トリノでのリベンジは許さなかった。ロナウドの輝きは褪せることなく、3つのアウェイゴールを奪い、勝ち抜けに向けて大きなリードを得ることができた。
■マドリーの先発メンバー
GK:ケイラー・ナバス
DF:カルバハル、バラン、セルヒオ・ラモス、マルセロ
MF:モドリッチ、カゼミロ、クロース;イスコ
59分:ベンゼマ→ルーカス・バスケス、75分:イスコ→アセンシオ、82分:モドリッチ→コバチッチ
この舞台でイスコシステム。走れるメンバーがベンチに揃うことになった。
■ユベントスの先発メンバー
GK:ブッフォン
MF:ベンタンクール、ケディラ;ドウグラス・コスタ、ディバラ、アレックス・サンドロ
FW:イグアイン
69分:アサモア→マンジュキッチ、ドウグラス・コスタ→マテュイディ、75分:ケディラ→クアドラード
両サイドにスピードのあるプレーヤーを配置。ピャニッチは出場停止で、ベンタンクールが先発となった。
■先制も、ユベントスペース
3分で幸先良くアウェイゴールを挙げて試合が進むことになった。
マドリーはベンゼマとロナウドを前線に残して4-4で守るが、攻撃時にイスコがポジションにとらわれずに動くので、2列目の並びに約束がない。
最低限カゼミロがサイドに張り出さないようにはなっているものの、攻撃が終わった時のポジションによって場所が変わるから、ちょっとした判断の遅れやポジショニングのミスでやられるリスクは、バスケス、アセンシオを使った4-4-2と比べると格段に高い。
その上、序盤ということもあって、前から追う姿勢があって、返って問題を大きくすることに。プレスが得意なチームではないし、さすがにユベントスはある程度の寄せは問題なくかわすことから、ユベントスに広いスペースを与えることになった。
こうしたことから、プレスを外されて4-3や4-2で一時的に対応せざるを得ない場面がしばしばあって、先制点の後はユベントスが良い場面を多く作っていた。
枚数が足りないとどうしてもサイドを捨てることになるので、ただでさえサイドが厚いユベントスが易々とボールを運ぶことが出来ていた。
■とにかく凌いだ意義
ユベントスにとっての誤算であり、マドリーにとって幸運だったのは、この前半に同点ゴールが決まらなかったことに尽きる。
流れの中でシュートチャンスはあったし、マドリーのセットプレーの守備はお世辞にも万全とは言いがたく、エリア内での決定的場面が何度もあったが、マドリーは最後のところでやらせなかった。
昨シーズンの決勝では、マンジュキッチのゴラッソが決まって同点となり、ハーフタイムを挟んでしばらく同点の時間が続くことになったのだった。
その時に比べるとかなりユベントスに流れが傾いていて、ゴール前でやらせてしまっている度合いは大きかったものの、とにかく失点しなかったという結果が、この後の試合運びに影響していくことになった。
■リードを維持しての変形、ゴラッソ
リードを保ったまま、マドリーは59分にベンゼマとバスケスを交代。イスコを前に出し、4-4-1-1の形に変形した。
これにより4-4のブロックはずれなくなって、サイドにバスケスが入ったことで運動量も確保できることに。
ここまで守備に問題を抱えつつ無失点で凌いできたことによって、守備を締められるこの交代のメリットは増すことになった。
そして64分にロナウドの歴史に残るであろうゴラッソ。
もともとは何でもないロングボールの処理をキエッリーニとブッフォンのところで連携ミスしたところから。
押されていたマドリーではなく、ユベントスに致命的なミスが出た。
なお効果的だったのは、一度凌いだかに見えた後にものすごいゴラッソで追加点を挙げたということだ。
パリ戦でもそうだったように、マドリーは何もないところから得点を生み出せる。前半からいい場面を作りつつ一向にゴールが決まらないユベントスを尻目に、一度守られた後にとんでもないゴールを決めてしまうのだから、心理的なダメージは大きいだろう。
観客から拍手までしてもらい、どちらが優位に立っているのかを強く印象付けられる場面になった。
こうなると、単なる1ゴールと片付けてやり直すのは難しい。
直後にディバラが2枚目のイエローで退場となり、大勢は決した。
75分にはマルセロがイスコ、ロナウドとのパス交換で抜け出しゴール。これ以上スコアは動かなかったが、更にアウェイゴールを重ねられそうな雰囲気さえあった。
■手の内を見せず第2戦へ
追いかける展開であれば、もっと早いタイミングでアセンシオやベイルを投入し、4-4-2に変形するプランもあっただろう。
だが、リードを保ち2点目も決まったことで、その手の内を見せる必要がなくなった。アセンシオは15分ほど出場したものの、ベイルを無理に使うまでもなく試合を終えることができた。
これで、第2戦では最初から4-4-2にし、この試合とは違う形でユベントスに対応を迫ることができる。ついでに言えば、週末のアトレティコ戦でベイルを問題なく使うこともできるようになったので、これだけ余裕を持ってアウェイでの第1戦を終えられた意味は非常に大きい。
もちろん個々のプレーヤーとしての心情はあり、報じられているようにベイルとしてはプレーしたかった思いはあるのだろうし、理解はできる。
ただ、それに配慮してコンディションを損なうデメリットを蒙るわけにはいかないし、アトレティコ戦、ユベントスとの第2戦と大きな試合が続く時期なので、どこかで出番は作れる。
この試合においては、主力級を温存して大勝できたことを喜びたいと思う。
■最後に
3点差は大きいが第2戦に向けて油断は出来ない。
セルヒオ・ラモスも出場停止、ナチョの起用も怪しいので、守備においては問題が発生する恐れは十分にある。
週末のアトレティコ戦は、リーガでの順位を維持する現実的な目標もあるし、今後の勢いを持続するためにも良い試合にしたいところだ。