レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

ジダンを解任すべきか?

先週末のアラベス戦に続いて、アウェイでのシャフタール戦にも敗れ、CLグループステージ突破も危ぶまれる状況となっている。

 

リーガでも精彩を欠いており、第二次ジダン体制の限界との声が大きくなりつつある状況だが、さて、マドリーはジダンを解任すべきなのだろうか?

この点について、いくつかのポイントから考えてみたい。

 

ポイントはこちら。

 

 

昨シーズンの内容

昨シーズンは、新型コロナウイルス感染症の流行によ3月からのるリーグ戦中断を経て、6月から再開となった。

 

週に3試合あるのが通常運転であった再開後、ジダンは守れるチームを完成させ、最終的にリーガのタイトルを手にした。

再開後のリーガ11試合で6失点。6回のクリーンシートを達成し、守り勝つ形でバルセロナを振り切ったのだった。

 

ただ、これは唯一これしかない、という道だった。

得点が期待できる中で守備が構築されたわけではない。得点が期待できない「から」守備を整備しなければ勝ちはなかったのである。

ジダンはそのただ一つのやり方を極めることに成功した。

先に点を取り、後は守ってカウンターという形でタイトルに到達したのである。

 

様々な道からこの道筋を選んだのではない。

道の両端が崖になっている一本の細い橋の上を、過たずに歩き切ったようなものだ。

ギリギリのところを何とか生き延びてのタイトルだったということができるだろう。

 

昨シーズンは、再開後の試合数がはっきりしていた。

 

CLもあったとはいえ、6月から7月中旬までの間の短期間に集中すればよかったし、そのまえに長い中断もあり、主力のコンディションは整っていた。

短期決戦に主力を惜しむことなく投入できる条件が整っていたのである。

 

一方、今シーズンは通常通りの日程となっている。

しかも昨シーズン終了から日も浅い時期に開幕しており、主力の疲労は癒えていない。

 

その条件で昨シーズン通りの運用を行えば、主力に疲労や負傷が出てくるのは当然である。

昨シーズンからの影響を受けての今シーズンであるから、通常通りのやり方で臨むのは無理があるのだ。

 

負傷などの離脱で戦力ダウン

そこで、ローテーションして主力組を順番に休ませることになる。

が、控え組には、主力組を補い、その後序列を脅かせるほどのプレーヤーがいなかった。

 

ベンゼマの控えはヨビッチとマリアーノだが信頼が全くなされていない。

負傷がちのアザールに代わって主役となれる存在はおらず、ビニシウスは課題が多くアセンシオは無難なプレーに終始している。

バルベルデと同じ役割が担えるインテリオールはおらず、カゼミロの代役はそのそもいない。

カルバハルの代役たるべきオドリオソラは同じ時期に長期離脱しており、本職ではないルーカス・バスケスしかいない。

セルヒオ・ラモスに代われるセントラルもおらず、統率に大きな不安がある。

 

ざっと見ただけでもこれだけの差がある。

率直に言って、控えは控えでしかなく、主力を奪うほどの存在となっていないのだ。

 

短期決戦と捉えて主力をつぎ込みタイトルを得た昨シーズン終盤でさえ、守り勝つしかなかったのである。

そこから主力が抜けてしまえば、勝利はおぼつかなくなる。

昨シーズンは大丈夫だった細い橋も、主力がいない今シーズンは足を踏み外してしまっている状況なのだ。

 

非力な控え組

新型コロナウイルス感染症の影響で再開後は無観客試合となったことで、収入は如実に減っている。

今シーズンに向けては、主力の疲労が心配される中、エーデゴーア、オドリオソラのレンタルバックのみが新しいメンバーで、アザールやアセンシオの復帰が期待される、という程度の補強しかなかった。

 

主力が疲れている時にそれを補えるプランBがあれば、短期決戦でも普通のシーズンでもやりくりはしやすくなる。

モラタやコバチッチが躍動した時期のプランBのレベルは高く、ローテーションしても勝ち点を落とさずにいける安心感があった。

 

今はそれがない。

主力が欠ければプレーレベルが如実に下がってしまう。

 

攻め手がないので焦れて守備がゆるくなり、先に失点してはより苦しくなることを繰り返していて、底上げの気配が全くない。

主力がいて何とか勝っていた昨シーズンから主力が抜ければ、苦戦続きとなるのは容易に想像がつく。

 

 

補強がなかった

もちろん、マネージメントもコーイングスタッフの仕事であるから、負傷の発生にジダンを筆頭とした現場のスタッフに問題が全くないとは言えないのは確かだ。

 

だが、負傷を完全に防ぐことは当然できない。

さらに、新型コロナウイルス感染症の検査で陽性が出れば、2週間の隔離が必要となるから、各国代表を多く抱えるマドリーは、代表戦ごとに大きな不安を抱えて招集リストを作らざるを得なくなる。

 

本来であれば、こうした不安を取り除くため補強がなされるはずなのだが、無観客試合で収入が減っていることや、ベルナベウの改修もあり、レンタルバック意外に実質の補強がなかった。

これで昨シーズンからの上積みを作れというのはどだい無理な話だ。

せいぜい可能なのが昨シーズンの維持であって、主力が抜ければそれもかなわなくなる。

 

至極当然の計算が成り立っている、というだけのことなのだ。

 

さらなる悪循環へ陥る不安

これらのことから、ジダンであろうがなかろうが、同じような問題を抱えたのではないかと考えられる。

また、補強がなかったことについてはペレス体制の責任もあるとはいえ、コロナ禍では誰がやっても現状かそれ以下だった恐れが強い。

 

もう一つ言えば、今ジダンを成績不振で解任すると、コロナ禍が続いても、成績が悪ければ解任せざるを得ない前例を作ることになる。

いつまで続くかわからない状況にあって、そうした判断は危うい。

コロナ禍であるかどうかに関係なく監督の首を切っていたら、今後どれだけの監督が必要になるかわからないほどになってしまう。

 

戦力が充実しているのに苦戦が続いているというのなら、解任で仕切りなおすことも考えられるが、現有戦力は主力と控えに大きな差がある。

過密日程であるからと控えを使えば戦力が如実に落ちて、攻められないし守り切れないで勝ち点を落とすことが増えてしまっている。

これをジダンの責任と言えるだろうか。

また、そのことで監督を代えて大きな改善が望めるだろうか。

 

私はそう思えない。

 

まとめ

ジダンに問題があるか?それはその通り。

ジダン体制は限界か?そうかもしれない。

ジダンより現状をうまく乗り切れる監督はいるか?誰がやってもこの程度なのではないか。

 

シーズン途中での監督交代は、一般的には将来に期待をかけるもので、そのシーズンは捨て石だ。

たまたまジダンがCLを取ったのでマドリディスタは麻痺してしまっているが、ジダンではだめだと言って監督を代えても、今シーズンは大して上向きもしないのが普通。

タイトルは本格的に諦めざるを得なくなるのである。

これほど厳しいシーズンでもジダンに責を負わせようとする人々は、今後に期待できるからと、今シーズン無冠であることに耐えられるとは思えない。

結局また監督を代えることになって、混迷を深めることになっていくのだ。

 

スケジュール上は普通に始まったとはいえ、新型コロナウイルス感染症の影響を受けたシーズンであることに変わりはない。

特殊なシーズンである以上、通常通りの判断を行うのはやめた方が良い。

 

先が見えないのに我慢できなくなって手をつけるのは、愚かである。

見通しができた時に果断即決するため、今は耐える時ではないだろうか。