レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

CL準決勝第1戦 vアトレティコ

満員のベルナベウ。こういう試合の雰囲気はとても良い。

■マドリーの先発メンバー

GK:ケイラー・ナバス

DF:カルバハル、バラン、セルヒオ・ラモス、マルセロ

MF:カゼミロ;モドリッチ、クロース;イスコ

FW:ロナウドベンゼマ

46分:カルバハル→ナチョ、68分:イスコ→アセンシオ、77分:ベンゼマ→ルーカス・バスケス

イスコはトップ下というよりはフリーロール。ロナウドベンゼマも動き回るが、一応この表記に。

アトレティコの先発メンバー

GK:オブラク

DF:ルーカス・エルナンデス、サビッチ、ゴディン、フィリペ・ルイス

MF:ガビ、コケ;サウール、カラスコ

FW:ガメイロ、グリースマン

57分:ガメイロ→トーレス、サウール→ガイタン、68分:カラスコ→コレア

ブルサリコが負傷、代役のヒメネスも負傷と右サイドバックは多難。トップはトーレスではなくガメイロとグリースマン

■不安はある程度解決

イスコはトップ下を基本としつつ、上下左右を問わず、様々なところに顔を出す。ボールに触ってリズムを作るプレーヤーだし、彼の能力的な特長を考えても、こういう自由を与えられる余地があるのなら、これが一番生きる可能性が高い。

問題は守備への切り替え。4-3で守ることが出来ない以上、イスコが中盤に組み込まれて4-4の形を作る必要があるが、きちんと戻ってくれるかが不透明。また、攻撃の終わりにどこにいるかがわからないので、戻るとしても陣形がいつも異なることになる恐れもある。

前者については、ロナウドベンゼマも含めて低い位置に帰ることで解決。こういうことが見られるのはCLでだけ。普段からこれができると安定感は増すのだろうが、その気まぐれさにももう慣れてしまっている。ここぞという試合でしっかりやってくれることを評価しておきたい。

後者に対しては、これといった解決策はないものの、ばたついて守るような場面が少なかったことで、さほど問題にはならなかった。

アトレティコの良い形、速攻に繋がるような奪われ方をしなかったことが、その大きな要因の1つ。

不用意なボールロストから攻撃を展開されることが少なかったので、人が足りない場面や、ズレを突かれるような場面を何度も作られることがなかった。しっかりセットする時間があればイスコが戻るし、彼がダメでもロナウドベンゼマが遅らせてくれ、大きな破綻はせずに済んだ。

低い位置でのミスが少なかったことも、マドリーのリズムの良さに繋がった。

不安だったバランも、ボールを持った時の危ないプレーはなく、落ち着いたプレー。全体としても、奪った後に奪い返されるようなこともなく、良い形でボールを運ぶことが出来ていた。

混乱した状態でアトレティコに高い位置で仕掛けられたのは、前半コケのパスにガメイロが抜け出した場面くらい。アトレティコとしてはこういう形を多く作りたかっただろう。

そのアトレティコの攻めはサイドが中心。というより、コケがピボーテの位置から攻撃に変化を付けられていなかった印象。高い位置で奪ってからの速攻は作れない中で、遅攻で糸口を見つけていく必要があったが、マドリーからすれば受け止めやすいことが多かった。ラインの間やサイドバック裏のスペース、4-3で守っている状態でのサイドチェンジの揺さぶりといったようなことが継続されることがなく、マドリーの守りの意識が高かったこともあって、これまでの対戦と比較すると余裕のある試合運びをすることができた。

そのため、10分の先制点以降、多少受けに回っても、失点が時間の問題というような雰囲気はなかった。

もちろん、マドリーもアトレティコも、第2戦までを見据えてプレーしているということもあるだろう。得点以降も、互いに「まだまだこれから」といった様子ではあった。

が、これはアウェイゴールを取られると面倒になるマドリーにとっては、都合の良い状況だった。

前から追い回されて急がされる展開の方が、2点目を取れる確率も高まるがアウェイゴールのリスクも高まる。最も苦戦していた時期はそういう時間帯を長く作られていたが、今シーズンはそれほどの圧力がない。その傾向のまま、あまり波風が立たないままに時間を進められたといったところ。

前後するが、先制点はロナウドのヘディング。コーナーの流れから、右サイドのカゼミロのクロスに合わせた。

セルヒオ・ラモスのボールに対する位置はオフサイドだったが、その前でクリアされプレーに関与せずに済んだ幸運も。ただ、カゼミロのプレーに合わせて少し下がった位置からディフェンダーの前に飛び込んでいく感覚はさすが。

■攻撃がうまくいかないアトレティコ、マドリーは重要な場面で良いプレー

負傷のカルバハルを下げ、後半頭からナチョ。攻撃面では見劣りするものの、先制しており大きな問題ではなくなっていたのは運があった。そして守備でナチョのプレーにミスはほとんどない。返ってしっかりカラスコを止められるようになった。

アトレティコは57分にトーレスとガイタンを投入。サウールに替えてガイタンという選択は、カラスコの左サイドが押さえ込まれているので右サイドの雰囲気を変えたいというところか。

実際、マドリーはマルセロの裏という弱点があるので、ここを突かれると苦しい。

だが、アトレティコの攻撃はなかなか機能せず。マドリーが遅らせられていたとも言えるし、先述の通り試合全体の流れとしても穏やかだった影響もあるだろう。

そのカラスコは68分でコレアと交代。見せ場はあまり作らせないままに下げさせることに成功した。

グリースマンも効果的な位置でボールを触ることがあまりできていなかった。彼自身の調子というよりも、コケをはじめとする出し手の悪さが響いたように思う。4-4のブロックの外側をボールが行ったりきたりしているだけでは攻略できないのは、どのチームも同じ。彼に縦のパスをしっかり入れられる形ができなかったのも、アトレティコにとっては辛かった。

マドリーはトップ下といいつつ低い位置で目立たず頑張ってきていたイスコをアセンシオと交代。同じようなプレーヤーを入れ替えたが、攻撃の意識は忘れないようにというイメージ。

イスコは華々しいプレーこそなかったが、中盤の様々な位置でポゼッションを助けていた。持ちすぎの不安は未だにあるものの、彼がいることで、ボールを取れなさそうな印象を与えることはできる。カゼミロが危なっかしいため、低い位置に顔を出してくれるプレーヤーが多いと助かる。

追加点は73分。左サイドで攻撃を作り直すゆっくりした展開から、マルセロの中へのパス。ベンゼマががっちり受けてゴディンを跳ね返し、ロナウドへ。フィリペ・ルイスに足を出されたが、跳ね返ったボールがロナウドの前に弾み、これをボレーで叩き込んだ。

こぼれ方はラッキーだった。それを抑えたボレーシュートにしたロナウドの技術は見事。コースは甘かったものの、スピードでオブラクを上回った。

秀逸だったのはベンゼマポストプレー。後ろから寄せられつつもぶれない力強さがあった。また、ゴール前で相手を跳ね飛ばしたことで強引にでもシュートに行きたくなるところを、ロナウドに捌いた判断も落ち着いていた。ここでシュートの素振りもせずにパスを出せるのが、ベンゼマのらしさ。消極的に映ることもあるが、この場面では結果として正解だった。

さらに86分、セルヒオ・ラモスがコレアの受け際からボールを奪い速攻。4対4の状況で、ルーカス・バスケスから右を走るロナウド、更に外に回ったルーカス・バスケスへと展開。

ゴールライン際でクロスを見せつつ更にえぐったバスケスがギリギリで出したパスは、ニアでディフェンダーをつれていたカゼミロがスルーし、中央のロナウドへ。オブラクとゴールを守りに入ったディフェンダーを良く見て、ディフェンスの股下を通す中央のコースにインサイドで決めた。

交代で入ったバスケスが最後のところでゴディンを上回るフレッシュさを生かした。久しぶりに彼らしいドリブル突破。ロナウドは既に2点を挙げていたこともあって、強く蹴ることもなく冷静なシュートの選択。

アトレティコが交代策を中心として後半流れを変えようとしたところ、勢いを削いで彼らの得意な試合展開にさせなかったことが大きかった。2点目、3点目が入ったことはその報いがあったというような印象。決めたロナウドはもちろん、その前段でも、ここぞというところでのプレー選択がはまった。攻撃面でチャレンジするプレーが当たらなかったアトレティコと、この点が対照的だった。

■最後に

2点差ではなく3点差で終えられたことで、第2戦に向けた余裕がかなり違ってくる。もちろん慢心は避けなければならないが、1点取られて追い込まれるような状態よりはずっと良い。

アトレティコは土壇場で追いついたリーガのような巻き返しはならず。最後までうまくいかなかった。

この大きな試合で、こういうプレーになってしまったアトレティコは残念。マドリーは最高ではないにせよ、うまく試合を作った。その少しの差が際立った結果となった。

第2戦はカルバハルを欠いての戦いとなる。最近のダニーロは落ち着いてきており、以前ほどは不安がないのが救い。

3点を追うアトレティコは序盤からエネルギーを割いてくるだろう。この試合同様、うまくいなして試合を進めていってもらいたい。