初戦はカンプノウで3-1、第2戦はベルナベウで2-0の合計5-1で優勝。
結果という点ではプレシーズン苦労していたようだったマドリーだが、UEFAスーパーカップとあわせ、公式戦ではきっちり結果を出した。
マドリーが淡々と昨シーズンからの積み上げをしているのに対し、バルセロナの混乱が際立った。ネイマールの移籍ももちろん影響を及ぼしているだろうが、それと合わせて監督が代わっていることで、バルベルデのやり方にまだまだ馴染んでいない感が強いように見受けられた。
マドリーはプレシーズンをコンディションを高めることに当てられたため、各試合では疲労もあってぱっとしない内容と結果に終わっていたが、バルセロナはまさに一から再構築中といったところ。彼らもコンディション的にまだまだな中、やり方も浸透していない状況では、真剣勝負は苦しかっただろう。
そんなバルセロナを尻目に、マドリーはロナウドをほとんど必要としないままに2試合で5得点を挙げた。
「選手層が充実しているが、ロナウドの得点力は補いきれないのではないか」というのがマドリーの疑問で、実際昨シーズンの終盤は重要な試合でロナウドが爆発し、彼の存在を際立たせることになっていたのだった。
重要なライバルであるバルセロナを相手に、ここまで点が取れたことで、その疑問は解消されつつあると言ってもいいのではないだろうか。
まだ8月、互いにコンディションもメンタル面の高まりもこれからだし、プレシーズンマッチとはいえアメリカで既に直接対決を終えていたこともあり、この結果をもって今シーズンの先行きを楽観視するつもりはない。
ただ、そう遠くない将来に訪れるロナウドがいない時代に向けて、チームとして十分対処可能であるという可能性を見せられたことは、長い目で見れば重要なことだろうと思う。
アセンシオをはじめ、若い世代のプレーヤーがしっかり伸びて、昨シーズンの先発組を凌駕しうる立場になっていると見せられたことが大事。
ここまでのところ、多額の移籍金を使った契約はない。CL、リーガを制したシーズンの後で、新陳代謝を促さないと戦力の序列の固定化を招き、控え組のモチベーション低下からチームのパフォーマンスが下がるというのはえてして指摘されるところで、チームの根幹は変えずにうまく刺激を与えていく難しさに直面することになりがち。
その点今のマドリーは、既に昨シーズンの段階から先発組と控え組の実力差が少なく、ポジション争いが起こっていた。具体的にはナチョ、コバチッチ、イスコ、アセンシオ、モラタといったプレーヤーたちが、チャンスを得ればいい結果を出して突き上げていたのだった。
そのままポジション争いが行われそうな今シーズンも、そうした緩みとは無縁ではじめられそう。
ジダンは、自らAチームもBチームもないと述べた戦力を、ギリギリのバランスで使いまわすことに頭を悩ませることになるだろう。
昨シーズンは、ある意味で「ほど良く」負傷等の離脱者が出て、出たプレーヤーが穴埋め以上の働きをしてくれたことで、モチベーションを保ちつつタイトルを獲得することが出来た。
負傷のような水からコントロールできないものに頼らず、現状の面々を納得させて良いパフォーマンスを引き出し続けられるかどうかが、マドリーとジダンの1年を決めるといっても言い過ぎではないだろうと思う。
バルセロナを相手にいい具合にローテーションしつつ連勝したことで、皆前向きになれる。このやり方で新しいシーズンも結果を出せるという思いになれたであろう点で、タイトル以上の意味合いがあった。
このやり方を続けていく以上、モラタやハメスのように、実力は十分認められつつ処遇との兼ね合いに納得できないプレーヤーは出てくるだろう。それはオフのうちにしっかり片付けて、いい雰囲気でシーズン本番に向かっていってもらいたい。