レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

リーガ・エスパニョーラ第24節 vエルチェ

CL後で難しいタイミングの試合だが、バルセロナがマラガに敗れたため、勝ち点差を広げるチャンス。

■マドリーの先発メンバー

GK:カシージャス

DF:カルバハル、バラン、ペペ、マルセロ

MF:ベイル、ルーカス・シウバ、クロース、イスコ

FW:ベンゼマロナウド

84分:ルーカス・シウバ→イジャラメンディ、88分:イスコ→アルベロア、89分:ベンゼマ→ヘセ

シャルケ戦に続いてルーカス・シウバが先発。

■エルチェの先発メンバー

GK:ティトニ

DF:ダミアン、ロコ、ロンバン、エドゥ・アルバカル

MF:ビクトル・ロドリゲス、アドリアン・ゴンサレス、パシャリッチ、アーロン

FW:ファジル、ジョナタス

63分:アーロン→ガリー・ロドリゲス、74分:パシャリッチ→ガルベス、81分:アドリアン・ゴンサレス→エレーラ

4-4-2の形。残留に向けてホームで頑張りたいエルチェ。

■右サイドの改善

シャルケ戦では速い寄せで中盤の守備に貢献していたルーカス・シウバ。今節も右サイドの広いエリアを担当し、エルチェの攻撃の芽を摘み取っていた。彼が入ることで、右サイドの守備はかなり安定。ベイルとカルバハルが攻撃で出て行った後をうまくカバーしてくれ、大きなピンチになる前に処理してくれる。

縦にチャレンジするパスは少なく、大きな展開もクロースに任せているが、奪った後もセーフティに繋げるので安心できる。

また、シャルケ戦よりは高い位置に出て行くこともあり、右サイドのライン際でボールを受けることもあった。本来はこうした攻撃参加もしたいプレーヤーだろうから、タイミングはうまく図ってくれれば。ベイルがいるマドリーの右サイドで求められるのはまず守備の安定性で、その上で攻撃参加のメリットを付け加えたい。この順番がおかしくなると、近年のケディラのように今のマドリーでは扱いづらくなってしまう。

ベイルとカルバハルの攻撃を下支えする今の役割を続けてくれれば、マドリーの右サイドはより良くなるだろう。

そのベイルも、以前に比べると守備参加する頻度が高くなっているように見受けられる。前に居残って完全に4-3-3になっていた12月から1月にかけて比べれば、戻りの速い遅いの問題はあったとしてもボールより後方に帰ってくることはずっと多くなっている。ボールに対しても、深追いはしないがそれなりにプレッシャーをかけられており、守備の役割を放棄してはいない。

8人で守れることが多くなっている現状は、今後に向けて非常に良い材料。

エルチェも4-4-2で、低い位置で攻撃を作るクロースを2トップが代わる代わる見ていたが、ペペがボールを持つたびのブーイングにひるむことなく落ち着いて展開。

ルーカス・シウバは安全にボールを動かしてクロースの展開を生かそうとしていたし、イスコとマルセロの左サイドはポジションを入れ替わってマークをずらす。後方での組み立てはある程度うまくできていたと言って良い。

問題はアタッキングサードの崩し。

ベイルが低い位置からスタートすることが多いので、左サイドに寄せてから彼にボールを預けての速攻も何度かあったが、左足に持ち替えて時間がかかるので最後のところで詰まる。ロッベンのように中へ入っていってシュートするわけでもなく、ディマリアのように良くも悪くも素早くクロスを上げるというわけでもなく遅れるので、ここから作り直す必要が出てきてしまう。

確率の低いプレーをしてボールを失うよりはずっと良いが、最後のところでゴールに結びつけられないのは厳しい。

少し前に比べればえぐって右足を使ってクロスを上げるプレーも戻ってきており、そうしたプレーがしばしば出れば期待は高まるし相手への脅威も増す。右サイドの攻撃をもう一歩高めるためには、彼のプレーの改善が必要だ。

左サイドではイスコが躍動。相変わらずボールタッチは素晴らしく、良く走ってくれる。

ハメス、モドリッチと中盤で攻撃に変化をもたらせるプレーヤーを欠いている中、彼はぐっと成長した。今や攻守に欠かせない存在。

シュートチャンスはそれなりに作っていて、恐らくはオンサイドだったベンゼマのバイシクルが認められていれば、しっかりした内容でリード、という前半になっていたはず。残念ながらオフサイドの判定となり、ゴラッソは幻と消えたが、アウェイでまずまずの前半。

最初に書いたように、守備のバランスが改善されており、エルチェにやられたという場面がほぼなかったのが好印象。攻め合ったが互いにシュートミスで得点がないのと、しっかり抑えたのとでは、同じスコアレスでも大きな差がある。この前半の内容は手堅く、期待の持てるものだった。

■得点と交代と

マドリーの先制は56分。ロナウドのクロスがディフェンダーにクリアされるが、そのボールがティトニにあたり、ゴール前に走りこんでいたベンゼマの目の前に。ベンゼマは蹴り込むだけ。エルチェにとっては不運。マドリーは前半からのプレーがようやく報われた場面。

エルチェはビハインドとなったものの、前から追うことは想定されていないようでやり方は大きく変えず。マドリーは無理せずボールを動かして試合を進めた。

前半からの落ち着いた内容でリードを得れば、セルヒオ・ラモスを欠いているとは言え、十分に守れる。

バランもペペがいるおかげもあってか冷静な応対を見せた。身体能力の高いジョナタスに対してもうまく体を使えていた。バランはこうした対人プレーをセンターバックの組み合わせや相手によらず、安定して続けていくことが課題。

69分には再三良いプレーを見せていたイスコのクロスをロナウドが頭であわせ追加点。ライン際で上げたクロスにロナウドが走りこんで、強いヘディングを良いコースに決めた。

ロナウドシャルケ戦に続いてのゴール。決められず鬱憤がたまっていたような時期もあったが、復調の兆しが見えてきている。ゴールを決めるために、マークを外す動き直しを頻繁にしていて、動き自体も良いように思える。彼がまた決めらるようになれば、チームも乗ってくるだろう。

エルチェが60分台から中盤を替えることでスピードと運動量の維持を図っていたのに対し、マドリーの最初の交代は84分から。アンチェロッティの交代の遅さにはもはや驚きはない。ミッドウィークに試合はなく日程は楽なので先発組の負担は少ないと思われ、いけるところまで引っ張るという判断は良いとしても、シーズン中はまだまだ何があるかわからない。イジャラメンディやヘセをそれなりに使えるレベルにしておいて欲しいとも思う。

数十秒しか時間のなかったヘセはイエロに対して不満を述べたとのことだが、最初に入ったイジャラメンディにしても与えられた時間は10分に満たない。数字の上では交代出場した試合とはなっても、プレー機会がくるかどうかも分からないような長さの時間ではあまり意味はない。

アンチェロッティは、プレーヤーの精神面のマネージメントはしっかりしており、出場機会などの不満やトラブルが表面化することは少なく、今回もうまく対処すると思うが、見ている側からすると不安が残るのも確か。

ヘセについて言えば、調子の良くなかったベイルと先発を入れ替えることはなく、イスコなど元々中盤のプレーヤーとの交代ばかり。本来的にはポジション争いとなるベイルとは競っていない状態にある。ベイルに信頼を与えて復調を促すのは1つの方法で、例えばベンゼマはほとんど替えがいない状態でプレーし良い調子を保っているが、競争できないプレーヤーの側は辛い。

マドリーはスペインのクラブであるし、カンテラから久々にトップに定着したプレーヤーはそれ相応に大事にしてほしい。もちろん、スペイン人であることやカンテラーノであるということはマドリーにおいての特権ではなく、カメラが見ているところで不満を露にしたヘセの態度にも問題はあったけれど。

ピッチの上ではほとんどピンチらしいピンチなく終了。エルチェの枠内シュートを1本に抑え、アウェイで堅実に勝ち点3を得た。

■最後に

この試合でカシージャスはマドリーで500試合出場を達成。

全盛期は過ぎたといわざるを得ず、去就を騒がれることも多いが、生え抜きの彼がピッチに、クラブにいるということ自体の価値はまだまだある。

アトレティコに敗れて以降3試合続けて無失点と、今のところは敗戦を良い糧にしていると感じる。ただ、レベルの高い試合はこれから。リーガでもビジャレアルバルセロナ、セビージャ、バレンシアとの試合を残しており、CLは勝ち進めば難しい試合ばかりとなる。

これらのクラブを相手に、何とか勝った、という以上の内容で勝てなければ、タイトルはまだまだ覚束ない。復調を感じつつ、もう一歩進めると信じて今後の試合を見守っていきたい。

次節はビジャレアルをベルナベウに迎える。