ミランがマルセイユを降し、マドリーがチューリヒに勝てばグループステージ突破が決まる第5節。ただそうなると1位通過が難しくなるという微妙なところではあったのだが。
■マドリーの先発メンバー
GK:カシージャス
MF:シャビ・アロンソ;ラス、カカ、マルセロ
FW:ラウール、イグアイン
58分:アルベロア→ファン・デル・ファールト、70分:ラウール→ロナウド、89分:カカ→グラネロ
ピボーテが2枚のようでいて、カカが中央に、ラスが空いた右に、というドミノがいつものように行われているので、ほとんどピボーテはシャビ・アロンソのみ。
カカのトップ下と、両サイドにラスとマルセロという形に近い。
■チューリヒの先発メンバー
GK:レオーニ
DF:シュタヘル、ティヒネン、バルメットラー、コッホ
MF:アエゲルター、ロシャ;ガイッチ、マルガイラス、ジュリッチ
FW:アルフォンス
76分:ガイッチ→フォンランテン、86分:アルフォンス→メフメディ、88分:ジュリッチ→シェーンバフラー
グループステージでは第4位。突破は厳しい。
若手の有望株が結構いるようで、これから楽しみなチームという印象。
■サイドの多用
サンチャゴ・ベルナベウでの試合、チューリヒがどういう姿勢で臨むのかが気になったが、リトリートしてスペースを消す形に終始。
マドリーはクリアされたボールを拾っては攻め、拾っては攻めという繰り返しとなった。
アタッキングサードではほとんどスペースがなく、カカはかなり苦しめられていた。それでも中央でパスを受け、仕掛け、捌こうという姿勢は一貫していて素晴らしいが、ここからよりサイドの方がスペースがあり可能性がある。よってサイドからの攻撃が増えていた。
中央で崩すのがペジェグリーニのスタイルだが、こうしてピッチの中で判断して柔軟にやり方を変えていけるのは、一つの進歩だろう。
コンセプトは持っていなければならないが、勝つためにはオプションとしてその他の手だても持っているに越したことはない。
その意味で、サイドを使えていたのは良かった。
ただ、先制点は中央のカカからだった。
20分、カカが2人をかわしてイグアインへ短いスルーパス。受けたイグアインがきっちり決めて1-0。
その後も、いつもよりサイドを多用し、クロスをあげる場面が目立った。これが追加点になかなか結び付かない。チューリヒが失点後も無理をせず、集中して守備をしていたのもその要因の一つ。
サイドの攻撃に対して守備のブロックが広がってくれれば、中央にスペースが生まれるわけだけれど、サイドは半ば捨てて、真ん中で跳ね返そうという意思統一がしっかりできていたように思う。
そんなわけで、シャビ・アロンソ経由のサイド攻撃は奏功せず。
一方の守備はどうかというと、チューリヒが前に残しているアルフォンスへの対処が唯一の課題。
ここに良いボールが入ってしまうと厄介。全員上がりがちなので、人数が足りなくなる恐れがあった。
チューリヒが、アルフォンスをしっかり狙ってロングボールを蹴ることができていなかったのは救い。ただ、こういう試合は集中力を保つのが難しい。ちょっとしたことで失点してしまいがちな状況ではあった。
前半は1-0のまま終了。追加点が取れそうな場面があったことはあったが、チューリヒが粘っている。
■攻めたいが.・・・
後半に入って、少しずつ疲れてくると、互いに攻める場所ができてきた。
マドリーもスペースを見つけるし、チューリヒはボールを奪ってカウンターを狙える場面がちらほら。
こういう時の、守るか攻めるか、という二択は選ぶのが難しい。
マドリーの哲学から言っても、対戦相手から言っても攻めたいところだが、前半なかなか2点目を奪えないというあまりよろしくない展開が続いていたので、見ている方としても、無理はしないでほしい状況だった。
70分にロナウドがラウールと代わって登場。
後半に入ってボールを受けに下がりがちだったラウールに替わって、負傷から帰ってきたばかりとはいえ、縦の速さが期待できる選手で停滞ムードを打破したい。
ロナウド個人に限ってみれば、試運転という形。
ロナウドが入ると、彼が1人である程度ボールを運んでくれるので、周りはとても助かる。
このあたりは、先に入っていたファン・デル・ファールトでは期待できない部分で、パスを繋いでも崩れない相手に、個の力を当てて何とかしてしまえるのがありがたい。
今朝はあまり好き勝手にポジションを替えていなかった2列目だが、ロナウドがあちこちに動くので、それに合わせてあれこれと動いていた。
攻撃の時に、守備側が想定していない場所にいるというのは大事なこと。ただ、それが守備に替わった時にちゃんと居場所に戻れるかが問題なのだが。
少なくとも今朝は、チューリヒが人数をかけて攻めるシーンが少なかったので、助かっていた。
終盤は互いに攻め合い。1点差でこの展開は心臓に悪い。
事故が起こらないとはいえないので、当然のことではあるけれども、どこかで2点目を取って、試合を締めておくべきだった。
何となく守り切れてしまうこともあるが、同点ではいけない試合なので、終盤の1点差はできるだけ避けておきたかった。
今朝はチューリヒの迫力のなさにも助けられ、1-0のまま試合終了。
2点目が遠かったが、それなりに何とかなった試合ではあった。
■今後
ミランとマルセイユの試合は引き分けに終わったため、マドリーが首位に浮上した。
次節マルセイユに勝てば、文句なしの1位通過となる。そうなれば久々の感じがする。
週末はバルセロナ戦。アルビオルが靭帯を痛め、招集が危ぶまれているのが不安だが・・・
守ってカウンターでも文句を言われない試合ではあるだけに、カウンターでは世界屈指の選手を揃え、守備意識を高めて試合に入るのもありだろう。
それともペジェグリーニは自身の哲学を貫くのか。
楽しみだ。
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