かみ合わない状況で先制されたが、前半のうちに逆転。難しいエル・サダールで貴重な勝利を挙げた。
■マドリーの先発メンバー
GK:クルトワ
DF:カルバハル、バラン、セルヒオ・ラモス、メンディ
FW:ベイル、ベンゼマ、イスコ
71分:ベイル→ルーカス・バスケス、82分:イスコ→ビニシウス、88分:ベンゼマ→ヨビッチ
ベイルの先発には驚いた。クロースを休ませ、モドリッチとバルベルデのコンビ。
■オサスナの先発メンバー
GK:セルヒオ・エレーラ
DF:ナチョ・ビダル、ダビド・ガルシア、ウナイ・ガルシア、エストゥピニャン
MF:ブラシャナツ、モンカヨラ;ロベルト・トーレス、イニゴ・ペレス
FW:ルベン・ガルシア、アルナイス
10分:モンカヨラ→メリダ、61分:アルナイス→エンリク・ガジェゴ、77分:ロベルト・トーレス→カルドナ
中位につけるオサスナ。昇格してきてのシーズンとしては悪くない位置にいる。
■ベイルとイスコの明暗
控え組が出た時に、主力が揃った時と同じ仕組みでプレーできないので、なかなか機能しないという趣旨のことを先日書いた。
今節のベイル起用はまさにそういったもの。
守備参加が気まぐれで戻ってくることを信頼されていない、右サイドで幅をとっても右足が使えないので時間がかかるといった彼個人の問題がまずある。
さらに、普段なら積極的に追い越してくれるバルベルデが左に置かれており、ベイルが自由に勝負できる環境となっていなかった。
右足でクロスを上げる場面もあり、コンディションそのものは悪くないように見えた(本当に悪い時は右足を使わないのだ)から、尚のこともったいない起用法となってしまった。
そうした配置としての問題とは全く別ではあるが、ベイルはもう少し感情を出してプレーした方がマドリディスタに受け入れられやすいように思う。
ポジションを変えて裏抜けした場面など、単発だが良い場面もあったのに、画面で抜かれる彼は淡々としていた。「うまくいってもいかなくても、どっちでもいいや、このチームに居場所はないんだし」と思っているように見えなくもない。
少ない出場機会でのチャンスにしがみついてでも結果を出したい、というような悲壮感が感じられないのだ。
一時期はビニシウスについても「笑っている場合か」といった論調も見受けられていた。見る側の勝手な精神論と言ってしまえばそれまでだが、応援する側に受け入れられなければ特にボーダーにいるプレーヤーは厳しい。
そんなベイルを尻目に躍動したのがイスコだった。
最前線の配置とは言いつつ自由に動き回るおなじみのプレーだが、今節はボールに近寄って行って受けてもその後の球離れが良く、攻撃を停滞させることが少なかった。
また、守備参加が安定しており、競り合いでのプレー強度が高いから、前線からの守備に組み込むことができた。
左に移ったバルベルデが、不慣れな位置のせいか効果的なプレーが少ない分をイスコが補ったと言ってもいいような内容。
同点ゴールの場面では、左サイドで運んだあと、そこに残ることなくエリア内の良い位置に入り込んでもいた。
ゴールに繋がる位置に入れれば、彼の技術は守備の脅威となる。こうしたプレーが続けられればと期待できる内容。
■苦労しそうだったが・・・
オサスナはエストゥピニャンが厄介。左サイドを上がって優位を作っていた。前から捕まえられずにいる間に、早い展開で攻撃を進められる苦しい展開に。
しかもセットプレーでの得点で先制を許し、いかにも苦労しそうな序盤。
そこからイスコのゴール、コーナーからセルヒオ・ラモスのゴールと一気に逆転できたのは幸いだった。
モドリッチが良いボールを入れてセットプレーの質は維持できていたと言えるだろう。
クロースがいない状況だと、最近よく見られるショートコーナーからリターンをもらってフリーになるプレーができない様子で、単純に蹴り込むしかなかったが、ボールと中で待つプレーの質で上回った。
今シーズンは失点そのものが少ないので、ビハインドになることが不慣れ。慌ててバランスを崩すと、ミッドウィークのラ・レアル戦のように一気にやられることも考えられた。
そのコパデルレイの試合から中2日で、またも追う展開となっても動揺しなかった立て直しは見事。ジダンのチームらしいしぶとさが発揮された。
■交代が機能
モンカヨラを負傷でメリダに替えざるを得なかったことで、オサスナは中盤の守備でやり合う選択がしづらくなったようであった。
メリダが入ったことで攻撃の構築はしやすくなっていたが、彼らにとって不幸なことに前半のうちにマドリーがリードを奪ったことで無理せずとも良くなった。カウンター狙いに切り替わってからの後半は、オサスナに良い場面を作らせず。
オサスナはサイドからのボールに期待を持って、エンリク・ガジェゴを入れて中央のターゲットを作った。エストゥピニャンの存在感が継続してあり、選択としては妥当に見えた。
対してマドリーはバスケスを入れて右サイドの安定化を図る。役割を限定したこういった起用だと生きるのがバスケスだ。これにより、せっかく入ったエンリク・ガジェゴにそもそも良いボールを供給させないことに成功した。
更に自由に動き回っていたイスコを下げ、ビニシウスを左に置いて固定。カウンターを狙いつつ、形を崩さずに守りに入れるよう整理する一挙両得の手で、これが良かった。
追加点はそのビニシウスがボールを追ったところから。
相手のパスミスをベンゼマが拾ったところからモドリッチとのワンツーで抜け出し、最後は上がってきたバスケスに楽にシュートさせる良いパス。
更に残りわずかな時間で入ったヨビッチも、11節のレガネス戦以来となる久々のゴール。
この4点目もビニシウスが相手ボールを奪ってからの攻撃。バルベルデが抜け出したところにモドリッチがパスを出した。
普段の水準からするといまいちだったバルベルデだったが、スペースができてからはイスコが担っていた分もカバーするプレー。最後に数字に残る結果も出した。
交代して入ったプレーヤーが関与しての得点で勝負を決定づけ、4-1の快勝。
前半の気苦労はどこへやら、最終的には望んだ以上の結果となった。
■最後に
個人的にはヨビッチのゴールが嬉しい。
ゴールが多くのことを変えてくれ、彼のケチャップが残りのシーズンでたくさん出てくれることを期待している。
チームとしては、コパの苦い思いを拭い去るには十分な結果。
ひとまずは、引き摺らずに済みそうだ。
次節はセルタをベルナベウに迎える。このセルタ戦でアザールが復帰すると報じられている。気兼ねなく彼を出せる試合になれば。