レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

リーガ・エスパニョーラ第9節 vセルタ

セルタとの上位対決。ミッドウィークのPSG戦とは違った形で苦戦することとなった。

■マドリーの先発メンバー

GK:ケイラー・ナバス

DF:ダニーロ、バラン、セルヒオ・ラモス、マルセロ

MF:カゼミロ;モドリッチ、クロース

FW:ルーカス・バスケス、ヘセ、ロナウド

61分:ルーカス・バスケス→イスコ、69分:ヘセ→チェリシェフ、79分:モドリッチ→ナチョ

モドリッチが先発に復帰。前線ではルーカス・バスケスがこのところチャンスを得ている。

■セルタの先発メンバー

GK:アルバレス

DF:マージョ、カブラル、ゴメス、ジョニー

MF:アウグスト・フェルナンデス;バス、エルナンデス

FW:オレジャナ、イアゴ・アスパス、ノリート

67分:バス→ラドヤ、80分:エルナンデス→プラナス、オレジャナ→グイデッティ

首位争いの好調セルタ。久々に上位に顔を出してくれ、リーガを見ている者としては嬉しい。

■おとなしかったセルタ

セルタがバルセロナも破ったバライードスでどういったプレーをするのかが気になるところだったが、序盤はおとなしい入り方。いわゆる「リスペクトしすぎた」といったプレーで、思っていたよりも攻守に苦労はしなかった。

マドリーはその序盤を大いに利用。比較的簡単にエリア付近でプレーを続け、7分、ルーカス・バスケスとのパス交換から、ずれたボールに追いついたロナウドが決めて、早々と先制に成功した。

パスがずれたので、形としては完璧ではなかったが、かえってディフェンスがいないポジションからシュートをすることができた。とはいえ、左サイドから右へ流れたボールについていって、枠内へ強いボールを蹴る体の強さは見事。重要な試合でゴールを挙げる勝負強さもあった、さすがロナウドというプレー。

マドリーはカゼミロの前にモドリッチとクロースを置く形。

カゼミロを底に置き、昨シーズン同じポジションに変更して使い続けたクロースを一つ前に動かすこの形は、CLマルメ戦あたりから継続して採用されている。

カゼミロにはクロースにはない体の寄せがあり、守備面では計算が立つ。それとともに、サイドチェンジがそこそこの精度とスピードなので、守備を改善しようとして攻撃にデメリットが出るということがあまりない。この攻守のバランスはなかなか取れない。マドリーでは、攻撃に偏重しがちな中盤で守備を整えるためにケディラを使ったが、攻撃に関与できなくなるという大きなデメリットができていたことを思い起こすことができるだろう。

そのカゼミロが底に入り、昨シーズンで守備意識がかなり高まったクロースと、もともと頑張れるモドリッチの組み合わせは良く、後述するカゼミロの脇の問題を除けばこの試合でも機能していたので、しばらく継続しながら改善を目指していくことになりそうである。

先制を許したセルタは、15分を過ぎた頃から本来の形を思い出したようだった。

マドリーは徐々に後方でのポゼッションが落ち着かなくなっていく。セルタは3トップが最終ラインに継続的にプレスをかけ、時間を奪う。バランはこうした相手に不安定さを露呈しがち。うまいがゆえに、繋ごうとしすぎて大きな失敗につながることがある。セルタに対してはわりとシンプルに判断していたが、それでも怪しげなプレーもちらほら。序盤の雰囲気とは打って変わって、セルタが積極的なプレーで流れを掴んだ。

マドリーが幸運だったのは、その時間帯で2点目を取れたこと。

22分、左サイドに皆寄ったタイミングでダニーロが右のスペースへ。ヘセがパスを出した時には完全にフリーで、アルバレスを十分に見る時間があった。

それでも簡単なシュートではなく、決めきったのは大事。ダニーロのマドリーでの初ゴールは、苦しくなって来ていた時間帯に得られた重要なものだった。

■カゼミロの脇の問題、セルタの攻めとナバス

セルタの3トップは、マドリーの最終ラインと2列目の間で面白いようにパスを受けていた。ここに入ると攻撃は展開しやすくなる。

マドリーのラインの間にいるのはカゼミロで、彼がカバーすることになっているが、それでもこうして受ける技術の高い3人が入れ替わり立ち代り入ってくると対処しきれない。

カゼミロの他に、ラインの間で浮いて受けるプレーヤーを誰が見るのか、という点はこの試合最後まで解決されなかった。クロースの時も、彼自身の守備能力に問題があったこともあり同様の問題が起こっていたが、カゼミロでも形としては同じだし、これだけうまくスペースを使われると非常に厄介。

クロースやモドリッチやつくのか、最終ラインの誰かが出て行くのか、整理されないままにボールがここへ入れられるので、セルタはここからいい形でアタッキングサードへ侵入。

サイドの使い方も良く、シンプルにクロスを上げるのではなく、カットインしたり切り返して味方を使ったりとひと手間かけて崩しており、対応が難しかった。ナバスのセーブがなければ前半のうちに2、3点取られていてもおかしくない攻め。

ナバスは多くのシュートを素早い反応で防いでいた。エリア内からのシュートが多く、密集していることが多かったので、弾き出すのは簡単ではない。そうした状況の中、何度も決定機を阻止。マドリーには安心を、セルタにはこれだけやっても入らないという焦りを与えていた。

最近のナバスのプレーは高いレベルで安定している。守備がルーズで、危険なシュートも多く、落ち着いて見ていられるというわけではないが、久々にセービングでわくわくできるプレーヤー。守備が落ち着けば、ナバスとともにもっと堅固になりそうである。

■緩んでしまうとこうなる

56分にカブラルが退場。前半にイエローを受けており、この場面では判定への抗議に対し即刻2枚目が提示された。どのようなことを言ったのか定かではないが、近寄って口を開いたと同時と言ってもいいようなタイミングで警告が出るのは、審判も熱しやすい悪い意味でリーガらしい光景。

これでマドリーが手を抜きはじめる。ボールを持ってもゴールを目指しているとは言いがたく、省エネのプレーに終始。

ベニテスは多少なりとも緊張感を維持しようとしたか、攻撃陣から交代をしていき、イスコ、出番の少ないチェリシェフを投入したが、チームの弛緩はどうしようもなかった。

セルタが素晴らしかったのは、ここで諦めなかったこと。

守る側もルーズになって追加点が入り、大量得点差になってもおかしくないような試合で、最後のところはきっちりと締めていたし、攻撃面でも、前半同様ラインの間にボールが入ればエリア内に侵入してシュートチャンスを伺っていた。

マドリーは79分、復帰直後のモドリッチを下げ、ナチョを右サイドバックにしダニーロを中盤に上げる変更。モドリッチのコンディションも考慮しつつ、守備を強化する交代。今後を見据えれば間違いではないが、ピッチ上は多少混乱してしまったことは否めない。ノリートはそのマドリー右サイドから独力でシュートコースを作り、84分にゴール。これまで素晴らしいセーブを続けてきたナバスもさすがに届かないコースに決めた。

もう1点取れば負け試合から一転勝ち点1を得られるセルタは、残り時間に猛攻。

マドリーは後半の早い時間から既に気持ちが緩んでおり、ここから立て直すのは非常に難しい。精神的には人数の少なさなど関係ないようなセルタの攻めをもろに受けることになってしまった。

上位の常連ではないとはいえ、首位対決であることは忘れるべきではなく、セルタの成績に敬意を払い、カブラルの退場後、どこかで仕掛けて3点4点と狙うべきだった。バルセロナ戦であればこんな緩みは考えられないから、前半の出来にもかかわらずセルタに油断していたところが多分にある。タイトルを狙うにあたり、こうした緩みは最も避けなければならない。いい教訓となった後半だった。

結局、セルタの攻撃は何とかカバー。前半の出来を考えると、2-4といったようなスコアで敗れていてもおかしくなかったが、ロスタイム終了間際にがら空きのセルタ陣をカウンターで攻め、マルセロが決めて3-1。

何とか勝利を手にした。

■最後に

セルタがおとなしい試合の入り方をして先制、後半には1人多くなるという判定と、勝利のために生かさなければならない要素が多くあったにもかかわらず、みすみす落としそうになったことには大いに反省が必要。最後まできっちりやらないと、こうしたことで勝ち点を落としてはもったいない。

ともあれ、アウェイでセルタを下した結果は大きい。ベニテスアトレティコ戦、PSG戦と、難しい相手とのアウェイの試合でしぶとく結果を出している。アトレティコ、PSGに対しては勝てたはずという意見もあるだろうし、私も少なからず賛同するが、勝ち点を積めていることは評価したい。

次節はベルナベウにラスパルマスを迎える。