レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

CL決勝トーナメント1回戦第2戦 vマンチェスターシティ

力負け。逆転は夢と消えた。

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■マドリーの先発メンバー

GK:クルトワ

DF:カルバハル、バラン、ミリタン、メンディ

MF:カゼミロ;モドリッチ、クロース

FW:ロドリゴベンゼマアザール

 

61分:ロドリゴ→アセンシオ、83分:カルバハル→ルーカス・バスケスアザール→ヨビッチ、モドリッチバルベルデ

 

前線はアザールロドリゴが先発。

 

マンチェスターシティの先発メンバー

GK:エデルソン

DF:ウォーカー、フェルナンジーニョ、ラポルテ、カンセロ

MF:ロドリ;ギュンドアン、デブライネ

FW:スターリング、フォーデン、ジェズス

 

67分:フォーデン→ベルナルド・シウバ、81分:スターリング→シルバ、89分:ロドリ→オタメンディ

 

アグエロが離脱中で、前線を入れ替えている。

 

■過去の経験が生きず

この試合の最大のポイントは、シティの前線からのプレスに対して、マドリーが全く対抗できなかった点だ。

 

外に追いやるのではカルバハルとメンディに独力ではがされる可能性があることから、シティの守備は外を切ることを徹底。はまったと判断した時は、出させて取るような悠長なことは考えていないようで、中盤もマドリーのプレーヤーの背後でケアするのではなく、前に立ってコースを切るやり方。最終ラインでそのまま奪ってしまおうという意図が見られた。

 

マドリーはこれに対し何もできず。

クルトワと両センターバックでボールを動かすしかなく、いわゆる「ボールの出口」を見付けることが最後までできなかった。

9分にクルトワ、バランと責任逃れに近いパスでボールが動いて奪われ、スターリングに易々と蹴り込める状況を与えてしまい失点。シティがこれでいけると自信を深める一方、マドリーは盛り返して良い時間帯を作ったかさえ怪しい出来となった。

 

これに関し、残念なことは2点ある。

 

まずは、少なくとも後半には何らかの修正ができたのではないかという点だ。

マドリーにはこうしたプレスを受けて対策してきた経験がある。一時期のバルセロナドルトムントとの対戦では、いかにボールを運んで時間を作るかの試行錯誤であったことが思い起こされるだろう。

例えば、アンチェロッティサイドバックの後ろにインテリオールを動かすことで、彼らに安全にボールを持たせ、攻撃の展開をさせることに成功した。

また、ジダンは、最終ラインの展開力を生かして長いボールを多用し、頻繁にサイドチェンジすることで守備をずらすことをよくやってきた経過もある。

 

いずれも、前に詰めてくる相手の裏を取って攻める狙いがある。

そのためのボールをいかに蹴りやすくするかという点で、工夫してきたのだ。

シティに対してどこまでやれたかは別として、プレスをまともに受け止めるのではなく、こうした形で攻撃の展開を考えるべく、手を打つことができなかったのか。

 

時折モドリッチやクロースがかなり低い位置まで顔を出していたが、彼らのポジションはかなり前で、ベンゼマと並んでシティの最終ラインにプレスをかける役割を担っていた。

中断後はこの形が見られていたが、徐々に強度を維持できなくなっていた。また、リーガでも何度かやられているように、GKが良いボールを蹴れると裏に素通しとなる問題も解決はしておらず、エデルソンを積極的に関与させるシティに対し効果的ではなかった。

であれば、どこかの段階で、組み立てに多く関与させる判断がなされるべきだったのではないだろうか。

過去の経験があるプレーヤーもいるのに、それが生きなかったのはもったいない。

 

2点目は、リスク回避の意思統一がなかった点だ。

ハーフタイムに「シティが取りに来たら、リスクを負わなくてもいい」という程度の意思統一ができたのではないかと思うが、結局後半もさしたる変化はなく、バランはシティの寄せの強さを見誤って2失点のきっかけを作ることになった。

明らかに普段よりうまくいっていない組み立て、しかも早々に失点している状況を受けて、危なければ前に蹴りだすという判断を誰も浸透させられなかった。

 

マドリーはポゼッションに殉じるクラブではないし、今のチームもポゼッションがなければ攻められないチームではない。

にも拘わらず、最後までこの形から脱却できなかったというのは、プレーヤーも含め大一番の仕様にはなっていなかったということなのだろう。

わざわざセルヒオ・ラモスが帯同しても、いわば普段着のプレーに終始してしまったのはマドリーらしくない。

リーガでは安定していないのに、こういう時に理解不能な最大瞬間風速を記録できるのがマドリーなのに、淡々とやってしまったという印象だ。

 

これでは、先にリードを得ているシティの目論見を覆すことは望むべくもなかった。

 

ジダン

普段通りという点でいえば、ジダンもそうだった。

 

60分までロドリゴでその後アセンシオというのは予定された交代だろう。その後、2点目を許して2点が必要になっても、交代で手を打ったのは残り10分を切ってから。

 

負け方としても、万策尽きたという印象ではない。

普段通り試合に入り、通常とは違う強度のシティを前にしてもそれを変えなかった。

今のチームとして出来ることはこれくらいかとは思うが、一か八かのやり方もしなかった。

 

普段とは違う交代やシステムで序列を覆すと、その後の信頼関係に関わるというところもあるのだろう。

こうした試合でも淡々とやっていくのは、いかにもジダンらしい。

これまでのCLではそれで勝ち、今回は力負けした。そのことをジダンら現場の首脳陣がどう考えていくかは、今後に向けて興味深いところだ。

 

■バラン

2失点に直接絡んだバランは、仕方ない。

ここまで書いてきた通り、クルトワセンターバックにしわ寄せがいく形となってしまっていたのだから、彼ばかりを責めるのは酷だ。

特に1失点目は、前述の通りパスを受けた時点で非常に苦しかった。クリアするくらいしか選択肢はなかっただろう。

 

とはいえ、この試合の最終ラインでは、カルバハルと彼が一番経験があるプレーヤーである。彼がミリタンを引っ張ってあげなければならないはずの序列だ。

それを考えれば、明らかに苦しかった最終ラインで、このままでは無理があるとまず判断してコミュニケーションをしてほしかったし、プレー選択としても、自分が率先してリスクを避けるプレーを選んでほしかった。

 

試合後の責任を負うとのコメントも彼らしく、間違いなく優等生である。彼がチームの輪を乱すことなどまずないであろう。

その反面、経験をピッチで言葉にし、チームに還元するようなキャラクターではないのだ。セルヒオ・ラモスの相棒として落ち着いているバランが合っているように、バランの相棒には違った個性があった方が良いように思われる。

 

■最後に

これでマドリーの’19~’20シーズンは終了。短いオフに入ることになった。

CL敗退で終わってしまったものの、リーガ優勝は嬉しい。この安定感をベースに、来シーズンは上積みを期待したい。

 

今シーズンも、本ブログにお付き合いいただき、ありがとうございました。

8月末まではオフ。少しずつ出るであろう移籍の話などをフォローしていきたいと考えています。

シーズン総括もどこかで。

すぐに始まる新シーズンに向けて、またよろしくお願いします。