レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

リーガ・エスパニョーラ第22節 vエスパニョール

CLもあり、リーガでもアトレティコとの対戦が控えている2月。そろそろシーズンも佳境である。

■マドリーの先発メンバー

GK:ケイラー・ナバス

DF:カルバハル、バラン、セルヒオ・ラモス、マルセロ

MF:モドリッチ、クロース;イスコ

FW:ハメス・ロドリゲス、ベンゼマロナウド

63分:モドリッチ→ヘセ、70分:クロース→カゼミロ、74分:ベンゼマ→ルーカス・バスケス

カルバハル、セルヒオ・ラモスが先発に。ハメスは引き続きベイルの代役として右で先発。

エスパニョールの先発メンバー

GK:アルラウスキス

DF:ハビ・ロペス、ロコ、アルバロ・ゴンサレス、ドゥアルテ

MF:エルナン・ペレス、ビクトル・サンチェス、ディオプ、サルバ・セビージャ

FW:ジョルダン、シラ・ディアロ

46分:サルバ・セビージャ→オスカル・ドゥアルテ、ドゥアルテ→フエンテス、58分:ビクトル・サンチェス→アブラアム・ゴンサレス

マドリーからレンタル移籍しているアセンシオとブルギは契約上出場できない。

■もの分かりがよすぎたエスパニョール

ジダン体制となって4試合目。サンプルは少ないながらも、ここまでの3試合では、リトリートしてマドリーの攻撃を受ける形を取ったデポルティーボスポルティングは大量失点を喫し、高い位置から接触を厭わず追い回しに出たベティスは1失点で抑え勝ち点1を挙げている。

ジダンの下、マドリーはポゼッションを重視しており、高い位置からプレスをかけるとスペースができることになるので、定石から言えばうまくブロックを作った方がいいということになるのだが、ディフェンスを寄せてからのサイドチェンジでピッチの幅を大きく使い攻撃で着ているし、アタッキングサードでの連動もできているので、そう簡単には受け止め切れていない。

ベティスのように、ボールは奪えなくとも流れを寸断する守備を続けられる方が、今のマドリーにとってはやりづらい。

その意味で、エスパニョールの守備はありきたりで、もの分かりが良すぎるものだった。

4-4-2の形で2トップはクロースとモドリッチを見ていたが、展開される危険がある時はファールであっても止めるようなマークではなかったし、バランとセルヒオ・ラモスに戻した時はほぼ自由に持たせてくれたので、ポゼッションには余裕があり、ショートカウンターに繋がるような危険さもなかった。

サイドに出たりしながら前線と中盤の間をふらふらと移動しボールを引き出すイスコへの対応も早くなく、彼や一つ高い位置に出たモドリッチは、技術を生かしてすぐに密集から脱出することができていた。そうなると、クロースやラモスの大きな展開が生きてくることになる。

左から右へ振る形が多く、ハメスとカルバハルは広いスペースでプレーすることができる。

カルバハルのクロスの精度は安定して高いレベルを維持しているが、問題はこのところ調子が上がっていないハメス。利き足の反対サイドであり、縦に抜けるプレーができないことからプレーに工夫が必要な状況。

だが、攻撃陣はフリーランニングが増えており、追い越したりラインの裏に出たりすることが多く、ボールを持ったプレーヤーを助けられている。ハメスもカルバハルやモドリッチベンゼマのサポートを受けられていた。

そうなるとさすがに技術は高い。僅かでもディフェンスがずれたりマークの受け渡しが曖昧になったりすると、相手を外すことができる。先制点のベンゼマへのクロス、相手に当たってコースが変わったものではあったが3点目のミドルシュートと、右サイドで少しのズレからチャンスを作っていた。

1点目は、一気にラインの裏に出たモドリッチがロングボールを受け、そこからの落としを生かして早いタイミングでクロスを入れられていたし、3点目の場面は利き足の反対サイドらしい中への進入でシュートに持ち込めていた。

同じ左利きのベイルが右サイドでもプレーに慣れてきて、結果を残しているのだから、ハメスも同じようにプレーの幅を広げてくれれば。

マドリーは良い形でボールを動かし、ロナウドのPK、カウンターからのゴラッソの2得点と合わせ、前半のうちに4得点。デポルティーボスポルティングに続き、ベルナベウで受けに回ったチームに対し前半で勝負をつけた。

■懸念材料

フィエスタとなった試合ではあるが、懸念材料を2つく。

まず、組み立てについて。

ベティスのようなやり方のレベルの高いチームと当たった時に、どういう仕組みでそれを回避しボールを前に薦めるかという点については、何も示されていない。

率直に言って、工夫せずともプレスをかわしてしまえていたので、厳しい守備を受けた時にポゼッションをどう安定させるかということは試せていない。ポゼッションを大事にするならば、アタッキングサードでの崩しとともに、後方の安定を図らなければならないので、その点が今後CLなどを見据えてどこまで高められるか。

また、前半のうちに大量点を取ったことで後半の緊張感がなくなっており、90分をどう過ごすかというペース配分を学べていない。どの試合でも前半で3点4点と取れればそれに越したことはないが、そんなことはありえない。より強いクラブとの対戦となれば、ビハインドやリードしていても僅差で90分を戦わなければならなくなる。

そうなった時を想定すると、こうした試合が続いていることはあまり歓迎すべきではない。

士気の高さもあって、守備面でも勤勉なプレーを見せてくれてはいるが、点差がついてだれることを繰り返していると癖になる。もともとマドリーは集中が持続できないことが多いチームなので、90分のマネージメントに実戦で慣れていかなければならない。

このところの大勝は、もちろんそれ自体は嬉しいが、今後に向けては少々緩すぎる。重要な試合で失敗しなければ良いのだが。

ただ、攻撃面では途中出場のヘセが意欲的なプレーをしてくれ、チームの推進力となった。後半に2得点できたことは、相応のレベルを維持できていたことを示すもの。この点においては、チームの層を考える意味でも評価したい。

■今後に向けて

ジダンのチームはベルナベウでの3試合を全て大量点で勝利。ベティス戦は残念だったが、確実にマドリディスタの支持を得ている。

後押しを受けていろいろ試せる時に試す方が良く、ハメス、ヘセ、ルーカス・バスケス、カゼミロといったあたりの扱いを模索しているようなところは先を見据えて良い選択。

最初に触れたように、2月はCLもあり、リーガでも難しい相手が続く。1月のように楽な試合ばかりではなく、試合間隔も短くなってくる。

まだまだスタートして間もないチームではあり、仔細に見れば課題も多く不安があることは確か。だが、クラブを取り巻く雰囲気の良さはアンチェロッティ期を上回るほどの印象。それだけでも前向きに戦える非常に大きな材料だ。

負ければまた騒がしくなるだろうが、せっかくのポジティブな雰囲気を壊さぬよう、うまくチームを管理できれば、少なくとも終盤までタイトルを争うことができるだろう。

次節はアウェイでグラナダと対戦。その後、アスレティック(H)、ローマ(A)、マラガ(A)、アトレティコ(H)と続く。まずはこのあたりが山になる。良い形で乗り越えて欲しい。