内容が上向かないままの敗戦。非常に辛い結果となった。
■マドリーの先発メンバー
GK:ケイラー・ナバス
FW:ベンゼマ、ベイル
63分:ハメス・ロドリゲス→ロナウド、75分:ベンゼマ→へセ、83分:アルベロア→カルバハル
セルヒオ・ラモスではなくペペが休暇。右サイドバックはアルベロアとなった。ケディラは戦前の報道通り先発し、ロナウドもお休みと、かなりの入れ替え。
■アトレティコの先発メンバー
GK:オブラク
DF:ヘスス・ガメス、ヒメネス、ゴディン、ルーカス・エルナンデス
MF:ガビ、マリオ・スアレス;ラウール・ガルシア、サウール
FW:トーレス、グリースマン
59分:トーレス→コケ、67分:サウール→アルダ、74分:グリースマン→マンジュキッチ
■冴えない攻撃
ホームで第1戦を迎えたアトレティコは、まずアウェイゴールを避けたい。もともと守備組織に自信のあるクラブなので、はっきりとした姿勢で
リトリートしマドリーの攻撃を受ける構え。
とは言っても、漫然と下がるのではなく、チャンスがある時はつっかけようというところは見せていて、バランとグリースマンのフランス代表マッチアップであわやという場面があったように、何かあれば、という危険さは感じる守り。
また、2トップがバランとセルヒオ・ラモスをきっちり見ていたのもポイント。マドリーはセンターバック同士の横パスの交換を厳しく制限された。
これによって、狭い同サイドへ展開するか、アトレティコが待ち構えるところへロングボールを蹴ることになる。攻撃を作り直す時間を与えられず、ペースを上げさせられることになって、マドリーの攻撃はリズムを乱した。
マドリーはサイドチェンジで大きく局面を変えることを狙った。セルヒオ・ラモスやマルセロが右へ展開することが多く、これによってアトレティコの前線のケアはかわせていた。
問題はその展開した先。自分たちの形で攻撃が加速しない。アトレティコがしっかり準備していたこともあるが、前へボールを運ぶ推進力は出ず、ボールを下げてやり直したり、手数をかける選択をしたりせざるを得ないことが多かった。
また、本来なら大きく展開する主たるプレーヤーであるクロースがボールに絡む回数が少なく、最終ラインに組み立ての負担がかかってしまったこともある。パスミスも多く、フィットしていると印象付けた時期のプレーとはかけ離れていた。
アトレティコが下がった後の攻撃も良くない。
スペースがない分、マークを少しずらす動きを皆がしてパスコースを確保する必要があるのに、動きのないままに受けることが多く、ボールがアトレティコ守備陣の中へ入っていけない。4-4-2がラインの間を狭くしてブロックを作っている周囲を撫でるだけで、チャンスの芽を作ることができない時間が長く続いた。
中央で受けて欲しいベンゼマとベイルの2トップは機能せず。ベンゼマはバレンシア戦同様、うまく下がってきて受ける動きが少なく、普段なら考えられないようなタッチミスもちらほら。ロナウドの代わりにトップに入ったベイルは自由に動くことができたが、返ってサイドに出すぎた感がある。ドリブルのスペースが欲しいので、より広いところへ出て行ってしまい、アトレティコ守備陣の中で受けることはできていなかった。
こうしたことから、ボール支配率はチャンスの数に繋がらなかった。前半7割近くボールを支配したが、それはマドリーの意図ではなくアトレティコの意図するところ。マドリーはまさしくボールを持たされた状態となった。
こうした展開なので、攻撃ではケディラが全く役に立たなくなってしまっていた。
ボールを持ってもアトレティコ守備陣はまったく食いつかずマークはずれないし、前線に収まらないので上がるメリットもない。時折パスアンドゴーをしていたが、そこにボールが出ることはなかった。そもそも、マドリーの面々も彼にボールを持たせて無理をしないよう、そうできる場面では彼を避けてボールを動かすことも。
ただ、守備では問題ないレベルでプレーできていた。カードはもらったが、ああいった場面で厳しく寄せるプレーは大事。それができるプレーヤーがいるのといないのとでは、守備の質に大きな違いが出る。
総じて言えば、「ケディラはケディラだった」という印象。マドリーのカラーからは異質だが、今の中盤に必要なプレーができるプレーヤーでもある。
■スコアレスもならず
アトレティコの守備は磐石だったが、攻撃は基本的に低い位置から始まり、前線が収まるプレーヤーではなかったので散発。抑えるのが大変というような時間帯はあまりなかった。
マドリーの攻撃の拙さは上に書いた通りで、互いに決め手がなく、0-0で終わるかのせいも十分にあった。
今後のことを考えた時にこの内容で良いかどうかはさておき、このアトレティコとの対戦を勝ち抜けることを考えれば、アウェイで0-0は決して悪くない結果。メンバーを入れ替えた中でアウェイの試合をそうして乗り切れるなら御の字だった。
その意味で、無理をする必要のない場面でファールを犯しペナルティを与えたセルヒオ・ラモスには大きな責任がある。
なぜあの場面でリスクのある対応をしたのか。手の使い方が悪いのはずっと以前からのことなので今更ではあるが、円熟期に入ろうという年齢であるし、カピタンらしいプレーの落ち着きを求めたい。
しっかり守れるアトレティコを追いかけるのは分が悪い。この試合の展開ではなおさら。
ロナウドを投入しても、アトレティコの守備網に楔を打つパスが入らないので、一発に期待するしかない状況に。
マドリーはロナウド、ヘセ、カルバハルをピッチに送り出し、アトレティコもコケ、アルダ、マンジュキッチと主力クラスを交代出場させた。
リードを得ている時に前線でキープできるマンジュキッチがいるのは、アトレティコにとっては心強く、マドリーにとっては厄介。マンジュキッチが入った74分のすぐ後、76分にコーナーからヒメネスが決め、2-0としてアトレティコは余裕。
マドリーはうまくいっていないベンゼマを下げヘセ、アルベロアから攻撃的なカルバハルへと替えてサイドの打開を図るが、ヘセ、カルバハルの右サイドは時間も短く何も出来ず。
終盤には、ゴールになりそうな場面を作れたが、シュートはことごとくオブラクの守備範囲内。アウェイゴールを奪うことができないまま試合終了となった。
■我慢の時
山場のバレンシア、アトレティコとの連戦を連敗で終えた。内容は悪くとも結果を出すか、結果は悪くても期待が持てる内容だったかのどちらかならば良かったのだが、どちらにもならなかった。
パスコースを作る動きが少なく効果的なボールが入らなかったこと、マドリーのレベルから言えば考えられないようなトラップやパスのずれ。メンバーを替えて臨んだとはいえ、チーム全体としてかなり疲労が溜まっていることがこうしたことから感じられる。
CLを見据え、この時期にペースが落ちることを許容しているとも考えられるので、もうしばらく様子を見たい。リーガは首位をキープしているし、コパの優先度は高くない。問題は問題と認識した上で、時間をかけて取り組むべき時だ。
来週のミッドウィークに第2戦があるため、相変わらず試合間隔は短いが、今週末のエスパニョール戦に続いてベルナベウでの試合で、ホームで連戦できる。また、次々節もヘタフェとの試合で、大きな移動はない。これは多少なりともメリットになるだろう。
少しずつコンディションを取り戻し、CLの再開に向けてレベルを高めていってもらいたい。