アトレティコには今世紀に入ってから負けていないのだとか。それでもデルビーはデルビー。独特のものがある。
■マドリーの先発メンバー
GK:カシージャス
MF:シャビ・アロンソ、ラス;カカ、マルセロ
66分:イグアイン→ラウール、69分:ベンゼマ→ガゴ、84分:カカ→ファン・デル・ファールト
ラウールはベンチスタート。センターバックにはガライが入った。
■アトレティコの先発メンバー
GK:アセンホ
MF:クレーベル・サンターナ、ラウール・ガルシア;レジェス、フラド、シモン
FW:フォルラン
46分:フラド→アグエロ、59分:レジェス→マキシ・ロドリゲス、89分:パブロ→シナマ
アグエロは先発できず。まだ万全ではなかったようだ。
■ダメなアトレティコ、つけこむマドリー
アトレティコはキケ・サンチェス・フローレスが監督に就任してからまもない。リーガでなかなか上昇して行けていない不安がチームに蔓延してしまっているような印象だった。
5分にマドリー先制。
ゴール前のごちゃごちゃしたところから無理に持ちあがろうとしたところをマドリーに狙われ、ラスからカカと渡ってミドル。正面からぐっと曲がって入るシュートはテネリフェ戦でも見せている得意のコース。
ドタバタしたアトレティコのミスから、マドリーが開始早々に得点することに成功した。
1-0となってからは、アトレティコの不安定さがさらに顕著に。
前から追うのか追わないのかもはっきりしていないようだったし、ラウール・ガルシアとクレーベル・サンターナは攻撃に出て行ったっきりということもしばしば。
ベンゼマとイグアインがバイタルエリアで楽にボールを受けては捌いていた。
そして出し手のシャビ・アロンソも楽々のプレー。
フォルランが見るところなのだろうが、1トップで、しかも他の選手が下がり気味という状態では物理的に不可能。というわけで、シャビ・アロンソから良いボールがどんどん供給される。中央では2トップやカカが、サイドではマルセロやセルヒオ・ラモス、アルベロアが気持ちよくボールを受けられていた。
24分、エリア内右サイドでベンゼマがボールを持ち、入ってきたマルセロへ。マルセロは角度のないところからアセンホの肩口、ニアの高いところへズドン。これで2-0。
なぜここにいるマルセロ、という場面が、中盤にあがるとやっぱり増える。そして点に絡めている。攻撃に関してはセンスがあるのだろう。
適材適所という基本に立ち返れば、サイドバック起用はもったいない。守備がうまくないけれど、攻撃は上手い選手を最終ラインに置いておく理由はないだろう。
ボールを奪う地点が低いアトレティコは有効な攻撃手段なし。
シモン対セルヒオ・ラモスが唯一のポイントになりそうだが、抜いてもペペが現れる。フォローも少ないし、マドリーにとっては助かっている。大きなピンチは30分ごろにフォルランのシュートがポストに当たったものくらい。
アトレティコの悪い状況にマドリーは大いに助けられている前半だった。
■アグエロ効果、マドリーのペースダウン
これで大きく試合の流れが変わった。
2トップになって、前線にターゲットが増えたことはもちろんだが、片方がサイドで受ければ、もう片方がスペースに入っていくことができる。
前半は押し込んでいたし、フォローが遅かったおかげで大きな問題は起こらなかったマドリーだが、フォルラン、アグエロの2トップに徐々に苦しめられていく。
裏も気にしなければいけないし、入ってくる2列目も見なければいけない。
彼のせいだけではないが、サイドで仕事をできていなかったレジェス。仕事の幅がより広いマキシで得点を狙っていく。
後半、というよりも前半の終わり頃からそうだったように思うが、マドリーはダメなアトレティコにペースを合わせてしまっていた。
2点取ってるし、失点しそうな雰囲気はないからのんびりでいいだろう、というような。
CL第3節のミラン戦で1-0にもかかわらず、だれてしまった時と同じような雰囲気。当然ペースを上げてくるアトレティコに対し、一度落としてしまった電源を入れなおすのは難しい。
ただ、65分のペレアの大きなミスが結果的にマドリーを救うことになった。
ボールを受けたペレアがイグアインをかわそうとして失敗。後ろにキーパーしかいない状況でボールを失い、しかも簡単に前を向かれるという失態。これをイグアインがきっちり決めて3-0。
絶対にやってはいけないプレーを、攻撃ムードが高まる中で谷てしまったペレア。狙っていたイグアインの姿勢は素晴らしい。
この直後、セルヒオ・ラモスがエリア手前でアグエロを倒し一発退場。アルベロアを右に、マルセロを左サイドバックに下げて4バックを保つ。
一人少なくなってすぐにラウール登場。結果論だが、これはもったいなかった。
一人少なくなっても相手に脅威を与えるには、イグアインやカカのように単純に速い選手の方が良い。
この後、多分疲労を考慮してだろうが、カカを下げてファン・デル・ファールトを入れたのも同様。残り数分なら頑張ってもらうのもありだったろう。
アトレティコは79分にフォルラン、81分にアグエロが決めて一気に盛り上がる。シナマも入れて押し込んでいく。
(この時にカカやイグアインがいれば・・・ディフェンスが減った時に1人ででもとどめをさせる選手がいたら、アトレティコの姿勢も変わっていただろう)
ロスタイムにアグエロが抜け出すが、最後はカシージャスがチームを救ってくれた。
最後の1点だけは許さず、3-2で勝利。
■コパへ
最後に盛り上がった試合だった。
マドリーにとっては必要のない盛り上がり方だったわけだが、自分たちの手ぬるさが招いたことでもある。
やはり相手がダメなときに、取れる時に点を取っておくことが大事。
前半に3点差とすることも考えられた試合だったし、そうなっていれば苦しむことはなかったはず。今日は勝ち点を落とさずに済んだが、今後はしっかり自分たちのペースで試合をしてほしい。
次の試合は火曜日、ホームでアルコルコン戦。
4点差をひっくり返すのは、どんな相手でも困難だが、前回失ったプライドを取り返すには、同じ相手に勝って、次のラウンドに進出するしかない。
精神的な面が重要になるだろう。全力で挑んでほしい。