難しいアウェイの地で完敗。ソラーリ体制となって初めての黒星で、多くの課題を突きつけられた。
■マドリーの先発メンバー
GK:クルトワ
DF:オドリオソラ、バラン、セルヒオ・ラモス、マルセロ
MF:セバージョス;モドリッチ、クロース
FW:ベイル、ベンゼマ、アセンシオ
54分:オドリオソラ→カルバハル、63分:モドリッチ→イスコ、74分:アセンシオ→ビニシウス
マルセロが復帰。中盤の底はセバージョスを起用。
■エイバルの先発メンバー
GK:リエスゴ
FW:セルジ・エンリク、キケ・ガルシア
74分:セルジ・エンリク→シャルレス、83分:オレジャナ→セルヒオ・アルバレス、88分:キケ・ガルシア→デブラシス
アウェイでの勝ち点5は少ないが、その分ホームで勝ち点10を得ていて、上位に位置している。
■エイバルの実力勝ち
エイバルは狭いピッチを生かしてまえからのプレスを積極的に行っていた。
狭いサイドへ誘導され、最終ラインや中盤で速い判断と難易度の高いプレーを余儀なくされたマドリーは、効果的にボールを前に進めることが出来ず。
マドリーとしては、カゼミロを欠いてセバージョスが入り中盤でボールを持てるような形になったことがかえって災いしたかもしれない。
カゼミロがいれば、彼を経由しないか、したとしても良くも悪くもシンプルな捌きになるので、組み立てに手数をかけずに前線を使うという選択肢も生まれる。ハイプレスに対しカゼミロに預けることはないので、その分速い展開も自然と出てくるようになるのだ。
一方、セバージョスが入った形だと、みなパスを繋げるので、志向としてはショートパス寄りになる。
もちろんそれがメリットになることもある。相手を押し込んだ状態での手数の少なさは、特に今シーズン痛感しているところで、そういった場面でカゼミロとの違いは大きな長所になるだろう。
しかし、ショートパス主体の攻撃でありながら、エイバルのプレスをかわしきって前線にボールを供給できないのでは、この布陣で得られるメリットは少ない。
代表戦明けでコンディションに差があったかもしれないが、それを差し引いても、マドリーのポゼッションはエイバルのプレスに力負けしたという他ない。
■個の力もなし
組織としてはうまくいかない時に打開できる個の力という点でも、マドリーはその本来の魅力を発揮できずに終わった。
ベイルはこの試合こそフル出場となったが、見せ場はなし。ゴールに直結するプレーができておらず、彼を特別扱いする意義が感じられない。それなら守備も頑張れるバスケスの方が幾許かましなのかもしれないと思ってしまうほど、精彩を欠いている。
ロナウド後のチームにおいて、彼の役割はゴールを生み出すことだし、少なくともシーズン当初の序列は前線で一番になったのだから、せめて相応のプレーを選択してほしい。
アセンシオも同様で、常時先発できる序列になったのに、途中出場の時のような勢いを返って失ってしまっている。
彼もまたミドルレンジからのシュートがあり、それをデコイにしながら、アタッキングサードで幅広いプレー選択が出来るはずなのだが、悪い意味でチームの枠の中に収まっている状態だ。
ロナウドが抜けたことで自由に動くスペースとその立場を得たはずの面々が、ロナウドが未だにいるかのようなプレーに留まっているように見えることが、何とも残念。
ここで一段二段、ステップアップしてくれるプレーヤーが現れてほしいと切に思う。
過度な期待をかけたくはないが、ビニシウスのような立場から突き上げてくれると、前線のポジション争いで活性化するので、途中出場で良いところを見せてほしいところだ。
前線のプレー機会が普段より少なくても決めきるから「マドリーはこうやって勝つ」と自ら歌うことができるのに、エイバルのプレスで前線も沈黙するようでは厳しい。
■我慢できずに3失点
攻撃がうまく行かない時に我慢できないのも、今シーズンのマドリーの特徴のひとつだ。
先制点はマドリーのコーナーの後、陣形が崩れた状態でエリア内へシュート気味に蹴り込んだところからのカウンター。混乱した状態からのカウンターはエイバルにとっては望んだ展開。リスクマネージメントの点で問題があった。
2点目はオドリオソラのところで奪われてのショートカウンター。
こちらは繋ぐ場面での判断ミス。サイドへ開く選択肢がなかったこともあるが、ボールを手放したくないので内側へ向かってプレーしたことで、エイバルはボールを奪えてからの展開が容易になった。
こういうプレーをするなら、まず取られてはいけないし、相手が上回ったならカードをもらってでも対応しなければいけない場面。
オドリオソラの若さが出てしまったというような場面。
57分にはキケ・ガルシアにも決められ0-3とされて勝負あり。
チャンスさえまともに作れないまま、エイバルのやりたいようにやられてしまった。
■最後に
ビニシウスは序列的に15分程度でも良いだろうが、3点差がついて勝負が決まってから、モドリッチを下げるために出場することになったイスコは危機感を持ったほうが良い。
これまで通りの立場に戻ったとも言えるが、彼もまた一向にそこから飛躍できない1人である。
30分程度の時間、3点差がついて多少緩んでくる中でもこれといってできることはなかった。このままでは「足元はうまい。だが・・・」と言われ続けるプレーヤーでしかなくなってしまう。
疲労している年上のモドリッチやクロースのポジションを脅かせないことは、彼の現状を如実に表している。今シーズン、苦しい攻撃陣の中で存在感を見せられないのなら、見通しは厳しい。
バルセロナとアトレティコが引き分けたことで、リーガの中での比較としては傷は浅く済んでいる。
12月は何とか結果を繋ぎ、冬の市場で特に攻撃陣に手を入れてやり方を修正したいところ。
それまでは、現有戦力の奮起、底上げに少しでも期待を残したいと思う。
ミッドウィークはCLアウェイローマ戦、週末はベルナベウでバレンシアと対戦する。