レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

リーガ・エスパニョーラ第11節 vラージョ

中断前のリーガ。徐々に負傷者が帰ってきている。

■マドリーの先発メンバー

GK:ケイラー・ナバス

DF:ナチョ、ペペ、セルヒオ・ラモス、マルセロ

MF:ベイル、クロース、モドリッチ、ハメス・ロドリゲス

FW:ベンゼマロナウド

68分:ハメス・ロドリゲス→イスコ、84分:ベンゼマ→メドラン、ベイル→チチャリート

ベイルは予定通り先発。ケイラー・ナバス先発はサプライズだった。

■ラージョの先発メンバー

GK:アルバレス

DF:ティト、ゼ・カストロ、アブドゥライェ、インスーア

MF:トラスオラス、ファタウ;リカ、ブエノ、カクタ

FW:バチスタン

27分:インスーア→キニ、62分:トラスオラス→サンチェス、72分:バチスタン→マヌーショ

中位につけているラージョ。下位と勝ち点は離れていないが、なかなかの序盤戦。

■ベイル復帰による変化

イスコがベンチとなり、ベイルが先発。

個人的にはイスコは先発に残したいプレーヤーだが、ナチョも先発起用したことを考えるとローテーションの意味合いもありそう。ハメスとどのように使い分けていくかは今後はっきりしてくるだろう。

さて、アンチェロッティは前日会見で、イスコやハメスの替わりにベイルが出場してもやり方は変わらないと語っていた。確かに形は変わっていなかったが、内容としては少なからず変化があった。

基本的な形は4-4-2で変わっておらず、ベイルは右サイドに入ることになるが、元のポジションが高めで、4-3-3にも見えることがしばしば。ベイル不在時に続いていたはっきりした4-4-2より、昨シーズンの4-3-3から4-4-2へ変形する形に近いとも言える。

このことで、ボールを奪った後縦へ速く攻める意識が高くなった。ロナウドとベイルがいれば当然の選択。ポストプレーが安定しているベンゼマもいるので、彼に当てれば両翼のスピードを生かせる。ベイルがどんどん突破するような形にはならなかったが、ハメスとは明らかに使われ方が違っていた。

また、中盤が3枚になって、彼らがアタッキングサードへ入れ替わり立ち代り出入りするので、ラージョはうまく掴まえきれていなかった印象。昨シーズンのディマリア、モドリッチ、シャビ・アロンソと違うのは、アロンソの位置に入っているクロースも高い位置に進出してくること。守備の不安はあるが、攻撃面だけを考慮すれば、相手からすると非常にやりづらい。

先制はそのクロースのアシストから。

9分、高い位置のプレスでクロースがボールを引っ掛け、ベンゼマロナウドと繋ぎ左サイドへ進出したクロースへ。グラウンダーのクロスにベイルが飛び込んでゴール。

前線に人がいる分、高い位置で追うのは考え方としてはあり。この場面でも、前線の3人がラージョのパスコースを消していて、ポジションを離れて出て行ったクロースがボールを奪った。その流れでシュートまでやりきった、プレスの甲斐があったというゴール。

逆に、出て行ってのプレスをかわされると最終ラインが丸裸で残ることになるので危険。先制点の場面のように奪いきるか、最低限プレーを切らなければいけない。この形は、プレスするか、さもなければ陣形を整えるという判断が重要。最近は早めに自陣に引き上げて守備の形を作ってしまうことが多かったので、考え方が違う。

では、プレスにいかないときに作る守備はどうか。

ベイルが右に入って4-4-2になるのが基本で、ハメスとイスコの際とそれは変わっていない。ところが、ベイルの位置が高めで攻撃的な振る舞いなので、2列目に戻ってくるのが多くの場合少し遅れていた。

少なくとも戻っていたし、ポジションについてからは最低限ボールはきちんと見ていたので、まずまずとも言えるし、この試合ではその戻りの遅れが致命的とはならなかった。とは言っても、より高いレベルでの安定を目指すのであれば、早めの帰陣は欠かせない。クロースも守備面ではまだまだ改善を求めたいプレーヤーだし、彼も出て行くような流動的な形であれば尚のこと、2列目となるプレーヤーは出て行った味方の替わりに戻る必要が出てくる。アロンソが底で構えていてくれた昨シーズンから一歩進んだ守備への参加意識が求められるだろう。

攻守ともに4-4-2だったハメスとイスコを起用する際より、昨シーズンの形に近く、両サイドを生かした速い攻めを狙う形が多かったし、守備時は高い位置でプレスをかけることが増えており、アンチェロッティが言うよりはベイルの復帰で微調整されていた印象。50%に満たなかったボール支配率が変化を物語っている。

ピッチ上でプレーヤーが考えて変化させた部分もあるだろうし、アンチェロッティの指示もあったことだろう。このように、基本的な形としては同じでありながら、微妙に変化できる柔軟性が今のマドリーの強みとも言える。

マドリーは40分にコーナーをセルヒオ・ラモスが合わせて追加点。

うまく合わせたわけではなく、膝のあたりに当たったボールがいいコースに飛んだ幸運なゴールだった。

2点リードで落ち着けるかと思っていたら、44分にハメスがバックパスをミス。バチスタンに奪われてケイラー・ナバスもかわされ、最後はブエノが決めるだけ。余計な失点で1点差となり前半を終えた。

試合の流れとは関係ないが、ケイラー・ナバスのプレーのたびにベンチのカシージャスを映そうとする映像にはうんざりする。

最近はGKのポジション争い、もっと言えばピッチ外での権力闘争のような話は大きく取り上げられなくなっている。それにも拘らず、昨シーズンから引き続きGKの関係を際立たせるようなカットはいつまで続けるのだろう。

■僅か5分で

後半に向けては交代なく、前半の形を継続。

54分、マドリーが攻撃時にハンドを主張し、プレーを止めてしまった隙にピンチ。

右サイドから走りこんだバチスタンにグラウンダーのクロスが入り、落ち着いて決めたかと思われたが、ギリギリオフサイド。出ていたとしてもほんの僅かで、どちらとも取れるようなタイミングだった。そもそもプレーを止めてしまったことが間違いの始まり。相手エリア内ならばまだしも、中盤で奪われて複数のプレーヤーが止まるのはいただけない。失点とならずに助かった。

同点とはならなかった直後のプレーでマドリーが追加点。

右サイドでベイル、ロナウドとボールを運び、エリア内へ進入したロナウドから遅れて攻撃参加してきたクロースへ。クロースはダイレクトでインサイドキックを選択。カーブしながらポスト際へ転がす精密なミドルシュートを決めた。

クロースはマドリーで初ゴール。何度か惜しいミドルを放っていたが、これまでのような強いキックではなく、巻いてコースを狙うキックで決めた。

同点とされず、その直後に突き放せたのは幸運という他ない。クロースのシュートは素晴らしかったが、その前の流れは危なかった。かつてゴールを祝っていたらノーゴールで、そのまま決められたということもあったが、自分たちの判断でプレーを止めてしまうのは極力避けたい。

個人的には自陣エリア付近でも同じようなことがあるのが不安。

引っ張られていたり足がかかっていたりすることは確かなのだが、100回のうち1回はファールを取ってもらえないかもしれない。そしてその1回がCLのアウェイゴールに繋がるかもしれない。

ファールをアピールして止まるのは割とよく見られることなのだが、そう考えると恐ろしい。できるだけ減らしたい振る舞いだ。

59分にマドリーが追加点。

ペペが高い位置で相手の前で奪って右サイドのロナウドへ。ロナウドのクロスにベンゼマがあわせた。

ベンゼマオフサイドだったが、これは見逃された。バチスタンのオフサイドよりもはっきりしていたが、これを取ってくれないとラージョにとっては厳しい。

54分からの5分程度で、同点かもしれなかったゴールがなくなり、マドリーが2点を決めるという正反対の展開となって、試合の行方は決まった。

68分にハメスに替えてイスコ。ハメスは決定的なミスをしてしまい、いい意味で目立つシーンは少なかったが、まずまず。イスコへのベルナベウからの声援の大きさ、交代前のコールが彼への期待感を表している。

83分には速い攻めからロナウドが決めて5-1。ディフェンダーをかわしたところまでは良かったが、シュートは思い通りのコースには行かず。アルバレスがトンネルする形となった。納得いくゴールでなくロナウドは照れ笑い。

その後、数分とはいえメドランをデビューさせ、ベイルを下げる余裕を持って試合を終えた。

■最後に少し

ベイルは復帰戦でゴールを決め、今後に向けて精神的に楽になるだろう。

プレーの内容や、チームとしての変化は最初に書いたとおりで、彼の不在中とはまた少し違ったバージョンとなることが想定される。うまく適応しながら状況に合わせて使い分けるくらいになってくれれば。

ミスから失点したものの、サプライズ先発となったナチョとケイラー・ナバスは大きな問題なく試合を終えられた。こうして少しずつコンディション調整していくことが大切。

代表戦明けのコンディションによっては、次節の先発メンバーも少しいじる可能性があるだろう。

次節はエイバルとアウェイで対戦する。