レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

スーペルコパ・デ・エスパーニャ第1戦 vアトレティコ

CL決勝の再現となったスーペルコパ。互いに新たなプレーヤーを加え本格的にはこれからだが、ベースはしっかりした2チームの試合。

■マドリーの先発メンバー

GK:カシージャス

DF:カルバハル、ペペ、セルヒオ・ラモス、マルセロ

MF:シャビ・アロンソモドリッチ、クロース

FW:ベイル、ベンゼマロナウド

46分:ロナウド→ハメス・ロドリゲス、77分:モドリッチ→ディマリア

アンチェロッティの発言通りカシージャスが先発。一番様々な可能性のあった中盤は、アロンソが先発に入り、クロースとモドリッチと組んだ。

アトレティコの先発メンバー

GK:モジャ

DF:ファンフランミランダ、ゴディン、シケイラ

MF:ガビ、マリオ・スアレス、サウル、ラウール・ガルシア、コケ

FW:マンジュキッチ

57分:サウル→グリースマン、63分:シケイラ→アンサルディ、78分:マンジュキッチラウール・ヒメネス

アルダが負傷で間に合わず、サウルが先発。GK、センターフォワードと重要なポジションに新たなプレーヤーが入ったアトレティコ。今シーズンもしっかりしたチームになりそう。

■クロースとシャビ・アロンソの重複

マドリーの中盤はアロンソモドリッチ、クロース。

セビージャ戦はアロンソがおらず、クロースが下がり気味の位置にいて、ハメスが高い位置を取っていたが、ローテーションの意味もあってかハメスがベンチに。

クロースはセビージャ戦同様低い位置から長いボールを出すイメージだったが、アロンソがいるこの試合ではその役割が重複してしまう。この2人の併用が今後もあるかどうか、今の時期からはなんとも言えないが、併用するならば役割の整理が必要。全員が自陣に下がり、フォワードが最終ラインを捨ててピボーテを見るような形を取ったアトレティコに対しても、ここまで人数を割く形を取らなくても大丈夫だった。

クロースとアロンソが重なったことで、攻撃に影響が出た。

ベイルとカルバハル、ロナウドとマルセロの両サイドの能力は高いが、全員が自陣に下がるアトレティコに対してはスペースがなくなかなか崩すに至らない。攻撃側としてはバランスを崩して局所的に数的優位を作りたいところだが、両サイドは2人ずつで固定されており、モドリッチが右で絡む程度ではアトレティコの守備を偏らせるほどではなかった。

ディマリアをインテリオールで起用する意味の1つはここにあって、彼が左に入れば左サイドにアトレティコの守備を引っ張ることができる。クロースとアロンソを併用することで、そうしたプレーヤーを中盤に入れる余地がなくなってしまった。落ち着いてボールを持つことはできるが、そのボールをゴールに入れるためのアイデアが欠けてしまった状況で、この先発の選択は結果的には非常に保守的だったと言える。

ただ、クロースとアロンソから出るサイドへのロングボールが今後効果的になってくれば、そこから攻撃のスピードを上げることはできるだろうとも思われ、それは収穫。彼らから主に右へ出るロングボールは正確で、一気にサイドを変えることができる。ベイルがスペースのある状態でボールを受けられればベストで、一気に速攻に繋げることが出来る強い武器だ。

彼らの長所を生かしながらうまく使い分けていくことが、当面の課題だろう。

中央のベンゼマは相変わらず楔の受けと落としがうまい。彼がいるのといないのとでは中央のボールの収まりに格段の差が生まれる。ゴール前での迫力はおいて、これを続けられる限り彼のプレーはマドリーに必要。彼とうまく絡む意味でも、中盤に高い位置で生きるプレーヤーを入れた方が攻撃面だけを取れば面白い。

両サイドが固定化され、狭いスペースを崩せないマドリーは前半良い場面を作れず。

クロースやアロンソ、セルヒオ・ラモスのパスのおかげで比較的スペースを得られていたベイルも、2人3人とカバーに入るアトレティコの守備陣を独力では突破できない。変化を加えられるプレーヤーが出てくることが必要な状況で45分を終えた。

■バランスを崩せるディマリアで展開を変える

後半頭からロナウドに替えてハメス。

そのまま置き換わった形で、ロナウドより中に入る形が増えはしたが、前半同様流動性はあまり生まれず。これでは単純にマッチアップを制するほかなく、しっかり守るアトレティコを相手に苦労する展開が続く。

アトレティコの攻撃もまだ手探りな印象。

ジエゴ・コスタがチェルシーに去り、マンジュキッチと契約したが、サイドに流れるところに長いボールを入れていけた前者に比べ、後者は中央で空中戦を厭わない印象で、その差が微妙に影響しているように感じられた。

マンジュキッチとセルヒオ・ラモスの競り合いでは両者にイエローが出ており、昨シーズン同様カードを気にしながら接触プレーを続ける必要がある精神的なコントロールの面でも面倒な対応をする必要がありそうだが、現段階ではアルダがいなかったこともあり、何度も危ない場面を迎えるほどではなかった。

守備の負担がそれほど重くなく、ベルナベウであることを考えても1点は欲しかったマドリーは、77分にモドリッチに替えてディマリア。より攻撃的に出るならアロンソと交代する方法もあったが、モドリッチとの入れ替えでも効果ははっきり現れた。

左サイドにどんどん出て行くディマリアによって、アトレティコの守備はそれにつれてサイドに人を割くことを迫られる。しかも徐々にスペースができだす時間帯で1対1ならするするとかわせてしまうディマリアの応対は大変。前半のサイドチェンジにもうまくスライドして対応していたアトレティコだったが、ディマリア出場以降の時間帯はドタバタした。

終盤に彼のようなプレーヤーが入ってくるのは守備陣にとって本当に辛い。

つかまえるのが難しいし、体力の消耗がないディマリアに疲労した状態で対応することになるプレーヤーは悲劇。

もちろん、ディマリア本人としてみればこの時間帯からの使われ方には全く納得していないだろう。彼の飛びぬけた能力は、80分や110分であってもこうした途中出場と同じくらい走れるところにある。CL決勝の延長でのプレーも記憶に新しい。

攻撃の重要なピースであり、守備もできてしまう彼をこのまま行かせてしまうのは本当に惜しい。

マドリーは81分に先制。

右サイドからのクロスは跳ね返されるが、それを拾ったクロースがミドルシュートを見せながら右のカルバハルへ。カルバハルのグラウンダーのクロスがベンゼマに収まり、一度はつぶされるが、こぼれたところをハメスが押し込んだ。

クロースのミドルシュートを見せつつ右へ展開したプレーは見事。エリア周辺でもプレーできることを示した。

リードして終えたかったところだが、88分にコーナーからラウール・ガルシアに押し込まれ1-1。

ニアで競り負け、ボールを跳ね返せなかったことが残念。入ってきていたラウール・ガルシアに対してもセルヒオ・ラモスがつききれていなかった。

アトレティコの強みであるセットプレーでやられ、マドリーは突き放すことができず。

終盤の試合運びは、シーズン序盤の雰囲気で甘さもあったように思う。マドリーとは違い、コーナーが続くとどこかで合ってくるのがアトレティコ。今シーズンも何度かあるであろう対戦に向けて良い教訓となる失点、引き分けだった。

■第2戦へ向けて

ロナウドの負傷の程度は軽いようで何より。この負傷交代がなければハメスを中央でつかっていたかもしれない。

ディマリアのようにバランスを崩していけるプレーヤーは貴重だし、しかも守備まで無理が利くとなれば尚のこと。ハメスを中央で使うとなると、今のところはそうした守備の偏りを生むようなプレーを期待はできず、守備的な負担も厳しいという印象なので、何とかしてディマリアには残ってもらいたい。

ベルナベウの観客も、ディマリアにはひときわ大きな声援を送ってアピールしていた。

第2戦では得点が必要。

中盤の役割を整理し、効果的に攻撃に出られる形を模索したい。ディマリアを先発起用し、今後に備えてモドリッチを休ませてクロースを少し高い位置に上げることも試してみる価値はありそう。

前線と最終ラインはほとんど変えようがないので、中盤をうまく調整して、昨シーズン同様良い着地点を発見してもらいたい。