レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

ロマンと現実の狭間で

マドリーの下部組織のディレクターだったミチェルが辞任した。

会見で現政権がカンテラを軽視していることを批判しての辞任劇だった。

この一件については、jumpinさんが書かれていたことに共感する部分が多いので、リンクを貼っておきますので、まずはこちらをご覧いただきたいと思います。

・現政権が必ずしもカンテラを軽視しているわけではないということ。(監督采配の問題はある)

・ミチェルがカルデロン会長のもとから離れたにもかかわらず、再び帰ってきたこと(カンテラ軽視というならば、なぜ帰ってきたのか)。

・今(シーズン途中)に辞任すること自体の問題。

これらの点はもっともだと思う。

ただ、貼るだけでは味気ないので、自分が思うところを少し。

・・・・・・・・・・・・・・・キリトリ・・・・・・・・・・・・・・・

カンテラで育ってきた選手をレンタル、または買い戻しオプション付きで移籍させて、経験を積んでもらってから帰ってきてもらう、というシステムは、それなりに合理的なものだと思う。

マドリーのトップチームで育てながら使うことができないならば、出番があるクラブで試合に出て成長してもらい、良いと思えば帰ってきてもらう。デラレやハビ・ガルシアはその成功例といっていい。

一方、デメリットは、出番が減る(かもしれない)ことを嫌って、帰ってくるのを拒否する選手が出てくること。そうした心情になるのは理解できるし、ネグレドのように実際に拒否反応を示している選手もいる。

直接トップに挙げてもらえず移籍を勧められた時に、クラブに軽んじられたと感じても仕方ないとも思う。

カンテラから直接トップチームへ上がって即活躍できる選手なんて、そうそういるものではないけれど、見る側としては”カンテラのスター”がトップで大活躍するストーリーを見たい。ラウールやカシージャスグティという選手たちがそういうストーリーを見せてくれたから、「次も」と思ってしまう。

欲を言えば、7番はラウールの次もカンテラ育ちのスペイン人であってほしいし、ゴールを守るのはこれからも生え抜きのキーパーであってほしいし、中盤で華麗にパスを出すカンテラーノがいてほしい。

遠く離れた日本のファンでも「生え抜きであること」を意識して、そういう選手を誇りに思うのだから、現地で応援するスペインの人たちの思いはもっと強いだろう。

ただそれは、言ってしまえばロマンなのだと思う。そればかり追いかけてはいられないのだ。

チームが勝つことがまずは優先されなければならないし、リーガとCLの両方を狙うならば、それ相応の金額を費やす必要がある。

それに、それぞれの選手のキャリアを考えれば、いつまでも手元においておくことはできない。チャンスを掴んでもらうためには、他のクラブへ移籍してもらうことも考えなければならない。

そうした現実の中にロマンをどれだけ求めるか、そのバランスの問題だ。

現実的なことばかりでは余りにもつまらないし、ロマンばかりでは立ち行かない。

その現実とロマンの折衷として、レンタルや買い戻しオプションの活用は”アリ”だと思うし、実際に帰ってきてくれた先例ができたのだから、それほど悲観的になることはないと思う。

これから見守っていかなければならないのは、jumpinさんが言うように、カンテラが、育てた移籍させるためだけ、それによる金銭的利益を得るためだけの存在にならないか、ということ。

それは現実的すぎるやり方だし、がっかりする。

現状に多く問題があることは間違いのないことだけれど、ゴタゴタしていた一時期から少しずつ改善していっていると思うので、何も今ネガティブな告発をしなくてもと思ってしまう。

その裏に、jumpinさんが言うように、現政権の足を引っ張りたがる人たちを感じてしまう。チームの成績の下降を自分の立場のために利用する人がいることを知っているだけに。