なにもできず敗戦。厳しい内容となった。
■マドリーの先発メンバー
GK:クルトワ
DF:カルバハル、バラン、ミリタン、メンディ
MF:カゼミロ;ハメス・ロドリゲス、クロース
70分:アザール→ルーカス・バスケス、ハメス・ロドリゲス→ヨビッチ、79分:ベイル→ビニシウス
これより他の選択肢はなかった、そういう先発メンバーである。
■PSGの先発メンバー
GK:ケイラー・ナバス
DF:ムニエ、チアゴ・シウバ、キンペンベ、ベルナト
MF:マルキーニョス;グイイェ、ベラッティ
FW:サラビア、イカルディ、ディマリア
60分:イカルディ→シュポ・モティング、70分:マルキーニョス→エレーラ、89分:サラビア→ディアロ
■守備
マドリーの大きな問題は守備。
PSGの前線が楔のパスをさばいたところにカゼミロやクロースが出ていくが、その後のカバーがいないので、バイタルに空いたスペースに入ってくるサラビアやディマリアに簡単に使われることになった。
前半の2失点とも、ディマリアのシュートが素晴らしかったのだが、こうしたマークのずれで、このメンバーでもっとも警戒しなければならないはずの彼に良いところで時間を与えることになった面がある。
解決策は、カバーリングを徹底するか、そもそもスペースを空けるような突出を避けるかのどちらか。
アザール、ベイル、ハメスはスペースを埋める程度には守備参加していたが、さらに低い位置にまで戻ってカバーリングするようなプレーヤーではない。また、仮にそうさせたとしても、体力の損耗や低くならざるを得ないポジショニングという攻撃面でのデメリットが大きい。
だから、現状では、落としたボールに食いつかず、守備組織を崩さず我慢する方がベター。
何度も同じ形でスペースを空けたカゼミロとクロースの判断にも問題はあるが、チームとして守備を修正しないままプレーを続けてしまったということでもある。
■攻撃
攻撃では、中心となってほしかったハメスが、配置上右サイドに出ていくことが多かった。これでは前を向いて左足を使える場面が限られてしまう。ミスらしいミスはなかったものの、逆に攻撃のスピードを上げるようなプレーもなく、もったいない使い方になってしまっていた。
クロースを左サイド側において、右への展開のために彼のロングキックを使うのは、もはや定跡なのだが、この試合での動きを見ると、工夫の余地があるように思える。
高い強度でプレーしていた序盤こそ、アタッキングサードでいい場面を作れていたが、落ち着くにつれて前の3枚とハメスに任せる攻撃が増えてきて、チャンスは数えるほどになった。
4-1-2-3で前線の3枚の破壊力に期待、というのは、ロナウドがいた時に成立していた形だ。以前にも指摘したように、現状ではそういう前線の力はないから、この試合でいえばハメスやクロースの位置からの攻撃参加によって厚みをもたらすことがかかせない。
クロースが前線と近い位置まで進出するようなことがほぼなく、ハメスも右で厳しく見られていて、最終的に前線にお任せするような攻撃では、枠内シュート0にも納得せざるを得ない。
かといって、クロースもカゼミロも出て行くと、終盤のように最終ラインが丸裸で残されることになって、非常にアンバランスだ。
モドリッチがいればとは思うが、彼だけでは厳しい。攻守のバランスを図りつつ、いいタイミングで前に出て行って、点に直接絡める人材が求められることがはっきりした内容だった。
■厳しい交代
2点差からの最初の交代がバスケスなのは、序列を重んじるジダンらしいが、同時にヨビッチを入れてクロスを多く使う攻撃に変えようとしたのは現実的で良い。
問題は、タイミングとしてパリがリードを得てきちんと守る時間になってしまい、そもそもまともなクロスすら入らなかったということだろう。
選手層は薄かったから、個々の質を維持して交代するのは難しかった。
どうせ質を下げつついじらざるを得ないなら、後半頭でも良かったのではないだろうか。先発メンバーで何か起こせることに期待しすぎた感は否めない。
ビニシウスの迷路はまだまだ続きそう。
この試合において彼個人でできることは多くなかったと思われるが、それにしても攻めなければならないタイミングの交代でさえバスケスが選ばれるというのは、彼にとってもチームにとっても寂しい。
2トップを目指してクロスを入れる、という限定的な役割を与えて、しっかりこなさせるくらいのところからチームに組み込んだ方がいいように思える。
サイドから仕掛けてパスもシュートもできる、華やかなプレーの実現はその先にあるものだろう。
プレー時間を考慮しつつも、何をさせるかにも配慮が必要だ。
■最後に
3点差、枠内シュート0。完敗と言わざるを得ない。
救いはグループステージであることと、負傷者が帰ってくれば少しは改善が見込める可能性があること。
今週末はセビージャとアウェイで対戦。難しい相手だが、現実的な対応策を探すいい機会でもある。