今朝のベティス戦を早速。贅沢にも眠くなる試合というのはあるが、ドタバタした今朝はそれどころではなかった。
■マドリーの先発メンバー
GK:カシージャス
FW:イグアイン
75分:カカ→、グラネロ、79分:イグアイン→カジェホン、89分:エジル→ベンゼマ
ペペが復帰した以外は前節と変わらないメンバー。良い内容で勝利したので継続ということだろう。
■ベティスの先発メンバー
GK:ファブリシオ
DF:ネルソン、パウラオ、ドラド、ナチョ
MF:ベニャト、イリネイ、サルバ・セビージャ、モンテーロ
64分:ホルヘ・モリーナ→ポスエロ、73分:サルバ・セビージャ→サンタクルス、77分:イリネイ→カニャス
中位で頑張るベティス。3トップより2トップに近いと感じたので、この表記。
■今日のカカはダメ
前節、マドリーの内容が良かったのは、カカが低い位置で組み立てに参加したから。これによって組み立てを助け、前と後ろを繋ぐことができた。そして、出来たスペースを有効活用することで、厚みのある攻撃ができたから。
それを継続できれば、ということは前節分で書いた。
それでは今節はどうだったか。
まず、カカのポジションが大分高かった。その弊害は、ボールを前に運べないこと。待つばかりの前線へ後方からボールを届け続けるのは難しい。まして、今朝はベティスがホームの声援を受けて運動量の面で頑張っていたので、出し手に簡単に時間を与えてくれない。それでロングボールも精度を欠く場面が多く、リズムが悪かった。
また、前線で4人が横ならびに近くなる場面があって、前からの守備も機能しなかった。とりあえず追ってはいたが、連動する動きに乏しく、ただ追うだけになってしまっていた。
よって、ベティスは楔を入れ、落としてサイドへということを楽に出来ていた。マドリーは前の4人が完全に残る形になっており、4-2で守ることがしばしば。バイタルを自由に使わせてしまい、良い場面を頻繁に作られる。
また、マドリーの選手たちは接触に弱かった。イトゥラルデ・ゴンサレス主審は、少々の接触で笛を吹くことはなかったが、倒れてボールを奪われることが多く、結果ベティスはカウンターを良い形でスタートさせることができた。
4-2で守るマドリーは、自分たちの前でやらせるのではなく、戻りながらの守備を強いられ、後方の負担は大きい。
さらに、ディフェンスのプレーの軽さが久しぶりに連発されたことで、ベティスは序盤から気分良く攻められていた。軽さでは筆頭のマルセロをはじめ、飛び込んでかわされる選手が続出。守備の雑さは最近では一番酷い部類。
カカが降りず、前線の4人が横並び状態になったことで、攻撃ではボールを運べず、守備では4-2で何とかしなければいけない状況と、攻守にわたって悪影響が出た。
要するに、陣形をコンパクトに保って攻守に連動することができなかったということ。カカだけでなく、サイドのエジルも待つだけになってしまったのは痛い。カカで上手く行っていない時に、同様の役割を担ってもらえるようになればいいのだが。
イグアインが能力の高さを見せ、縦パス一本から独力でゴールを奪い、1-1で前半を終えた。
■交代策
イトゥラルデ・ゴンサレス主審が前半に腿裏の筋肉を痛めたため、後半頭から主審交代。彼の”本領発揮”はなく、マドリーとしては助かった。
ベティスの運動量はさすがに落ちてきて、マドリーが中盤で落ち着かない場面は減ってきたが、カウンターでの勢いは衰えず。
中盤で前にボールを運ぼうとする時にひっかかることは改善されていないマドリーは、ベティスの速攻を何度も受けることに。
後半ちょっと変わったのは守備でダメなマルセロが前で非常に良く絡むようになったこと。弱点を隠すより、良いところで勝負しようというような感じか。サイドでの攻撃参加も、中央に進出してのドリブルも、といろいろなところに現れだした。
これで、守備は4人か3人という状況になることもあるのだが、結果的にこれで2点目が生まれた。
カカのロブパスがディフェンスに当たってエリア内に落ちたところにマルセロ。トラップが大きくなったがロナウドがフォローしてダイレクトでシュートを決めた。
ところが、すぐに追いつかれる集中力のなさが今日のマドリー。
コーナーの処理をアルベロアが誤り、トラップが大きくなったところをモンテーロがボレーで決めて2-2。安定感が売りのアルベロアがこういう失点に直結する失敗をするところが象徴的だった。
同点になったのは55分。再び勝ち越すための方法として、考えられるのはカジェホンの投入だった。前述したようにエジルとカカの併用策は、前節のような効果をもたらさなかった。
運動量に乏しくなっているところに、カジェホンをサイドに入れると面白いということと、撃ち合いなら広いスペースを使える選手が良いだろうということ。カカもそういうタイプだが、今朝はそれが出来る雰囲気がなかったので、エジルかカカどちらかと交代という策。
あとは、出しどころの改善としてグラネロ。これで完全に撃ち合う形になるが、そこまで守備を諦めるかどうか。前線の守備の貢献がまったくない中では非常にリスクが高いが、点を取るなら。
そんな中、先にベティスが前線の交代をした。攻撃陣のリフレッシュという感じ。中盤に手をかけるより、スペースがあるしカウンターで走り勝てればという狙い。
モウリーニョは、結果として逆転後まで動かなかった。
勝ち点を落としそうな時には、時々大胆な交代策を取るモウリーニョだが、今朝の”待ち”にはどんな意味があるだろうか。
「壊れた試合は求めていない」とハーフタイムに指示を出したそうだが、ずっとドタバタしていた試合で交代もない、ということは、ピッチで判断しろという風にも捉えられる。
何しろ、相手のあることとはいえ、1週間前に出来ていたプレーや発想がほとんど出せていない状況だ。普通なら早々に手を打ちたいところだが、75分まで引っ張ったのは、ダメなところを自分で考えろという、ある意味で信頼した判断だったのかもしれない。
想像はさておき、マドリーの勝ち越し点は73分。
コーナーをセルヒオ・ラモスがヘディングであわせ、ファブリシオがはじいたところにロナウドがズドン。
ケディラがオフサイドポジションだったが、上手くボールを避けた。ファブリシオの視界には邪魔になっていたと思うが、プレーに関与したとは見なされずゴールは認められた。
その後、75分にカカをグラネロに。
はっきり守備を意識するラスを出す方法もあったのだが、ボールを持って落ち着きたい意図。
79分にはイグアインをカジェホンと交代。ボールキープしたい中盤と、とどめの4点目を狙うロナウド、カジェホン、エジルとを完全に切り離した、割り切った策。今日はどちらにせよ前線の戻りは期待できなかったので、それで良い。
最後にエジルをベンゼマと替え、ベンゼマのリハビリにロスタイムを充てたのだが、1点差のままなのでベティスは必死。最後までゴールを脅かされ続けた。
ベティスはイリネイをカニャス、モンテーロをサンタクルスと替え、中盤の運動量と前線の質の向上を図ったが、ぎりぎりのところで実らず。
最後のプレーは、セルヒオ・ラモスのハンドがとられず、判定にも助けられて、何とか勝ち点3を得た。
■もろもろ
マドリーの前線の悪癖に、ベティスの頑張りがかみ合って、非常に苦しい試合となった。ミッドウィークのCLに気持ちが行っていたのではないかと思う出来の悪さだった。
ほとんど同じメンバーで臨んで、こうも出来が違うと、まだまだかという気持ちにもなる。
いつも絶好調ということは当然望めないが、こういう試合を減らすように、技術だけでなく精神的にもコンスタントに良いプレーができるようになってくれればと思う。
それでも、リーガで勝ち点を取りこぼさない、チームとしての能力の高さははっきりと示した。そのことは評価したい。
ミッドウィークはモスクワで1-1と引き分けたCSKAをベルナベウに迎える。
半歩リードしている状況だが、油断せず、まず失点を避けながら勝ち抜けを目指して頑張ってもらいたい。