レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

リーガ・エスパニョーラ第4節 vエスパニョール

■マドリーの先発メンバー

GK:カシージャ

DF:カルバハル、ペペ、セルヒオ・ラモス、マルセロ

MF:カゼミロ;モドリッチハメス・ロドリゲス

FW:ルーカス・バスケスベンゼマ、アセンシオ

19分:カゼミロ→クロース、63分:ハメス・ロドリゲス→イスコ、72分:ベンゼマ→モラタ

ロナウド、ベイルが招集外となったことによる両翼の変更、中盤でのハメスの起用が大きな変化。9番の位置はベンゼマとなった。

エスパニョールの先発メンバー

GK:ディエゴ・ロペス

DF:ハビ・ロペス、ダビド・ロペス、ドゥアルテ、ビクトル・サンチェス

MF:ディオプ、マルク・ロカ;エルナン・ペレス、ピアッティ

FW:レオ・バチストン、モレーノ

10分:ピアッティ→アルバロ・バスケス、66分:モレーノ→カイセド、83分:マルク・ロカ→レジェス

ディエゴ・ロペスとは久々の再会。リーガでの敵とはなるが、まだまだ健在で嬉しい。

■カゼミロの負傷が転機に

負傷というやむを得ない事情もあるにせよ、ルーカス・バスケス、アセンシオが前線の両サイドに、そして中盤でハメスが起用されたことで、スポルティング戦前半のような弛緩した感じがなくなり、チーム全体として意欲的になっていたことは大きな改善点。

ベンゼマだけは相変わらずピリッとせず、ボールに絡む場面が少なかったが、このあたりはメンバーの変更による連携のズレもあるだろう。「代表では輝くのにクラブでは・・・」とたびたび報じられるハメスが攻守ともに熱心に動いていたのは好印象だった。

とはいっても、内容が劇的に良くなったというわけでもない。

エスパニョールはとにかく体ごと詰めておくといったような球際で、中盤のプレーは苦しかった。さらに、みな何とかしようと関与してくるので、かえって中盤が密集しエスパニョールの寄せをかわしきれなくなるという事態に。

この局面は、19分のカゼミロの負傷交代で変わる。

クロースが底に入ったことで、大きな展開をするようになり、ピッチを広く使うことで相手の守備の圧力をかわすことができるようになった。また、バランスが攻撃に偏ることになり、ボールを持って攻める方向に意思統一され、守備の不安とは裏腹に攻撃の意思がはっきりした。

負傷交代で本来意図した形から逸れたことが、状況の好転に繋がるとは皮肉なものだ。

カゼミロは精密検査を受けることに。ほうじられるところによれば、打撲程度で、長期の離脱とならない見込みなのが不幸中の幸い。

それでも前半はエスパニョールと互角の戦い。

エスパニョールの方がシュート本数では勝っており、精度はともかくゴール前の場面の数で言えばエスパニョールの方が多く作れていた。最初に書いたように、マドリーのプレーヤーの意欲は高いように見受けられたが、しっかり寄せてくる相手をいなしてアタッキングサードに入る形は確立できておらず、サイドでボールを持って潰される場面が散見された。

ベイルなら相手も考えて距離を取ることもあるので仕掛けていけるところも、アセンシオとルーカス・バスケスだと、さすがにそれよりは積極的に距離を詰めてくる。

後半、一度アセンシオがやり返してきれいに突破し、イエローを出させるファールをさせていたのは面白い。このメンタリティは大事だ。

拮抗した内容の前半、このまま終わろうかというアディショナルタイムに、ハメスが先制点。

ボールを持ったところを背後から寄せられたが、相手の体勢が十分でなかったためにこれをかわせ、前に入ったディオプの股を抜いて前を向き、エリア少し外からシュート。ディフェンスの股を抜いてファーの隅に蹴り込むコースのお手本のようなシュートが決まった。

プレスをかわせたのは技術とともに少しの運があった。とはいえ、じりじりする展開の中チームにとって重要なゴールだし、低い序列からの巻き返しを図るハメス自身にとっても嬉しい得点となった。

■強気の交代

後半立ち上がりはエスパニョールのペース。マドリーが落ち着いてボールを持つまでには7、8分かかった。カゼミロの交代で守備力の低下は明らか。ボールを持って攻めることで守備の負担を減らしたいところだったが、なかなかうまくやりたい形に持っていけず。

そうした展開で先制点を挙げたハメスを63分にイスコに替えてしまうあたり、競争させて良いパフォーマンスを出させるという点で、ジダンははっきりしていた。

一般的には得点を挙げてリズムを掴めているプレーヤーを残したくなるもの。まして大量得点ではなく、その1点でリードしている状況ならなおさらだ。そこをあっさり交代させて、ハメスを称えつつイスコを使い、チームに発破をかける決断は、簡単そうでなかなかできることではない。

しかも、ジダンはそれをもう一度やった。

71分、左からスペースのある右へと展開し、上がってきたカルバハルがひきつけて、さらに外のルーカス・バスケスへ。グラウンダーのクロスにベンゼマが合わせて追加点。左から右への展開で打開し、クロスとベンゼマの動きがぴたりと合った良いゴール。

ベンゼマらしいボレーシュートもあったが決まらず、というところから、相手より一歩先に出る良い動き出しを見せ、冷静に決めてくれた。

そのベンゼマを直後にモラタと交代するのだからすごい。

場合によっては下がるプレーヤーの心証も悪くなることもあり得る、デリケートなタイミングでの交代。

得点前に決めていた交代ではあろうが、得点シーンを見て取り下げることも出来たはずだ。

それでも替えてしまうのは、ジダンがプレーヤーを掌握できている証拠だろう。控えにも出番を与えつつ、チーム内での競争を意識させ、先発組を安住させないバランスの取り方は良い。尊敬を集めるジダンだからこそできる、強気のマネージメントと言える。

良い形でエスパニョールを崩したのは、ベンゼマのゴールの場面を含め数度といったところで、支配率も50%ずつ。圧倒したとは言いがたい内容ではあったものの、2点リードを得て以降の試合運びはさすがに磐石。

無理に盛り上がる展開とはせず、淡々とした試合運びで、残りの時間を過ごした。

エスパニョールとしては、10分のレオ・バチストンのシュートが決まっていれば、セルヒオ・ラモスのハンドが見逃されず退場となっていれば、と前半に悔やまれる場面が多かった。

逆に、流れを掴みきれなかったところから、ハメスのワンプレーでリードを得て勝利してしまうマドリーのしぶとさが際立った試合となった。

これでマドリーはリーガ16連勝とし、連勝記録に並んだ。

圧倒的ではなくとも勝利を積み重ねていけるところに、今のチームの強さのポイントがある。点を取りまくるわけではないので、派手さはないが、波が少ない。記録はいつかは途切れるだろうが、こうした調子でシーズンを進めていければ、久しぶりのリーガタイトルも見えてくるだろう。

■新記録はなるか

次節はミッドウィークにビジャレアルと対戦。

カゼミロが離脱して守備に不安があるのは確か。ロナウドとベイルの復帰は喜ばしいが、前後に分断した形にならないように注意したい。

これに勝てば新記録となる。そうそう達成できるものではないので、上位を争うビジャレアルとの対戦でも勝って欲しい。

もちろん、連勝記録など優勝という目標に比べれば瑣末なもの。通過点として祝えれば。