レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

CLグループステージ第2節 vシェリフ

モルドバシェリフ。

第1節にシャフタールを破ったのは偶然ではなかったことを、ベルナベウで証明した。

 

シェリフが思ったよりずっと良く、マドリーは引いた相手に糸口を見いだせず。

カウンターに沈む典型的なやられ方であった。

内容としては「疲れを取りつつ反省してください」と言うしかないので、今回は配置についてを中心に。

 

 

 

■マドリーの先発メンバー

GK:ナチョ、ミリタン、アラバ、ミゲル

MF:バルベルデ、カゼミロ、カマビンガ、ビニシウス

FW:アザールベンゼマ

 

66分:ミゲル→クロース、アザール→ヨビッチ、カゼミロ→モドリッチ、ナチョ→ロドリゴ

 

今回はナチョが右でミゲルが左。

カマビンガが先発となった。

 

シェリフの先発メンバー

GK:アサナシアディス

DF:コスタンツァ、アルボレーダ、ドゥラント、クリスティアーノ

MF:ティル、アド;トラオレ、コロボス、カスタニェダ

FW:ヤクシボエフ

 

57分:ヤクシボエフ→ブルーノ、78分:カスタニェダ→ジュリアン、89分:コロボス→ニコロフ

 

国内のディヴィジア・ナツィオナラでは6連覇中。

21世紀になってからは2回しかリーグ優勝を逃していないとのこと。

 

アザールがいる時の考え方

守備時にアザールが前残りする形での4-4-2。

アンチェロッティアザールを使う時は基本的にこの形で、試合後の発言でも「アザールはトップ」と述べている。

 

www.realmadrid.com

 

守備負担が少なくなるよう2トップ化させつつ、4-4のブロックは確保するやり方はロナウド在籍時にもやっている形だ。

アザールの扱いはそれでいいとして、右サイドの取り扱いが気になった。

どうしてバルベルデが使われることになるのだろうか、という点である。

 

守備時4-4-2であっても、ロナウドありし頃はBBCという看板があったから、攻撃時は3トップでプレーしていた。一方、アザールが入る場合はそうならず、メディアプンタの位置に下がってプレーする。

ここでは前者をロナウド型、後者をアザール型ということにしよう。

 

ラテラルの中盤化など変形はあるのであくまで基本配置ではあるが、ロナウド型は4-1-2-3で、アザール型は4-2-3-1である。

アザールロナウドのようにフィニッシャーではないため、このように違いが生まれることになるのだが、ロナウド型では両翼にトップのプレーヤーが入っていたのに対し、アザール型では守備時の4-4のブロックの両翼がそのまま前に出てくるので、サイドを担うのは中盤のプレーヤーとなる。

 

この時、両翼ともにビニシウス、ロドリゴ、ベイルなど攻撃的なプレーヤーを置くと、4トップ化して前残りすることが想像できる。

そうなると守備の計算ができない。4-4-2にする大きなメリットの一つである4-4のブロック形成さえも覚束なくなる恐れが強くなってしまう。

しかもビニシウスは使いたい、またはクラブの方針として使わなければならないという前提がある。

こうした理由から、右には中盤のプレーヤーで守備も計算ができる人を必然的に使うことになるのだ。

 

バルベルデが選ばれ続けるわけ

現有戦力でこの要求に合致するのは、バルベルデルーカス・バスケスである。

ところが、バスケスは右ラテラルとしての出番もある。

そのラテラルは、カルバハル、メンディ、マルセロが負傷でいない。アラバはセントラルが基本とアンチェロッティが明言しているため、ナチョとミゲルが頑張らざるを得ない状況となっている。

そして、ミゲルの経験に不安があるのは確かだから、交代でバスケスを入れてナチョを左にするといった選択肢は持っておきたい。

こうしたことから、アザール型を採用する場合、右はバルベルデが選ばれ続けるのである。

 

だが、バルベルデはあくまでもインテリオールのプレーヤーだ。

攻撃面での彼の長所は、インテリオールの位置からサイドに加勢したりエリアに入って行ったりすることで相手に混乱を与え、味方に数的優位をもたらせる点にある。

彼をサイドに常駐させるとインテリオールにバルベルデ役がいなくなるから、得られるものは少ない。

ましてサイドバック起用は、誰もいない時の緊急対応。

器用だからサイドもできる。勿論できないよりできた方が良いが、インテリオール起用時のような効果は期待しづらいのだ。

 

なお、サイドバックでの先発となったビジャレアル戦については、アセンシオとの右サイドでの共存が可能かどうかの実験ではないかと考えている。

バルベルデマジョルカ戦で左インテリオールとしてプレーし、バランス調整に労力を割いていた。

インテリオールのアセンシオがラテラルとの組み合わせの妙でうまくいけば、それこそアザール型の右サイドに配することも可能になるわけで、選択肢が広がることになる。

まだ結果に対して余裕があるシーズン序盤に試してみる価値はあるとの判断ではなかろうか。

 

話をこの試合に戻すと、相手を押し込むので、一番外を担当するバルベルデのプレーは難しくなった。

サイドのプレーヤーらしい深い位置での折り返しは得意ではないので、相手に当たってしまうことが多いし、だからといってやり直すと、手数が増えてシェリフに準備する時間をより多く与えることになったからだ。

 

しかも、ラテラルがナチョだったので、味方のスピードを生かして関わるのも少ない。

結果として、右から良い攻撃が生まれることはなかった。

 

ビニシウス、次の試練

では左はどうか。

 

今シーズンここまでビニシウスが得点という結果を出せていたのは、裏抜けにパスが出てくるようになったのと、ゴールに向かって斜めに入っていく形からのシュート精度が高まったからである。

 

相手が押し上げてこないと、裏抜けがほとんど使えない。

そして仕掛けのスタート位置も深くなるので、ゴールへの角度も悪くなる。

 

ゴールラインと平行に近い角度で侵入すると、厳しい角度でシュートを狙わざるを得ないから、確率は下がる。

リーガのレバンテ戦でのゴラッソはあったが、裏を返せば確率が低いところから決めたからゴラッソなのであって、あれを毎回決めるのは誰であっても難しい。

 

ゴールに向かうプレーの選択肢が少なく、ディフェンダーも多い状況だったから、クロスをあげる意識はあったが、悪い時のシュートと同じようにファーに流れてノーチャンスとなることがしばしば。

インスイングなので、バレンシア戦のアシストのようにフィニッシャーがとにかく当てれば枠にいくようなボールが望ましいのだが、この試合では一貫してクロスの精度を欠いていた。

 

こうして引いた相手に対し、ゴールの確率がより高くなる位置でプレーし良い選択をすること。

これがビニシウスの次の試練だ。

 

時には割り切っても

ここまで見てきたように、アザール型で手数をかけても打開できない時の修正は、現有戦力ではなかなか難しい。

アンチェロッティが素晴らしい解法を見いだせない限りは、途中でロナウド型に移行してクロス狙いと割り切ったやり方をした方が可能性を高められるように思われる。

 

その場合は、ヨビッチを入れてターゲットを確保しつつ、利き足のサイドにロドリゴのようなクロスが期待できるプレーヤーを置いて、ボールが供給できるようにする。

こうした交代はバレンシア戦で見られ、ロドリゴのクロスから同点ゴールが生まれている。シンプルだが効果が期待できる変更だ。

 

問題は4-4のブロックの強度が落ちる恐れがある点だ。

攻撃的なプレーヤーを配置しても守備強度が維持できるのなら、最初に見たような右サイド問題と、バルベルデが選ばれ続ける事態は発生していない。

スタートからこの形を取るのは怖いから、バレンシア戦のように途中交代で変化させるのが良いだろう。

 

バルベルデを使ってある程度計算できる形にしたのに、シェリフの狙い通りのカウンターで先制されていることを考えると、アザール型で手数をかけるやり方は、まだ良いバランスを見つけられていない段階だ。

とはいえ、せっかく負傷もなく個人としてはまずまずのプレーをしているアザールを戦力化できないのはもったいない。

交代で変化する選択肢を持ちつつ、アザール型での最適解を見つけ出せればと思う。

 

哲学に縛られず実利を取れるのがマドリーの強みである。

それを生かさない手はない。

 

最後に

今節はインテルシャフタールと引き分けた。

今のところの勝ち点計算では幸運だが、シャフタールにも当然チャンスが出てくるわけで、どう転ぶかわからない。

今年もまた混戦模様だ。

 

週末はエスパニョールと対戦。ここはすっきり勝ちたい。