バルセロナがバレンシアと引き分けたため、勝てば勝ち点差を4に縮められる。クラシコ前の山場。
■マドリーの先発メンバー
GK:カシージャス
DF:セルヒオ・ラモス、カンナバーロ、メッツェルダー、トーレス
FW:ラウール
67分:ラウール→フンテラール、77分:グティ→ハビ・ガルシア、84分:イグアイン→ファン・デル・ファールト
出場停止のペペの代わりはメッツェルダー。ロッベンがいないので、中盤にマルセロ、左サイドバックにトーレス。
■セビージャの先発メンバー
GK:パロップ
DF:アドリアーノ、ダビド・プリエト、エスキュデ、フェルナンド・ナバーロ
FW:カヌーテ
59分:ドゥシェル→ルイス・ファビアーノ、65分:ペロッティ→カペル、79分:ドゥシェル→マレスカ
CL出場権確保を目指す争いの最中にあるセビージャ。ただでさえサンチェス・ピスファンでは勝てていないのに、モチベーションの高いセビージャに勝たなければならない。
■控えの面目
ここで後手に回ると守備が相当大変になる。中盤に対してはガゴ・ラスのコンビが威力を発揮するが、カヌーテに当てられてマイボールを作られるのは困る。だから、メッツェルダーの役割は大きい。
普段は控えながらこの試合で先発したのはトーレス。エインセが負傷していて、ロッベンもいないという状況なので、マルセロが中盤に入り、トーレスに出番が回ってきた。
トーレスとマルセロが左サイドを担うという、少し前ならなかった組み合わせが実現したわけだけれど、奔放なマルセロの後ろで守備を第一にプレーする必要がある。
彼ら2人は与えられた役割をしっかりこなしていたといっていいと思う。それぞれに守備で良いプレーをしていたし、攻撃面でも貢献があった。
メッツェルダーがたまに出てきては堅実にプレーできるのは、以前の試合である程度見られていたことだけれど、今日の試合でも変わらないプレーを披露してくれた。
トーレスはだんだんと良くなってきている。守備の面での改善はもちろんだが、攻撃に参加する回数、タイミングも良かった。センターバックのように守備ができるが攻撃には期待できないエインセと、自由に攻められるが守備には不安があるマルセロのどちらにもない、バランスのとれた持ち味を伸ばして行ってくれればと思う。
とは言うものの、前半はホームのセビージャがペースを握る。一番の攻め手であるロッベンを失っているマドリーにはなかなか効果的な攻撃がなく、グティのスルーパスに抜け出したイグアインがパロップと1対1になった場面(判定はオフサイド)を序盤につくるものの、ガゴ・ラスのコンビと最終ラインが守りながら少ないチャンスをうかがうしかない状態だった。
レナトがうまく飛び込んでセンタリングに合わせ、セビージャが先制したのは15分だった。カヌーテばかり見ていたらスッと入り込んできたのがレナト。
マドリーが良かったのはその後の追加点を許さなかったこと。2点差がつけば3点取らなければならなくなる。セビージャ相手でなくても難しいそんな試合になることを阻止した。
前半終了間際、前に残っていたメッツェルダーが、右サイドでうまく抜けだし、ラウールへパス。これをうまく流し込んで前半のうちに同点に追い付く。
ラスのスルーパスに反応し、アシストをしたメッツェルダーの動きが見事だった。
前半は1-1に追い付いて終了。マドリーにはあと1点が必要。
■ラウール、ラウール!
後半開始時点では両チーム交代なし。
先に動いたのはセビージャの方で、59分にドゥシェルに替えてルイス・ファビアーノ。レナトをひとつ下げて2トップへ変えた。勝ち点3が欲しいのはセビージャも同じ。ホームということもあって、積極的に点を取りに行く交代策を打つ。
だが、幸運にも勝ち越し点はマドリーの方へ。
63分、トーレスのセンタリングにラウールが合わせて2-1。ディフェンダーの視界の外から入り込んできて、ディフェンダーの前でボールに触るラウールらしい高い技術でこの日2点目。
アドリアーノに触られたものの、トーレスも鋭いボールを中央へ入れるいい仕事をした。
さらに66分、イグアインのセンタリングをセーブしたパロップがボールをこぼしたところを、ラウールが押し込んで3-1。ラウールは久しぶりにハットトリックを達成した。
相手の前に入り込んでボールに合わせきっちり枠内へ決めるプレー、最後まで詰めてゴールを狙うプレー。この2点はどちらもラウールらしい、良いゴールだった。
ラウールは次節へ向けて68分にお休み。代わってフンテラールが入るが、ここからセビージャが盛り返す。カペルとナバスの両サイドを中心に、一気に攻撃へシフトしてきたセビージャの圧力はすごかった。
前線で追っていたラウールが下がったことも影響して、退いて受けクリアするしかないマドリー。
守備を固めるためにグティに替えてハビ・ガルシアを投入するが、80分にカペルに決められて1点差に迫られる。
マドリー最後の交代はイエロー4枚で危険だったイグアインに替えてファン・デル・ファールト。バルセロナ戦の出場停止を避けるためと、守備一辺倒にならないよう、少しバランスを取る意味もあったかもしれない。
ロスタイムにマルセロがパロップとの1対1。落ち着いてキーパーを動かしてから流し込み、4-2として試合を決めた。
■直接対決へ
これでバルセロナとの勝ち点差は4となった。
アウェイでセビージャを相手に勝てたのはとても大きい。チームに勢いを与える勝利で、バルセロナ戦へ向けて自信をつけただろう。
最初に書いたように、メッツェルダーとトーレスの働きは十分なものだったし、グティも先発でパスのセンスを見せた。ラウールは(イグアインとポジションを入れ替えながらだったが)トップとして錆びつかない技術を示してくれ、ファンとしてとても嬉しかった。
次節のバルセロナ戦でもとにかく勝利が必要。直接対決の結果を考えると、3点取りたいといいたいところだが、それは高望みだろう。
まずは勝ち点差を縮めることを目標に、いい試合を期待したい。