遅ればせながらPSG戦を振り返る。第4節に向け、ポイントを絞って。
■マドリーの先発メンバー
GK:ケイラー・ナバス
MF:ルーカス・バスケス、カゼミロ、クロース、イスコ
FW:ヘセ、ロナウド
68分:イスコ→モドリッチ、72分:ヘセ→チェリシェフ
ルーカス・バスケスが先発。一応4-4-2表記としておく。
■PSGの先発メンバー
GK:トラップ
DF:オーリエ、マルキーニョス、チアゴ・シウバ、マックスウェル
MF:モッタ;ベラッティ、マテュイディ
65分:カバーニ→ルーカス、ディマリア→パストーレ、79分:ベラッティ→ラベッシ
ディマリアとは初の対戦。メンバー的にはマドリーと遜色ない。
■簡単に
普段の試合と大きく違うのは、PSGがボールを持てるチームだということ。
ボールを持つよりもマドリーに持たせる方が攻守に都合がいいことが多く、マドリー相手にボールを持ってプレーしようというチームはそうはない。リーガではバルセロナくらいのものだろう。
PSGはレベルの高いプレーヤーを揃え、そんなことはお構いなしにボールを持っていた。
モッタ、ベラッティ、マテュイディの中盤にイブラヒモビッチが頻繁に降りていき、両サイドバックも高い位置にいることで、組み立ての際の人数は確保されていた。
マドリーは奪えれば得意の速攻に繋げられる。だが、PSGのパス回しは落ち着いていて、散発のプレスでは追い込めない。
中盤の組み合わせは慣れたメンバーとは言いがたく、クロースがカゼミロの前に出て行く縦関係もこの1か月ほどのもので発展途上。クロースがプレスに出る時に周囲を確認する素振りが多いのが象徴的で、自分が突出して無駄足になっていないか確証がないということだろう。そうした状況では、人数をかけ足元のレベルの高い中盤の組み立てを阻害し、いい形で奪うことは難しい。
PSGはイブラヒモビッチが下がる一方、両サイドが高い位置を維持していた。
中盤でマドリーが追った後で、ディマリアとカバーニがサイドバックと連動して速くボールを運べれば中央がついてきてエリア内へというのが理想的。中央はマテュイディが高い位置まで進出するのをなかなかうまく掴まえられていなかった。
マドリーはルーカス・バスケスとイスコの両サイドで、彼らはベイルやロナウドに比べると守備への意識があり、サイドで人数が足りなくなる回数は割と少なかった。特にルーカス・バスケスは運動量があり、サイドのプレーヤーらしいチャンスメイクもできて印象が良い。チェリシェフより彼の方が出番が多いことが理解できるプレー振りだった。
ヘセも大きな試合で先発し、落ち着いてプレー。大きなチャンスがあり、決めて欲しかったところだが、今シーズンはプレー機会を得るごとに調子が上向いているように見える。今後に期待できそうな内容だった。
プレスに引っ掛けることができず速攻に繋がらないと、マドリーの攻めはうまくいかない。負傷者が多く、交代で遅攻に対応する形にしようにも打てる手は少なかった。
モドリッチが投入できたことは良かったが、イスコを下げているので枚数的には変わらない。クロースを低い位置に下げ、ベイルを途中出場させ、ロナウドとともに裏を狙わせるような形を作れれば、状況に変化をつけられたかもしれない。
慎重に試合に入り、うまくいかない点もありつつアウェイでまずまずの出来だったといえるが、そこからあわよくば点を取れるという状況へと変化を付けられなかったとも言える。
確かに、この試合は引き分けでも良く、PSGも無理はしなかったので膠着した面はある。しかし、これがCLのトーナメントとなれば話は変わってくる。アウェイゴールを得るために、主体的に試合の展開を変えて点を取りにいけるかどうかは重要な要素となってくる。ナバスを中心とした守備の強固さは目立っているが、それを生かすためにもうまく1点を取って試合を運びたいところだ。
こうした強いチームを相手に、そうしたことができるようになるかどうかは、今後の注目点。
■第4節へ
久しぶりにボールを持ってくれる相手との対戦だったが、マドリーは得意な形に持ち込めなかった。一方で、守備は一定のレベルを維持しており、PSGに圧倒されるということにもならず。2連戦の初戦としてはありがちなおとなしめの90分で引き分けとなった。
第4節に向けては、ベルナベウでもPSGがボールを持つのか、マドリーがボールを持つのかが最初のポイント。
またもPSGがボールを持つ展開となった場合は、この第3節の教訓をどちらが生かせるか。マドリーとしては、奪う守備の改善ができるかどうか、また、それができない場合は(負傷者の復帰も含め)遅攻の改善、さらに、速攻をできる形へとうまく試合を運ぶことができるかどうかが重要。
短い時間で対処した方が1位通過に大きく近づくことになるだろう。