コレオもあって、ベルナベウは良い雰囲気。こういう盛り上がりはCLならでは。
■マドリーの先発メンバー
GK:ケイラー・ナバス
DF:カルバハル、バラン、セルヒオ・ラモス、マルセロ
MF:カゼミロ;モドリッチ、クロース
71分:セルヒオ・ラモス→ペペ、76分:ハメス→ルーカス・バスケス、81分:ベンゼマ→モラタ
ハメスの先発はサプライズだった。カルバハルが帰ってきて、最終ラインは磐石。
■ナポリの先発メンバー
GK:レイナ
DF:ヒサイ、クリバリ、アルビオル、グラム
MF:ディアワラ;ジエリンスキ、ハムシク
75分:ジエリンスキ→アラン、83分:ハムシク→ミリク
アルビオル、カジェホンは元マドリー。モリエンテス、モラタなど、マドリーはそういうプレーヤーにやられがちなので注意したい。
■いきなりのアウェイゴールから
8分にナポリがさっそく先制。
ディアワラ、ハムシクのパス回しにマドリーが食いつきすぎ、中央にスペースが生まれた。そこにインシーニェが入り込み、ロングシュート。ナバスの戻りも及ばず決まり、アウェイゴールを与えることになった。
ナバスのポジショニングはよくわからない。飛び出すことも考えていたのか、随分前にいた。
ポジショニングと言えば、セビージャ戦でのヨベティッチのゴールも思い出され、彼の印象が悪くなる。セービング以前の問題がこういう大きな場面で起こるのは辛い。
ただ、根本的な問題はその1つ前。
ナポリの中盤のパス回しに必要以上に寄って、重要なスペースを明け渡したことがそもそもの発端で、そういうところに飛び込むのが得意なプレーヤーにしてやられた。
立ち上がりの勢いを重視するにしても、不用意なディフェンスだったといわざるを得ない。ナポリのポゼッションの力量を見誤ったのかもしれないが、決勝トーナメントの序盤にしてはバランスを崩しすぎ。立ち上がりにこの守り方は、相手に自信を与えることにもなるし、残念なプレーだった。
このアウェイゴールから慌てなかったのはさすが。
混乱してメリットがあるのはリードを得ているナポリの方だから、慌てず攻撃の形を作るのが良い。
ベンゼマは最近の試合の中では良くボールに触れていたし、ボールは動かせていた。両サイドは比較的ボールを持たせてもらえていたので、中央をつついてからサイドに振る形が作りやすかった。
また、マドリーの右サイドがハメスだったのもポイント。ルーカス・バスケスだと縦に行けるが、その反面淡白な攻撃にもなりがち。攻守のバランスが良いのは大きなメリットだが、ルーカス・バスケスがアタッキングサードで仕掛けられずにいるような状態が続くと、行ったりきたりするだけになってしまう。
ハメスだと、左利きであるので、切り返すことになる。攻撃が遅くなるデメリットはあるが、時間はでき、周囲が適切に絡めば右でも崩しにかかることが出来る。
今回は、じっくり形を作るという点で、ハメス起用のメリットが強く出た試合となった。
マドリーの同点ゴールはその右サイドから。
18分、カルバハルの右足アウトでのクロスにベンゼマが頭で合わせた。カルバハルのボールが見事。復帰してきていきなり良い仕事をした。
ベンゼマは調子の良さが報われるゴール。組み立てへの貢献だけでなく、こういう重要な場面で決められることを示すのが大事。
マドリー同様、ナポリも両サイドでスペースを得られていた。
同点となって以降は、互いにサイドを基点にどうしようか、という流れに。マドリーからすると、スピードのあるプレーヤーが並ぶナポリの前線がサイドで受けた時に積極的に仕掛けてこられる方が対処は難しかったのではないか。
良い形で受けても、そこから手数をかけてくれたのは、マドリーにとっては幸運だった。
同点では先々が苦しいマドリーは勝ち越しを狙う。
マドリーも良い攻撃ができていて、チャンスは多かった。ベンゼマがレイナと交錯した場面やロナウドのシュートなど、これは決めておきたいというシーンが何度もあった。
決めきれなかったのは残念だが、こういう勢いがある攻撃は久しぶり。コンディションの良さが伺われる前半となった。
■今度はマドリーが
互いに手応えを感じたであろう前半を追え、後半に先手を取ったのはマドリーの方だった。
48分、ロナウドが右サイドでボールを運び、ハメスに預けた後改めて仕掛ける。ゴールラインに近いところで、先にディフェンダーがスライディング。まだ余裕のあったロナウドが更に侵入、角度のないところからクロースに戻すパス。
これをダイレクトで隅に決め、勝ち越しに成功。
お馴染みのクロースのインサイドでのシュート。僅かにバウンドしていたが、性格に合わせた。
落ち着いてパスを出したロナウドは、その場面だけでなく、最初のボールの運び方も見事。スピードで仕掛けられるコンディションのよさを見せてくれた。これを見せられると、ディフェンスは寄せ方を考えざるを得なくなる。
さらに51分、コーナーキックからの流れから、波状攻撃。ハメスが受けたところからこぼれたボールをカゼミロがボレーシュート。アウトにかかったボールがレイナの手の届かない素晴らしいコースへ決まり、5分間で3-1とした。
力まずに振った良いシュート。中盤の底で渋い働きを続けてくれていたカゼミロの勲章となるゴールだった。
後方で繋ごうとしたナポリの判断は考えもの。前半から中盤のパス回しではマドリーのプレスを回避するだけの速さと正確さを見せていたが、低い位置では事情が違う。
勝ち越して勢いが出たマドリーに対してのこのプレーは軽率。ゴールそのものは突発的なものと言えなくもないが、そのきっかけは、ナポリにとっては悔やまれるプレーだった。
一気に2点差となって、マドリーは余裕が出た。
だが、受身に回りすぎるのも考えもので、この後はナポリの攻撃をまともに受けすぎて、危ない場面を作られていた。
その分カウンターに出る機会もあるにはあるが、3-2となれば第2戦の不安は増す。次官も永く残されていたので、まずはしっかり点差を維持していきたかったところ。
中盤でプレッシャーをかけつつ、ナポリの前線の動き出しに対処するのはかなり難易度が高い。結局最後までつききれなかった印象もあって、ナポリに希望を与えるような内容になっていたのも確か。
第2戦に向けて、これは厳しいと思わせる守備が出来ていればよかったのだが、リードして以降も守備がそこまで改善しなかったのは、もったいなかった。
マドリーは71分、打撲を負ったようだったセルヒオ・ラモスを下げペペ。ナポリは75分にジエリンスキをアランに替えて中盤に手を入れる。
守備に不安を残したくないということで、頑張っていたハメスを下げ、ルーカス・バスケスを投入。サイドのスペースを埋め、更にモラタを入れてロナウドを前線に残し、人数をかけた守りに。
ここからの時間帯で追加点を取りたかったが、最後のところで合わず。何とか凌いでいたので、第2戦を楽にするゴールがほしかった。
とはいえ、3-1での第1戦終了はまずまず。
結果もそうだし、全体として休みが良い形でコンディションに出ていたことが嬉しい。
■最後に
アウェイゴールこそ与えたものの、マドリーはまずまずの結果を得た。これを続けられれば、という内容でCLの再スタートを切れたことを喜びたい。
点差としてもプレー内容としても、ナポリに希望を残したのは残念。特に守備面ではやられたという場面もあって、ホームでは点を取れるという気持ちにさせてしまった。ナポリが攻めに出てくるところを、うまくカウンターに繋げていければ。
第2戦は3月7日に開催。
マドリーはここから過密日程。ミッドウィークのリーガもあり、大変だが、一つ一つ戦っていってほしい。