ジダンはローテーションを選択。理想的とはいかないながらも結果を出した。
■マドリーの先発メンバー
GK:クルトワ
DF:カルバハル、バラン、ミリタン、マルセロ
MF:カゼミロ;モドリッチ、クロース
62分:ヨビッチ→ベンゼマ、ロドリゴ→ビニシウス、71分:マルセロ→メンディ
バスケス、ヨビッチが先発し、前線は珍しい組み合わせ。
■セビージャの先発メンバー
GK:バツリク
MF:グデリ;バネガ、フェルナンド
66分:ムニル→エンネシリ、75分:フランコ・バスケス→オリベル・トーレス、80分:バネガ→ロ二・ロペス
アウェイでの勝ち点20はリーガトップの成績。
■やはりうまくいかない
今シーズンのここまでのパターン通り、メンバーを入れ替えてのマドリーの攻撃はうまくいかなかった。
サイドにボールを入れてもクロスが成功する確率は低いし、抜きにかかる圧力もないからセビージャは守りやすい。バスケスは相変わらずであり、ロドリゴもサイドで仕掛けることが少ないので、セビージャに難しい状態を強いることができなかった。
こうなるとヨビッチは苦しい。
シンプルにサイドを使うだけでは打開できないチームとしては、彼に下りてきてもらってブロックを崩すプレーをしてほしいところ。これはベンゼマが得意なプレーで、彼を基点としてボールを動かし、守備をずらすことができる。
ところが、ヨビッチがそうしたプレーをすると、エリア内で受けてフィニッシュする良さを発揮する機会が消えてしまう。特に前半は、下りても代わりに出ていくプレーヤーがいるかどうか見えなかったことから、動きがとりづらそうだった。
守備もバルベルデ不在時の課題が顕著に。
バルベルデがいれば、トップの位置まで出て行ってコースを限定する彼の動きに合わせて相手を捕まえることで統一できているが、不在時は中盤の誰かが出ていってから、毎回修正しつつ守ることになる。
うまく捕まえられずにロペテギのチームらしい繋ぎでプレスをはがされ、一気に攻撃を進められるという場面が見られた。
下がっての守備に大きな破綻はなく、良い形でシュートを狙われることは多くはなかったが、今はロングカウンターのための切り替えは行われていないから、低い位置で攻撃を始めると手数がかかる。
そうなると、サイドへ展開するも危険なところにボールを運べない攻撃を繰り返すほかはなくなるのだった。
前半はマドリーの枠内シュート2、セビージャは3。何とも歯がゆい展開で終えた。
■守備から修正
マドリーの修正は守備から。
ジダンが述べていたように、高い位置のプレスを積極的に行うようになって、セビージャを逼塞させることができるようになった。
バルベルデのように最初に出ていくのが誰かが決まってはいないが、一人が出ていくことを前提に中盤より後ろが動くようになったことで選択肢を奪うことができた。
それとともに、中盤の面々が前に出て行ってそのまま攻撃参加することも増えた。サイドは相変わらずだが、バイタルに色々なプレーヤーが出たり入ったりするので、セビージャはやりづらかっただろう。
57分、まさにその形でカゼミロが出ていき、ヨビッチのヒールパスで抜け出して先制に成功したのだった。
セビージャは64分に同点。
ヘスス・ナバスとムニルの右サイドで運んで、デヨングが左足のゴラッソ。マドリーの人数は揃っていたが、何度かあった接点で奪いきれずに時間を与えた。
ボールを奪えたように見えたところから粘られ、良い形で抜けてシュートコースを作ってしまったのは残念。
中盤が出ていくようになっていたので、カウンターのやり合いでやられたなら仕方ないが、ブロックを作ったところから3人で仕留められたのはもったいなかった。
マドリーの勝ち越しは69分。ロングボールをマルセロが回収してビニシウスへ。この時点でセビージャの中盤は足りておらず、進出してきたカゼミロはフリーだった。
彼のパスはずれて右サイドで作り直すこととなったものの、ルーカス・バスケスが余裕ある形でクロス。そのままエリア内に入っていたカゼミロがフリーで合わせた。
カゼミロの最初のパスが通っていたら、理想的なカウンターが完結していただろう。相手が足りないところを中盤のプレーヤーが使えたことで良い展開ができた。
そこで終わるのではなく、ゴールに直接かかわる位置まで行っていた点で、先制の場面と似た形と言える。
この場面で見られたように、セビージャは時間経過とともにプレーヤーの距離が遠くなっていた。
交代で入っていたビニシウスはサイドで1対1の場面を何度も作れ、ヘルプが間に合う前に勝負することで、久々に良さを出していた。得点への関与はなかったものの、クロースへの決定的なパスなどもあり彼の長所を生かす良い交代。こういう起用で自信をつけさせたい。
マドリーも終盤はかなり緩んだものの、復帰直後のマルセロをメンディに代えて万全を期し、1点差で逃げ切ることに成功。
守備の改善により攻撃の糸口を作った後半の軌道修正が光った。
■最後に
前述したとおり、ヨビッチなど個々のプレーヤーとしては課題を残しているものの、アザール、バルベルデを欠きつつもローテーションしてセビージャに勝利。チームとしては十分な成果を得ることができた。
バルベルデがいない場合に、後半のプレーでやれることを確認できた点は重要で、これにより彼もローテーションで休ませられる。
バルベルデ、カゼミロの併用が現状のベストなのは間違いないが、そうでなくてもやりくりできそうだという見通しが立ったのではないだろうか。
ミッドウィークはコパデルレイが行われ、マドリーはウニオニスタス・デ・サラマンカとアウェイでの第1戦。週末もアウェイでバジャドリーと対戦する。