レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

マドリーのシーズン序盤を振り返る

代表戦期間で試合がない週末だった。

少し時間に余裕ができるタイミングでお題をいただけたこともあり、今回は今シーズンのここまでを大まかに振り返る内容。

現状と課題、そして希望を持てるポイントなど、こんなメニューで振り返りたい。

 

 

起用の考え方を推測

序盤、ジダンはメンバーを固定せず、入れ替えながら試合をこなしていった。

レンタルバックとなったエーデゴーアや、負傷明けのアセンシオちったメンバーをどう組み込むかを検討していたから、というのが大きな理由の一つだろう。

 

これまで通りの4-1-2-3であれば、右エストレーモに適した人材がいないのが問題だから、ここに当てはめることを考える。また、4-3-1-2の1にイスコ以外のプレーヤーを置いてみたいという発想もあった。

 

ここで疑問が一つ。

今オフ、レンタルバックではない純粋な戦力補強はなかったのだから、それほどあれこれいじる必要はあったのか?というものだ。

 

実際、試さないポジションはとことん試していない。

例えばセンターフォワードベンゼマの控えはいないも同然で、マジョラルがローマ移籍前に僅かに爪痕を残したくらい。

仮にマジョラルの発言が真実で、彼が残りヨビッチが移籍していたとしても、出場時間に大きな変化が起きていたとはとても思えない。

 

また、もともとジダンは少数精鋭を好み、メインで使うのは15、6人ほど。

ローテーションするためにあと5,6人を加えて少しずつ使う、といった形で運用していく。

現有戦力でいえば、バルベルデ(彼はほぼ主力組である)、ビニシウス、ロドリゴバスケスといったあたりが、主力組に準ずる序列。

「2番手組」とも言うべき彼らが、主力組を突き上げる立場である。

 

問題は、この2番手組みのポジションに偏りがある点。

バルベルデを除けばほとんどがエストレーモである。しかも、できれば左に置きたいプレーヤーが多く、非常にバランスが悪い。

 

主力組にいきなり食い込めるならそれに越したことはないが、昨シーズン終了からここまで3か月ほど。これくらいで序列が覆るほどの成長はなかなかレアケース。

2番手組により多くのポジションのプレーヤーがいれば、彼らを起用しながら組み合わせを変えることでローテーションできる。

疑問に対する私の推測は、ジダンはこの2番手組の充実を図りたいのではないか、というものだ。

 

誤算

負傷や新型コロナウイルス感染症による離脱者は多く出てしまっており、やりくりが難しい状態が続いている。

中でも一番大きな誤算は、負傷でカルバハルを長期にわたり欠いていること。

 

彼は絶対に外せないプレーヤーで、オドリオソラでさえ時折のローテーションで使う程度だ。本職2人にもそれほどの差がある。

そのオドリオソラも同時に負傷離脱したことで、バスケスサイドバックで起用せざるを得なくなり、多少のローテーションもできなくなってしまった。

 

バスケスの右サイドバックは、これまで何度か緊急で使われたことがある。

運動量は十分だが、守備技術は本職に比べるとやはり微妙という印象であった。

攻撃もサポートがあって仕事ができるタイプなので、カルバハルのようにお任せで大丈夫、とはならないのだ。

 

今シーズンのここまでは、そうした以前の印象よりはましではある。

大きな穴とはなっておらず、攻撃への関与では気が利いているプレーが見られる。ただ、これがどこまで続くかはわからない。

試合を閉じるために役割を限定し途中で起用すれば良いが、先発ではぱっとしないことが多いバスケスが、急に後者のモードに戻ってしまう心配は常にある。

 

左のマルセロが悪い意味で大きな話題となっている事情もあり、バスケスは目立っていないものの、カルバハルがいない右サイドのレベルダウンは大きい。

 

基本は変わらず守備から

マドリーが勝つためには堅固の守備が必要で、これは昨シーズン終盤から変わっていない。

 

相手のブロックを崩せる形がないので、先制を許してしまうと、そこから2点「も」とることは難しい。

ロナウド在籍時は、クロスを上げれば得点の可能性があり、ブロックの外側からでも叩けたのだが、そのやり方ができなくなってどうするか、ずっと解決できずにいる。

 

だから、守りに集中して、カウンターやセットプレーで先に点を取り、相手に出てきてもらってスペースを得て追加点、というのが最も可能性が高い。

バルセロナインテルとのようなクラブとでも、先制しさえすれば互角にやれている。どちらも失点はしているが、終盤に相手が出てきたところを刺す武器があることも示した試合で、このルートで試合を進められればやりやすい。

 

マドリーほどのクラブがこれで良いのかという指摘はあるだろうが、勝てなければ監督交代など、より深い混乱を来す。我慢して続けていくほかはない。

幸い、マドリーはプレースタイルにこだわりがあるクラブではない。「勝って、勝って、勝つ」ことが至上命題であるから、結果が続く限り大きな問題とはならない。

理想のプレーではなく、勝てるプレーを続けていくべきだ。

 

希望が持てるポイントは

最後に、今後伸びる可能性があるポイントを2つ挙げたい。

 

1つ目はハイプレス。

前線の3枚にインテリオール1枚が加わってコースを限定していくやり方は、ここまでもしばしば行われている。

ただ、プレスをかけるにしても、前線がどこまで追ってくれるかはっきりしないので、ラインを上げづらい。逆に前線も後ろがついてきてくれるのか確信が持てない、という悪循環があり、奪い切るほどのものとはなっていないのが現状だ。

 

さらに、この形を実施できるメンバーも限られている。

 

前線ではアザール、アセンシオだと強度が怪しい。

中盤では、前線に参加できるバルベルデと、プレスを剥がされた時に広いスペースをカバーできるカゼミロが必須。

インテリオールが前線に参加しないと、相手の最終ラインと3対4、GKも含めれば3対5となって容易に剥がされるから、バルベルデの役割は重要。必ず前線に入ってくれる計算が立つプレーヤーでなければならないからだ。

最終ラインでは、上下動してくれるメンディ、カルバハルが欠かせない。

 

彼らが揃うことでようやく、ある程度のレベルのプレスが実現できるのであって、それ以外のメンバーが入ると、剥がされるリスク、剥がされた後の処理ができないリスクのどちらかが大きくなってしまう。

よって、現状ではそこまでとはせず、ロングボールを蹴らせるところまでで成功となっているのだ。

 

とはいっても、このままではジリ貧である。

ここまでの強みである守備をさらに強化できる方向を考えるべきではないだろうか。

今、守備のやり方に確信が持てないのは、メンバーが固定されていないことも要因としてある。

今後メンバーが固まってくれば、強度を高められる余地はある。その可能性を模索したいところだ。

 

2点目はアザール、アセンシオとベンゼマの前線の関係だ。

ブロックを作られると攻め手を失ってしまうのは、狭いスペースを打開できる関係がないから。ビニシウスの縦突破だけでは、彼がどれほど優秀でも難しい。

ベンゼマがせっかくサイドに出てきてくれるのだから、彼との関係を中心に、サイドバックやインテリオールと絡んで中に入っていくプレーがあれば、エストレーモの怖さは変わる。

 

第8節ウエスカ戦ではそうした形が垣間見えた。

アザールのゴラッソもあって、中央で時間を与えると面倒という印象も与えられている。

両者ともにサイドから中央を伺いつつ、大外のサイドバックも使う形となれば、左右のバランスも良くなり、守備が的を絞りづらくなる。

 

理想は、アセンシオもシュートがある状態になること。

本来はミドルレンジから狙えるプレーヤーなのだが、ここまではおとなしすぎる。

彼がパサーに徹して0ゴールなのは非常にまずい。右サイドからゴールが決まる形がないと認めているようなものだ。

良い時はシュートコースが見えるプレーヤーなので、チームプレーだけでなく自ら積極的にゴールを狙うべきだ。

 

エストレーモともシュートがあるとなれば、縦方向にスペースが生まれるし、サイドバックも生きる。ビニシウスやロドリゴとの違いもより際立つことになるだろう。

怖さのあるプレーで、攻撃を一段上へ引き上げてほしい。

 

最後に

先日のバレンシア戦、第6節カディス戦のように勿体ない落とし方があるのは確かで、昨シーズン終盤のような安定感は感じられない。

心配性なので不安なところが目についてしまうが、それでも希望はある。

 

(負傷してしまったものの)バルベルデや、メンディは確実にポジションを掴み世代交代を進めているし、彼らの登場によってプレーの強度を高められている。

昨シーズンほぼいなかったアザールやアセンシオがフィットして、守備でも計算が立つようになれば、今シーズンの終わりごろに良いチームとなっている可能性はあるのだ。

 

思えば、ジダンは昨シーズンも序盤は結果が出なかったが、最後には求められる結果を出している。シーズン後半へ向けての助走を、期待を持って見守っていきたい。