を出し続けなければならず、失敗すれば重大なダメージ。こういう状況も十分ありえるものだった。

 

ロナウドの状況とは逆に、ベテランは残せば残すだけ当然世代交代は遅れる。

また、ラウールやグティの退団を思い起こせば分かるように、功労者であればあるほど移籍に反対する声も強くなる。だからと言って残しておけば問題を先送りにすることになるし、登録されていれば使わざるを得なくなることにもなる。

このバルセロナリバプールのような試合が数年後にあってベンチに大ベテランのメッシがいたとして、彼に頼らずにいられるクラブがあるだろうか。出しても出さなくても望まない火種が生まれてしまう。

それを避けるためには、例えば代表にラウールが招集されなくなったように、どこかのタイミングで誰かが悪者になる判断をしなければならない。

ペレス会長のこうした移籍にかかる判断が常に正解というつもりはないが、今後を見据え、冷徹にプロセスを進めなければならないこともあるということ。もちろんそれで失う支持や利益もあり、常に厳しい選択となる。

 

ロナウドを放出して、結果として歴史的な低迷のシーズンとなったマドリー。

メッシらの主力を維持し、リーガは手中にしつつもCLは敗れたバルセロナ

タイトルは獲得しているから、バルセロナの方がはるかに良いシーズンだったのは間違いないが、少し長い目で見た時に、マドリーのロナウド放出が早すぎたことになるのか、今後のバルセロナがベテランを整理するのに苦労することになるのかは誰にも分からない。

 

結果が出るまでに長い時間がかかり、皆が幸せになる道はなかなか見つけられない。

本当に世代交代は難しい・・・。