一人怪我から復帰しては一人負傷者リスト入りと、出入りが激しい最近の招集リスト。
今回はニステルが復帰したものの、スナイデルが最大6週間の離脱と、選択肢が非常に少ない。
そんな状況でのスタートメンバーは以下の通り。
GK:カシージャス
FW:ラウール、バティスタ
注目は前節活躍したドレンテが先発した点。両サイドにドリブルができる選手を配置したので、そこで優位に立てれば中央で待つラウール、バティスタらにいいボールが供給できるはず。
ベティスのメンバーは以下の通り。
GK:リカルド
DF:ダミア、メリィ、フアニート、ベガ
FW:パボネ
エドゥ、カピ、マルク・ゴンサレスの並びは脅威になる。パボネとの絡みで前線に顔を出すであろう彼らをマークしたい。
■先制点と素早いベティスの修正
5分、くさびのパスが落ちた所で、三人目のロッベンが裏を狙う。完全に抜け出し、クロスはラウールに合わないものの、ドレンテが押し込み早い時間帯で先制。
序盤はサイドでロッベンとドレンテが仕掛けられる場面が多く、狙いどおり。
ただ、ドレンテは守備に参加するが、ロッベンのサイドはサイドバックが頑張らなければならない状況が多い。中盤の底がガゴ一人なので、引っ張り出されると対応も苦しく、守備に関しては不安。
そんななか、22分にグティのスルーパスにロッベンが反応する。これも抜け出し、チャンスになったが、上を狙ったシュートはバーを越えた。
アウェイで、守備に不安が残る状況とあって、得点が欲しかったが・・・
ベティスは序盤の失点とマドリーの攻撃を見て修正したようだった。
一人で中盤の底を担うガゴを狙うのはもちろん、グティに対しても危険な位置になる前に潰しにかかる。ミドルサードでしっかりボールを保持できないので、ディフェンシブサードでボールを持つ時間が増えてしまった。
中盤のボールの納めどころが苦しいので、ドレンテ、ロッベンにスペースがある状態で楽にパスが出ない。よってラウールとバティスタも仕事ができない。
下がってボールを受けても、ベティスは低い位置でならファール覚悟のチェックにいくので、効果的でなかった。
ロングボールを出しても、3次元のサッカーはマドリーは苦手。効率的にボールを前に運べなくなってしまう。
31分、グティがボールを奪われ、マドリー右サイドでパボネがうまくクロスのコースを作った。そのクロスがエドゥに合って同点。
35分、同じサイドで今度はエドゥがクロスを上げる。中にいたのはマルク・ゴンサレス。ヘディングがまたも決まってあっさり逆転された。
どちらの失点でも、最終的にはマルセロがゴール前で対応できなかった形。あっさりと前に入りこまれている。中での守備をする以上、あのようなプレーでは困る。実際その後も、ベティスは何度かマルセロの上を狙っていた。
マルセロが絞るなら、それ相応のプレーをできるようにならないと、身長もそれほど高くなく、守備の技術がないなら恰好の的になってしまう。
前半は1-2。ボール支配率はマドリーの55%、シュート数はベティス8本(枠内2本)、マドリー7本(枠内3本)。2本の枠内シュートが両方とも失点となってしまった。
■ベティスの術中 ラウールの交代で半分あきらめか?
後半開始時点での交代はなし。
マドリーは相変わらずグティに納まらない。ベティスも守備に人数をかけているので、余計に厳しい状況。グティ自身もイライラしながらプレーしているのがありありと見て取れる。
完全にベティスのペース。
52分、決定的となる3点目を狙ったパボネのシュートはカシージャスがファインセーブで阻止。試合はまだ終わらない。
58分、ドレンテとニステルが交代。できればこういう状況では出したくなかったであろうニステルが負傷明けで出場。
だが、前線までなかなかボールがいかないという、決定機より前の問題を解決できていない。
59分、ベティスは負傷したカピに代わってソビス。
スペースができはじめる時間のソビスは怖い。
66分、セルヒオ・ラモスのパスがニステルに通り、シュートを放つも、ディフェンダーがわずかに触っていて、コントロールできず、ポストに当たる。
これが後半最大かつ唯一の決定的チャンス。
68分バティスタとイグアインが交代。77分にラウールとバルボアが交代と、何とかしようとするが・・・
ラウールを下げた時点で、シュスターとしては負けもやむなしだったかもしれない。
これまでニステルとラウールは負傷がない限り、どんな場面でも出場させ続けてきたので、この交代はCLに向けて今節は仕方ないか、という意図とも受け取れる。
試合は1-2のまま終了。ボール支配率はマドリーの60%だが、これは後ろでしか回せない場面が多いせい。効果的な保持ではなかった。
ベティスが12本(枠内3本)、マドリー11本(枠内4本)という数字を見ても、6割持ってもシュートに持っていけていないのがわかる。
■審判を見るな!プレーしろ!
スナイデルが長期離脱のため、グティが中盤で、これまで以上に重要な選手となるが、この試合での彼のプレーにはがっかりさせられた。
厳しいチェックで思うような仕事ができないのはある程度仕方ないことではある。相手がうまく対処したというべきだろう。
問題はそういう所ではない。
ファールを求めてすぐプレーを止めてしまうような考え方がよくないのだ。
ファールをもらうのも重要な技術ではあるが、グティは過剰だ。
31分のシーンではそれほどあたっていないのに、審判に向かって手を広げて立ち止まってしまっている。
奪われたそのボールがそのままゴールに結びついたから、なおさらがっかりした。
もちろん追っていたら失点にならなかったという保証はないが、その危険性を引き下げることにはなっていたのは間違いない。
彼のような選手に、とにかく守備をしてほしいとは言わない。
が、目の前にボールがあるのに、審判ばかり見るのはやめろと言いたい。
確かに今節の主審は、笛をよく吹いていた印象だった。が、競り合いは比較的流して、プレーさせていたのも事実。そういう傾向はプレーしてわかっていたのではないだろうか。
いや、どんな主審がどんな基準で笛を吹こうとも、笛が鳴るまでは止まってはいないという、当たり前のことをしっかりこなしてほしい。
状況が違うので単純に比較するつもりはないが、途中出場したバルボアは二人に当たられながらもボールを運んでいった。
厳しい時こそそういうプレーが必要だし、その姿勢がチームメイトを鼓舞する。
技術はある。それをどう活かすか、どう考えるかが課題だ。
審判に頼るような態度は取ってほしくない。