レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

リーガ・エスパニョーラ第7節 vエスパニョール

代表戦前の試合。負傷者は多いが、勝って中断期間に入りたいところ。

■マドリーの先発メンバー

GK:ケイラー・ナバス

DF:アクラフ、バラン、セルヒオ・ラモス、ナチョ

MF:カゼミロ;モドリッチ、クロース;イスコ

FW:ロナウド、アセンシオ

69分:クロース→ルーカス・バスケス、82分:モドリッチ→セバージョス、89分:イスコ→マジョラル

カルバハルを欠く右サイドバックにはアクラフが初先発。前線はロナウドとアセンシオとなった。

エスパニョールの先発メンバー

GK:パウ・ロペス

DF:セルヒオ・サンチェス、ダビド・ロペス、エルモーソ、アーロン

MF:ハビ・フエゴ;レオ・バチストン、ダルデール、ロカ、フラド

FW:ジェラール

46分:フラド→セルヒオ・ガルシア、ロカ→ナバーロ、69分:セルヒオ・サンチェス→グラネロ

ここまでアウェイでは4試合勝利なし、1得点。

■押し込んでからどうするか

前半、自陣からどうボールを運んでいくかということについて、エスパニョールは何もアイデアがないようだった。前線へのパスではないクリアが多く、マドリーはそれらを楽々回収し、エスパニョール陣内でプレーを続けられることになった。

そのため、状況によってはセルヒオ・ラモスやバランも相手陣内に進出。それでも守備面で不安がほとんどなかったことに、エスパニョールの試合の入り方のまずさが現れていた。

良い時ならば取り立てて書くべきことでもないが、このところはこうしてボールと主導権を持てる試合が少なく、互角にやり合って失敗することが続いていたし、ベルナベウでは特にそうだったので、押し込める相手をきちんと押し込んでプレーを続けられていたことは評価したい。

こういう展開を多く作れれば、毎試合ばたつく必要もなくなるし、コンディションの面でもやりやすくなるだろう。

その上で、押し込んだ相手からどう点を取るか、という点は大きな問題となった。

まず、どこで攻撃をスピードアップするのかがはっきりしない。

ベストメンバーであれば、左サイドに相手を寄せてからのクロースやセルヒオ・ラモスのサイドチェンジが明確な合図となっていた。相手のスライドが間に合わないうちに、右サイドからカルバハルが余裕を持ってクロスを上げ、ロナウドが仕留める形はおなじみだ。

ところが、今は左でそういうことができないので、大きな展開にはならない。両サイドの使い方が悪い意味で均質で、どちらでどうしたいのかが分かりづらくなっている。

もちろん個々の能力で言えば相応のプレーヤーがいるにはいるが、中央もロナウド一枚と手薄な状況で、工夫がないサイド攻撃では効率が悪い。マルセロやカルバハルが帰ってくるまでは、サイドの使い方は我慢が続きそうだ。

また、中央もベンゼマがいないので、ポストが不在。

この間、ロナウドが不得意ながらもポストに入って解決を図ることがしばしばあるが、彼の使い方としては当然もったいない。

この試合においては、イスコとアセンシオが高い位置に配置されていたから、彼らがラインの間でもっと受けてほしかった。ゴールに向かうプレーよりも、周囲を生かす側でプレーする割合を多くし、ゴール前でロナウドに仕事をしてもらう方が役割分担としては正しいだろう。イスコとアセンシオがいかにもフォワード的にゴールに向かうプレーが多かったことで、全体としてはもったいない住み分けになってしまっていた。

さらに言えば、イスコとアセンシオがボールを持った時の発想と、ロナウドをはじめとする周囲の発想が合っていないようでもある。

特にアセンシオは昨シーズンそこにあまり執着せず、一度パスを出してから動いてボールを受けるやり取りをすることで良い位置でプレーできていた。

しかしながら、最近の彼らは自分でボールを持つ時間が長い。判断が遅いから出しどころを失っているのだとすれば、プレシーズンからの疲労が一度出てくる時期なのと関係があるかもしれない。いずれにせよ、どのタイミングでどういうぷれーをするのかが分かりづらいので、周囲はその即興性に戸惑うことになる。相手を欺けても味方も混乱するようでは、そのメリットを得づらい。

技術の高さを生かした狭いところでのプレーは楽しいが、それが攻撃の効果を高めることになっているかというと、現状そうなってはいないところに彼らの問題がある。

先制点はロナウドのスルーパスに合わせ斜めに抜け出したイスコが決めたのだから、試合とはどうなるかわからないものだ。

このタイミングでは、ロナウドのドリブルによる仕掛けとイスコの動き出しの意図が合った。キックオフからの最初のプレーで得たシュートチャンスではGKのいるところにまんまと蹴ってしまったイスコは、今回はタイミングをずらして決めた。

そこから2点目が遠いのはこれまで書いてきたような問題があっては仕方ない。

こうして押し込む試合となったので、アクラフにとってはプレッシャーが少なく、落ち着いてデビューできたのではないだろうか。動き出しを使ってもらえないことが何度かあって、そのあたりはさすがにまだ信頼関係がないようにも見えたが、ボールタッチは無難。これから期待できそうなデビューになった。

エスパニョールは改善、マドリーは我慢

前半自陣からほとんど脱出できなかったところから改善を図り、後半はエスパニョールがサイドを狙ってロングボールを入れてくるようになり、速い攻めが繋がるようになった。

マドリーがプレーを変えなかったので、守備が手薄な状態で攻撃を受けざるを得ないことが起こるようになる。最後のところでナバスが救った場面もあって、不穏な空気に。

追加点を取れるかどうかは別として、試合運びとしては前半同様ボールを持って、相手陣内でプレーをしていきたかったところ。1点差で攻め合うと、これまで見てきたように何が起こるかわからない。後半こそ、混乱を起こさせないプレーが求められたのだが、そうならなかったことは残念だった。

1点を追うエスパニョールが後半開始時点で2枚替えて流れを変えたのに対し、それを受けることになったマドリーは69分のルーカス・バスケス投入まで先発の陣容で我慢。この判断はジダンらしい。

ベルナベウでやられてきたここ数節を考えれば、早めに守備にシフトしてもおかしくないところ、後半の半分が過ぎるまで待った精神力はすごい。

71分に待ちに待った追加点。中盤でボールを奪ってからの速い攻めから左サイドを使い、最後はイスコがファーに決めた。サイドをえぐってマイナスのボールを入れる得意の形。イスコは落ち着いてコースをついた。

エスパニョールが出てくるようになって可能になった速攻。攻め合うならこうして点を取らないと割に合わない。欲を言えばもっと早い時間に2点目がほしかったが、最近の流れからすれば御の字かもしれない。

2点差になって終盤モドリッチ、イスコと短い時間ながらも休ませられたのも久しぶり。ベルナベウで余裕を持って終盤を迎えられたのは今シーズン初めてと言って良い。試合の中での紆余曲折はさておき、ようやく楽に試合を締められるようになって、2-0で勝利。

求められる水準からすれば課題は多いが、まずまずのプレーで現状ではとにかく大事な勝ち点3を得た。

■最後に少し

マルセロ、カルバハルのサイドバックベンゼマが帰ってくるまでは、攻撃はその場その場でやり方を考えるしかないかもしれない。

イスコとアセンシオが、ラインの間でボールを受けてロナウドを生かす側になることを意識すれば、この試合のメンバーでも改善を図れるだろうが、そうするためには彼らにも少し休みが必要だろう。今のまま続けても、判断の遅さは変わっていかないと思われる。

セバージョス、マジョラルを使って、途中交代でイスコ、アセンシオを出すといった形でもいいので、フレッシュな状態での彼ら2人を使っていきたい。

代表戦があって、新たな負傷者が出てしまう心配は尽きないけれども、現状の離脱者にとっては大事な休みとなる。そろそろベンゼマやマルセロ、テオは招集できるレベルになるだろうから、ここから年末に向けて少しずつ状態を高められれば良い。

マドリーにとっては2月のCL再開あたりからが勝負となるので、そこに向けて準備していくのが第一。様々な課題を感じつつチームを構築していく時期と捉え、我慢して1試合ずつ乗り越えていくしかない。

次節は14日、アウェイでヘタフェと対戦する。