レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

CL準々決勝第1戦 vドルトムント

互いに重要なプレーヤーを欠いているチーム同士の対戦。できることとできないことをはっきり区別しなければ、いつも通りではいられない。

■マドリーの先発メンバー

GK:カシージャス

DF:カルバハル、ペペ、セルヒオ・ラモス、コエントラン

MF:シャビ・アロンソモドリッチ、イスコ

FW:ベイル、ベンゼマロナウド

72分:イスコ→イジャラメンディ、75分:ベンゼマ→モラタ、80分:ロナウド→カゼミロ

ディマリアが胃腸炎で急遽メンバーから外れる非常事態。これまでならイジャラメンディを使っていたアンチェロッティだが、今日はイスコを選択した。

ドルトムントの先発メンバー

GK:バイデンフェラー

DF:ピシュチェクパパスタソプーロスフンメルス、ドゥルム

MF:ケール、シャヒン;グロスクロイツムヒタリアン、ロイス

FW:オーバメヤン

64分:ムヒタリアン→ホフマン、67分:ピシュチェク→シーバー、74分:ケール→ヨイッチ

負傷者の数とそのプレーヤーの重要度で行けばドルトムントの方が痛手は大きかっただろう。レバンドフスキも出場停止で欠き、ギリギリの状態。

■ディマリアとイスコの差

マドリーが早々に先制に成功。

3分、ペペのフィードを右サイドでベンゼマが収め、上がってきたカルバハル、ベイルと繋ぎ、ベイルがバンデンフェラーより一歩早くボールに触れてゴール。

ベンゼマの落としとカルバハルの走るコース取りがぴたりと合った。カルバハルが良い形で受けてくれたことが非常に大きかった。

この得点によって、マドリーは焦らずボールを持つことが出来るようになった。もちろん1点では物足りないが、なかなか得点できなければ苦しくなるのは明らかだったので、とりあえずは落ち着ける状況となったと言える。

ディマリアの不在で難しくなったのは、サイドの攻撃とチームとしての守備の運動量不足を彼で賄うこと。

これらは、最近のマドリーにとっては生命線であると言っても過言ではなく、同じことをできる控えがいないことから、彼を欠くことは本当に大きなダメージになる。だから、彼の欠場が報じられた時はかなりの苦戦を覚悟した。

その意味でも、早い時間帯の得点は幸運だった。

イスコが入ったことで中盤は様子は変わる。

サイドで変化をつけられない分、オーソドックスに中央を崩すアイデアは増えるし、モドリッチとともにボールを預けられるポイントが増えることになる。

ディマリアがいる時のようなクロスは減るが、中央の近い距離感でパスを回す形を作れていたし、低い位置でもモドリッチの負担を軽減することは出来ていた。

2点目のような場面では、ディマリアならサイドに開いているだろう。イスコだからあの中央の位置にいたと言えるし、彼らしいシュートテクニックで得点を挙げてくれた。これは大きなメリットだ。

イスコ起用の大きなデメリットは、守備の不安。

この試合では、ドルトムントの攻撃をまともに受け止めることが多かったが、そうなるとロナウドベンゼマ以外の8人で守るにしてもなかなか難しい

特別彼のところをやられたという印象はないが、実質的に7人以下、しかもバランスを崩して守らなければならないことは、チーム全体にじわじわと負担を強いていくことになってしまう。

その点、ディマリアは1人分以上は走ってくれるので、その運動量の使いどころさえ間違わなければ歪な形でも何とかしてくれてしまうことがあるので、大きな違い。特に失点したく内向した試合では致命傷になり得る。

もう1つのデメリットを挙げるとすれば、ボールを持ちすぎること。

技術の高さは彼の強みであり、それは生かしていくべきだが、低い位置では危なっかしい。

そのあたりの判断がまずい場面が時折見られるので、特にドルトムントのように高い位置で奪うことを虎視眈々と狙っているようなチームに対しては、慎重にプレーしてもらいたい。

もちろん、こうしたデメリットがあるからイスコを使うべきではないということではない。

後者の問題にしてみても、今の4-3-3での経験が浅いためにそうなってしまうということは考えられる。ディマリアも少し前までは低い位置で不要なドリブルをして引っ掛けられる失敗を何度もして、ようやく今の形に落ち着いているのだから、やはりうまく起用して行くことは大事。

その中で、本来は適正なポジションのない今の形でもイスコらしい存在感の出し方を見出してくれるだろうと考えている。

■ボールの失い方に気をつける

ボールをいかにして持つか、ということを考える時に、その終着駅として、ボールをいかにして失うのか、ということは同時に考えていかなければならないポイント。

コンセプトとしてはマドリーは繋いでいきたいチームになっており、その際にどれだけリスクを負わずに済むかは重要なところ。高い位置でプレスをかけてくる相手を外せればチャンスだが、引っ掛けられれば一転してピンチになるから、局面で速い判断が要求される。

ドルトムントは、昨シーズンのようなものすごいプレスをしてきたわけではないが、チームとして意思統一されたプレスをかけてくるので、よられた時にはパスコースが全くないという状況になりがち。

個々のプレーヤーがばらばらに出てくれば、捌いてスペースを使うことも出来るのだが、そうならないところがドルトムントの強さだ。

この試合では、アウェイゴールを1つでも取れば第2戦に繋がる望みは非常に大きくなるため、最後まで切れることなく高い位置でのボール奪取を狙っており、マドリーにとっては厄介だった。

マドリーは、ドルトムントの攻撃を素直に受けることとなったので、毎回危険な形を作られていた。

サイドの守備が甘かったこともあるが、ロイスを掴まえられていなかったのが大きな問題で、彼はメッシのように周囲との関係とスピードでマドリー守備陣を攻略していた。マドリーが無失点で切り抜けられたのは、最後の場面で集中を切らさなかったことと、ドルトムントレバンドフスキがおらず、ボールをゴールに入れる役割のプレーヤーのレベルが下がっていたことによるところが大きい。

ペペは最後の球際で奮闘しており、チームの多くのミスを彼が救った。彼がこの試合のベストプレーヤーだろう。

そうした危険な場面に至るような失敗を何度かしていたのがカルバハル。

サイドで寄せられた時の判断が悪く、相手に良い形でボールを与えてしまうようなことが前半から見られた。先ほど書いたイスコとともに、経験を重ねてそうした局面でのプレーと判断の精度を高めてもらいたいプレーヤーだ。

高い位置では特長を生かしてプレーできるのだが、中盤より後ろの位置でボールを受けた時が課題で、ドルトムントのうまい寄せにまんまとやられていた。

ペペに救われたこの試合の結果を糧にしてもらえれば。

チームのコンセプトとして、奪われたら危ないところでやらなければならないことは多い。チームとしてリスクを低くする整備とともに、局面で各プレーヤーがやれることの数を増やしていくことも重要。

どちらが奪って速く攻めるか、という焦点では、マドリーの出足も負けておらず、2点目のシャビ・アロンソ、3点目のモドリッチと、良い出足でカットしアシストにつなげてくれた。

シャビ・アロンソはこの数試合コンディションの低下が心配されたが、この大一番では普段以上の出来。このあたりはベテランらしい。

■第2戦へ向けて

相手に助けられた部分も多いが、マドリーの出来の良さも見せてくれ、3-0で勝利。

複数得点と無失点の2つの課題をクリアし、ほとんど理想どおりの結果を手に入れた。

第2戦はレバンドフスキが帰ってくる。この試合と同様にやられていては失点は覚悟しなければならず、昨シーズンの例を引くまでもなく、早々に失点を重ねると面倒になる。

ディマリアが復帰できるならば、さすがに第2戦では彼を使ってもとのバランスを保ちたいところだ。

ボールを持たれる時間が長くなることが想定されるが、全体としてもう少し守備を頑張って、アタッキングサードでロイスに好き放題やられることは避けなければならない。

中盤より前で相手を掴まえていくこと、この試合のドルトムントがやったように、狙うべきところではしっかり奪ってカウンターにつなげれば、マドリーの前線なら得点は期待できる。リードにかまけて引きこもるのではなく、中盤でやりあう意識が鍵になるだろう。