レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

コパデルレイ敗退から考える

準々決勝でレアル・ソシエダに3-4で敗れ、コパデルレイのタイトル獲得はならなかった。

ウニオニスタス、サラゴサとの試合について書けていなかったこともあるので、このタイミングでマドリーのコパデルレイをまとめておく。

 ■前提と理解

出場機会の確保とそれに伴う士気の向上、主力のコンディション維持を図るため、コパデルレイでは控えメンバーを多く使うのが通例である。

これまでのホームアンドアウェイで戦うレギュレーションは、下位カテゴリーのクラブが相手なら10回やれば9回は勝ち抜けるものであった(だからこそアルコルコナッソはあまりにも屈辱的な出来事であったのだ)から、余裕をもってカンテラからの招集を行うといったことも珍しくはなかった。

 

今シーズン、ジダンはここまでの3試合でカンテラからの招集を行わなかった。

 一発勝負になったことで、第1戦の失敗を第2戦で取り返すことができなくなっているし、そもそもトップチームでも出場機会が少ないプレーヤーがいるのだから、まずそちらから起用していくという考えは理解できる。

トップチーム内のことを第一に考えた招集、メンバー構成だったことを私は肯定的に捉えている。

 

一方で、「狙えるタイトルは全て狙う」というのがマドリーの建前である。

プリメーラのクラブが相手になっても控え主体で臨む姿勢は一貫していたが、勝つ確率はその分下がるわけだから、そうした建前とは相容れない姿勢ではあった。

実際のところは「トップチームの控え主体でやれるところまでやる」といった考え方でジダンはここまでやってきたのだろう。

 

プリメーラのクラブとやるにあたり、勝つ可能性を高めるなら、控えを使って調整することなく、主力を投入する必要がある。

それをしない選択をし、控えの出場機会確保と底上げを目指したのだから、このラウンドで敗れたことは、残念だがある程度受け入れざるを得ないと捉えている。

 

■プランBはない

このように、チームマネジメントの大枠としてはジダンの考え方を受け入れつつ、気になった点について指摘しておきたい。

 

ピッチ上で顕在化したのは、守備の不安定さである。

ラ・レアル戦での4失点が目立つが、失点の場面以外でも、相手に圧力がかからず、出て行ったところを逆に突かれてラインの間を取られることがしばしばあった。

 

マドリーが良い時は、前線からうまく追い込んでいってボールを回収できている。

それと同じことを不慣れな組み合わせでやろうとすると、前はボールを追うが後ろがついてこないとか、中盤に下がってコースを消してほしい時にそういう動きがないといったことが起こってしまう。

例えばラ・レアル戦では、ハメスがボールホルダーに出ていこうとして後方確認したらナチョがついてきていないので方向転換した場面があった。それぞれの動きを都度確認しなければならなかったことを象徴しているものと言えよう。

 

ここから言えるのは、「今のチームにプランBはない」ということだ。

 

良いチームについて、誰が出ても同じようにプレーできる、という評価がされることがあるが、今のマドリーはそうではない。主力が出て長所を出せるプレーと控えのそれが統一されていないのだ。

ハメスやマルセロ、(またも負傷で出場はウニオニスタス戦のみではあるが)ベイルといった、攻撃面で長所はあるが守備強度に難がある彼らを使うとなれば、相応の変更が必要だし、今のところそうしたメニューは用意されていない。

主力と同じやり方を求めていかざるを得ないのにこの結果となってしまうと、今後ますます起用しづらくなってしまう。

 

ジダンのもと少数精鋭でタイトルを得たものの、その後コバチッチなど重要なプレーヤーを失ったことは記憶に新しい。

長くチームを維持していくためには、同じ轍を踏むことは避けたい。うまく主力に組み込めるプレーヤーとポジションを発見すべきではないだろうか。

 

■タイトルを失った影響

もう一点は、タイトルを逃したことによるダメージである。

 

起用法を見る限り、総力戦でタイトルを取りに行くのではなく、控え主体でいけるなら、といった姿勢なのではないかということは既に述べた。

個人的にはそれなら敗退やむなしと考えているが、そうではない人も多くいるのではないか。コパを捨てたような印象が強まると、チーム内外に疑念が生じる。

 

マドリーは、リーガで1試合負けても騒がしくなるクラブである。

そのクラブにおいて、早い時期にタイトルの可能性を失ったことの影響は推して知るべきだ。日程が楽になったというメリットは、その影響からすると比べ物にならないほど小さい。

 

今のところメディアがそのように取り扱っていないのは幸いだが、今後の数試合の結果如何では面倒な雰囲気になりかねない。

今後のリーガの試合、そしてその先のタイトルに向けて、プレッシャーを負うことになったのは確かだ。

 

■最後に

敗退の痛みを消し去るには、試合での勝利が一番の薬。

 

前線の面々がゴールを挙げるといったような良い話題が多いほど良い。

幸いアザールの本格復帰も近い。CLまでの数試合で良い結果を出して、懸念を払拭しておきたい。