レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

CL準決勝第2戦 vバイエルン

ベルナベウで薄氷を踏むような試合。ギリギリのところで勝ち抜け、3シーズン連続での決勝進出を決めた。

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 ■マドリーの先発メンバー

GK:ケイラー・ナバス

DF:ルーカス・バスケス、バラン、セルヒオ・ラモス、マルセロ

MF:モドリッチコバチッチ、クロース、アセンシオ

FW:ベンゼマロナウド

 

72分:ベンゼマ→ベイル、コバチッチ→カゼミロ、88分:アセンシオ→ナチョ

 

ナチョは招集されたものの先発とはならず、第1戦でカルバハルが退いた後と同様バスケスが右サイドバックに。

中盤ではコバチッチが先発となった。

 

バイエルンの先発メンバー

GK:ウルライヒ

DF:キミッヒ、ジューレ、フンメルス、アラバ

MF:チアゴ・アルカンタラミュラーハメス・ロドリゲス、トリッソ、リベリ

FW:レバンドフスキ

 

75分:トリッソ→バーグナー、84分:ハメス・ロドリゲスハビ・マルティネス

 

アラバが復帰。

ハビ・マルティネスもコンディション不良で、低い位置にチアゴビダルも欠いており、本来やりたい配置はできない状況での選択だったが、これが効いてくることになった。

 

■チアゴを捕まえられない

 バイエルンが3分に先制、勢いに乗るもマドリーが11分に同点に追いつく、慌しい序盤。

失点の場面はセルヒオ・ラモスの軽率ともいえるクリアミスを逃さずキミッヒに仕留められたもので、幸先は良くなかったが、早い時間に追いついたことで傷を広げずに済んだ。

決めたのが批判が続くベンゼマだったのも嬉しい。調子が落ちていたプレーヤーがこういう試合で結果を出すと、個人はもちろんチームの雰囲気がぐっと良くなるからだ。

残りのシーズン、もっと言えば今夏の補強戦略にも関わるようなゴールになるかもしれない。

 

さて、バイエルンはチアゴが底の位置。ロッベンビダルを欠き、ハビ・マルティネスも先発では使えない状況で苦肉の策だったものの、彼のパス供給でバイエルンの攻撃は非常に安定した。

アゴが出したボールを危険な位置に届けるのがハメスで、ハメスは第1戦同様門を通すパスを多く出し、攻撃の引き金を引く役割を果たしていた。

 

最初のボールの出所であるチアゴを捕まえたいマドリーだが、4-4-2では低い位置にいるチアゴを見るにはベンゼマが一列下がるか、コバチッチかクロースが前に出る必要がある。

この対応が統一されていなかったので、状況により近いプレーヤーが寄せることに。都度判断するということは、それだけずれたり、判断が遅れたりするリスクを孕むことを意味する。

 

第1戦のようにイスコがいる形であれば、1.5列目のイスコが(プレースタイルとして継続的に守備するかどうかはともかく)チアゴを常時見る組み合わせになるのだが、マドリーはイスコを欠いていた。

負傷者もいる中で互いに使える戦力からやり方を選択した結果、バランスとしてはバイエルンが安定して攻撃を作れることになったのだった。

 

■右サイド

マドリーの問題のもうひとつは、カルバハルを欠く右サイド。バスケスサイドバック、その前にモドリッチが入り、2人でカバーすることになった。

対するはリベリと、復帰してきたアラバのコンビ。

第1戦ではリベリが奮闘し、ロッベンを失った状況でも多くチャンスを作れていた。そこにアラバが入ったことで、更に力を増すことに。

 

バスケスは不慣れなポジションながら奮闘。最低限の守備はこなしていた。

ただ、それはモドリッチのカバーあってのもの。普段よりサイドの対応に重点を置いていた彼のプレーによって、2対2の対応で何とか凌いでいたという印象。

受け渡しなどの場面で細かく気になるところはあったし、攻撃で色を出すような余裕はなかったが、やむを得ない。この2人分の守備をしつつ、攻撃でも欠かさず顔を出してくれるカルバハルの偉大さを思い知る。

 

しかし、第1戦ほどはバイエルンが左から攻めてこなかった。こちらのサイドを重点的に突かれていたら、どこかで決壊していたかもしれない。

逆に言えば、それだけ中央でいい縦パスが入っていたということだろう。ラインの間にどんどんボールが入っていけば、そこから中央からの崩しにかかりたくなるもの。

マドリーにとっては、サイドからレバンドフスキミュラーを狙うボールが多く入るのが嫌で、ユベントス戦のようにサイドバックが高さで勝負することになると苦しかった。

この試合のバイエルンの中央の良さが、返ってマドリーのサイドの問題点を顕わにしなかったといえる。

 

■幸運なゴールも、コントロールできず

前半とは逆に、プレーがスタートしてすぐの時間に今度はバイエルンに信じ難いミス。

 後半開始早々、トリッソのバックパスが短くなったところ、ウルライヒが対応を誤り、ベンゼマが押し込むだけのゴールを決めた。

 

ここからダメ押しといければ早々と決着をつけられたのだが、チアゴとハメスのところをどうしても捕まえられないので、ディフェンシブサードで危険と隣り合わせの守備がたびたび。

 

63分にハメスのゴールが決まった後は、時間を経るにしたがって、カウンターを狙うどころの状況ではなくなってしまった。

この時間帯に至っては、支配率を高めて試合をコントロールできればよかったのだが、序盤から得点が動いた試合の流れを押しとどめるのは難しい。あと1点取ればアウェイゴールの差で勝ちこせるバイエルンにとって都合が良い、落ち着かない展開のまま終盤まで戦うことになった。

 

72分にジダンはベイルとカゼミロを投入。

高さを補いつつ、できればカウンターを狙いたいといったイメージの交代。この試合展開なら、できるならここでイスコを入れたかった。リーガで何試合か見られたように、リードした状態でイスコをいれ、ポゼッションを安定させて逃げ切る形にもちこめれば良かったのだが、負傷が悔やまれる。

結局のところ、ベイルとカゼミロではバイエルンが望む展開を変えることが出来ない。彼らの投入は、その展開の中で相手を上回るかどうかでしかなく、リスクを減らす効果は得られないのだ。

コバチッチを下げたことにより、これまで以上にボールを運ぶのが苦しくなって、押し込まれるところを凌ぎまくるしかなくなった。

 

バイエルンはバーグナーを入れて前線の高さを増やし、最後はハビ・マルティネスもつぎ込み、最後の一押しを狙う。対するマドリーはナチョを使い、守備固め。

パワープレーの時間は10分程度あったものの、何とかゴールは許さず、合計4-3で決勝進出を決めた。

 

終盤に至っても、レバンドフスキミュラーに決定的な仕事をさせなかった守備陣の粘りは見事。

良いシュートはされていたが、アラバ、トリッソと中盤より後ろの面々が放つものが多く、「本来決めるべき人」は終始試合から排除できていた。

最後のパワープレーの連続にあっても、彼らに良いボールを与えなかった意味は大きい。

 

ナバスの冴えも忘れるわけにはいかない。ベンゼマと並んで批判の集まりやすいプレーヤーがチームを救うことになった。

エリア内のボールもよく読んで良い反応。弾く判断のときも、相手にセカンドチャンスを与えないコースにボールを逃がせており、調子が良かったのだろう。ユベントス戦でのミスを帳消しにして余りある活躍をしてくれた。

 

バイエルンは丁寧にやりすぎたかもしれない。

マドリー右サイドを狙い続けるとか、早めにクロスを増やした高さ勝負に打って出るといったようなやりようはあった中で、パスを繋いでの攻めが多かった。

前述の通りチアゴとハメスからのボールはマドリーの守備の間を通っていたし、後退させられてもいた。彼らを出発点にした攻撃の作りは、もちろん間違っていない。

 

だが、最後のところでリズムが変わらなかったともいえる。崩せはするがフォワードが目立つことがほとんどなかったのだから、結果としてはマドリーの守備陣が点差も計算に入れながら逃げ切ったという評価になってしまう。

中盤の優位を得点源に直結させなかったという点で、ごく僅かにマドリーが上回ったといったところだ。

 

■最後に

2試合とも、やりたいプレーをできていた割合はバイエルンの方が高い。

マドリーはユベントス戦同様、要所を締めミスを見逃さないトーナメントらしい試合運びで、バイエルンのものだった2試合から勝ちぬけをもぎ取った。

 

贔屓目に言っても6、7回は負けそうな状況だったが、その中で勝ちを拾う力は素晴らしいものがある。

こういう戦い方だと安定はしないからリーガの低調ぶりも同じ文脈の中にあるもの。それはそれで改善を要するのだが、シーズン序盤を思えば、ここまで勝ち切るようになること自体想像しづらかった。

 

今はトーナメントでの勝負強さを前向きに捉え、決勝でも同じ集中力が発揮されることを期待したい。