レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

リーガ・エスパニョーラ第24節 vアスレティック

ミッドウィークにCLがあり、リーガも上位陣との対戦が続く日程の入口。良い流れを作って生きたい。

■マドリーの先発メンバー

GK:ケイラー・ナバス

DF:ダニーロ、バラン、セルヒオ・ラモス、カルバハル

MF:クロース;モドリッチコバチッチ

FW:ハメス・ロドリゲス、ベンゼマロナウド

68分:ダニーロ→ナチョ、72分:コバチッチ→イスコ、ハメス・ロドリゲス→ルーカス・バスケス

ダニーロが左と思われたが、カルバハルが左に。コバチッチはイスコの位置にそのまま。

アスレティックの先発メンバー

GK:イライソス

DF:デ・マルコス、エチェイタ、ラポルテ、バレンシア

MF:ベニャト、イトゥラスペ;サビン、エラソ、レクエ

FW:アドゥリス

62分:イトゥラスペ→エルストンド、68分:レクエ→ムニアイン、80分:サビン→ビゲラ

ラウール・ガルシアをはじめ負傷者が多い状況ながら、ヨーロッパの大会出場を目指す位置につけている。

■苦労の前半

マドリーは3分に幸運な形で先制。

中盤でのパスの跳ね返りがフリーだったベンゼマの元へ。前を向いて仕掛け、左を走っていたロナウドへパス。ロナウドはエリアに入り、左足の切り返しでコースを作り、ファーサイドの上隅にシュートを決めた。

最近のベルナベウでの試合同様、早々に先制に成功。しかもロナウドが気分良く決めたとあって、一気に流れを掴むかと思われたが、この試合ではそうはならなかった。

アスレティックはアドゥリスと2列目の4人がマドリーの最終ラインに執拗なプレス。4トップのような形になることもあり、組み立てを阻害しようとした。

マドリーは久々の出場となるダニーロ、不慣れな左サイドバックでの起用となったカルバハルと、両サイドバックが不安定な状態。しかも、普段ならクロースをはじめモドリッチもイスコも降りてきてくれる中盤にコバチッチが起用されたことで、役割分担に微妙な齟齬があった印象であり、プレスのかかった最終ラインをうまくサポートできていなかった。

こうしたことから、意図通りにボールを繋いで運ぶことが出来ず、曖昧なロングボールが増えることになった。これでは今のマドリーらしさは発揮できない。

また、守備面でも問題があった。

4-4-2の形になる守備時に中盤右サイドに入るべきハメスは、バレンシアガに熱心についていかず、緩く追いかけるにとどまり、ダニーロを数的不利な状態で晒すことに。

コバチッチが入った中盤はプレスの面でもうまく連携が取れず、誰が出て行くのか毎回確かめ合っていたような状況。4-3で守る形で、何となく中盤が突出してしまってはうまく守れない。まして高い位置で奪う守備は望むべくもなかった。

アスレティックは11分に同点に追いつく。

左サイドからエラソがワンツーで裏を狙い、スルーパス。バランがカットしバックパスをしたものの、飛び出したナバスとの連携が取れておらず、ナバスは手でコースを変えるのが精一杯。そのまま走りこんだエラソがこぼれたボールを押し込んだ。

こうした場面でのバランの判断の悪さはなかなか改善しない。

ナバスからコーチングがあったかどうか定かではなく、何もなかったならばナバスにも一定の責任はあるだろう。だが、バランがナバスの状況を確認していれば、サイドに逃げることは問題なくできた。不用意なプレーだったという他ない。

アスレティックはアドゥリスという明確なターゲットがあり、ポストプレーでボールを進めることができていたし、両サイドからクロスでチャンスを作れていた。

特に左サイドは、数的優位で余裕があり、バレンシアガが何度も危険なボールを中央に供給していた。

マドリーはボールを繋げず、ブーイングがちらほら聞こえるような時間が続き、我慢の展開。

しかし、徐々にコバチッチが慣れてきて良くボールに触り動かすようになると、中盤の住み分けもうまくいくようになり、クロースとモドリッチも本来のプレーに近づいていった。

コバチッチはイスコより縦に出て行く意識が強く、プレーエリアとしてはイスコより少し前めの印象。それでも、様々なところに顔を出して受けるようになって組み立てにより貢献してくれるようになった。

こうした流れの中で、マドリーが勝ち越し。

38分、右サイドのエリア隅付近でパスをハメスが利き足の反対サイドでのプレーらしく中央へ持ち出し。コースは確保したものの、少しボールが長かったかに見えたが、うまく距離を合わせてシュート。ファーのサイドネットへ巻くゴラッソが決まった。

ここまであまり効果的なプレーがなかったハメスだったが、一発で帳消しに。ゴール後のパフォーマンスも、最近の批判への鬱憤を晴らすもののようで、気持ちが見えて嬉しかった。反骨心をこうしてプレーへの意欲にしてくれるのを見ると、胸がすく思いになる。

ロスタイムにはクロースがカルバハル、ベンゼマとワンツーで前線へ。ベンゼマのパスはずれたものの、拾ったロナウドがエリア内に入っていったクロースにラストパス。うまくトラップしてボレーを叩き込み、3-1とした。

先制以降、ミスから失点し苦戦していたが、徐々に流れを取り戻し終盤に2点を奪い、結果としては良い形で前半を終えた。

■後半の改善

前半の苦戦を踏まえ、後半はかなり改善が見られた。

アスレティックのプレスに悩まされた最終ラインに対しては、中盤の3人がバランスを取って降りて行き、パスコースを作っていた。それでも難しい場合は、よりはっきりとナバスに戻すようになり、負担が減った。仮にナバスが蹴り出さざるを得ないにしても、詰められながら最終ラインが処理していた前半のような危なっかしさはなくなった。

また、守備の場面ではハメスが意欲的に追うようになって、4-4で守れるように。前線からのプレスも、前半とは比べ物にならないスピードになり、前半とは逆にアスレティックを自陣に釘付けにするようになった。

ハメスは前半の緩慢な守備とは打って変わってボールを追っていた。得点したことでモチベーションが高まったのかもしれない。後半のプレー振りであれば、ポジション争いに十分食い込んでこられる。批判など嘘のような献身的なプレーだった。

追加点こそ時間を要したものの、プレーの内容としては前半とは雲泥の差。雨で観客は減ったようだったが、それでもベルナベウの後押しを取り戻した。

62分にダニーロを下げ、ナチョを投入。カルバハルを本職の右へ戻し、ナチョを左サイドバックとした。

本職でプレーするチャンスを得たダニーロはおとなしすぎた。前半のハメスの計算の立たなさを差し引いても守備面での不安は大きい。彼の良さはやはり攻撃にあり、高い位置を取ってサイドから良いボールを供給して欲しいのだが、無難なプレーに終始した。

マルセロを欠いてCLに臨まざるを得ず、ジダンとしては試しにやってみた形といったところだろうが、本職でも特長を出せないならば、カルバハルを右、ナチョを左にするべきだろう。守備での安定感ではナチョの方が優れている。

72分にコバチッチをイスコに。コバチッチは序盤こそうまく行かなかったが、その後はチャンスを生かした。

ゴールはならなかったものの、組み立てへの参加、前線への飛び出し、守備への貢献と、どれも及第点。イスコに次ぐ序列は現状では彼のものだろう。イスコに何かあれば、コバチッチが十分に穴埋めできそうな印象だった。

残念だったのはバランの退場。

ハイボールの競り合いで出した手が相手に当たるプレーを2回して2枚のイエローを受けた。

大きく手を広げたわけではないので、判定としては厳しい印象であることは確か。だが、前半のイエローの時点でカードの対象となると把握しておくべきだったともいえる。リードを得て後半は良い流れで来ていただけに軽率。

2点差で残り10分という時間は、追いつくには十分で、アスレティックが早めに1点を返していたら試合自体わからなくなるところだった。

結局、87分にロナウドがダメ押しの4点目を挙げて試合の行方を決めたものの、89分にエルストンドがうまくファーへヘディングを決めて4-2として食い下がった。一歩間違えれば危ないところだったが、先に先にと得点を挙げたマドリーが勝利。

■CLへ

前半は苦労したものの、そんな中でも点を取ってリードを得られたことが大きかった。リードした余裕もあって後半に内容が改善したことは、前半のうちに大量得点を挙げて後半は流す展開が続くよりも90分の試合運びを考える上で良い経験になっただろう。

個人としては、コバチッチとハメスのプレーが特筆に価する。彼らがポジション争いに参加してくれれば、層の厚みも増し、終盤を乗り切る力となるだろう。

また、ナチョが最終ラインならどこでもプレーでき、しかも安定していることが確認できたことも嬉しい。彼のようなプレーヤーが控えていてくれることで、緊急時にも余裕を持って対応できる。本職のセンターバックはなかなか枠が空かず、こうしたプレー振りであればいつまでも控えでいてくれないだろうと不安にもなるが、しばらくの間はマドリーの最終ラインを様々な形で支えて欲しい。

バルセロナアトレティコも勝ち点3を積み上げており、リーガのタイトルはなかなか難しい状況ではあるものの、負傷者も増えず良い流れでCLに向かうことができそうだ。

ローマとの第1戦は、アウェイでの対戦となる。ここまでジダン体制ではアウェイで苦労しているが、最低でもアウェイゴールを奪って帰ってきて欲しい。