大変遅くなってしまった。
これほど悪い試合を今から振り返るのも辛い作業だが、要点は拾っておきたい。
今節のメニューは以下の通り。
■マドリーの先発メンバー
GK:クルトワ
DF:ナチョ、バラン、セルヒオ・ラモス、マルセロ
MF:クロース;モドリッチ、イスコ
46分:ルーカス・バスケス→アセンシオ、セルヒオ・ラモス→ミリタン、モドリッチ→カゼミロ、イスコ→バルベルデ、78分:クロース→ヨビッチ
代表戦明けということもあって、バスケス、マルセロ、イスコが先発、ローテーションをした形。
■カディスの先発メンバー
GK:レデスマ
MF:イェンセン、ホセ・マリ;サルビ・サンチェス、アレックス・フェルナンデス
FW:ネグレド、ロサーノ
46分:ロサーノ→マルバシッチ、76分:ホセ・マリ→ガリード、81分:ネグレド→ヒメネス、86分:アレックス・フェルナンデス→イスキエルド、イェンセン→アウグスト・フェルナンデス
昇格組のカディス。ネグレドがいる。アレックス・フェルナンデスはナチョと兄弟対決。
人数がいる≠層が厚い
マドリーは中盤より前に多くのプレーヤーを抱えている。
だが、ローテーションに耐えうるほどのレベルが揃っているわけではないことを、改めて思い知らされることになった。
特に右サイドは恐ろしいほどに何も生み出せなかった。
バスケスでは個人で打開することができないから、怖さはほとんどない。
しかも、右サイドバックがナチョなので、追い越してくれるサポートの速さも期待できないという条件である。
ナチョについては、カルバハルもオドリオソラもおらず選択肢がないのでやむを得ない起用ではあったが、その前が相手を引き付けられないバスケスでは、チャンスが生まれる希望が持てないのだ。
ナチョが大外で幅を取って相手を広げ、アセンシオがその内側で中を向いてプレーする形なら分担が見えてくる。
それなのに、アセンシオを使ったのは、マドリーが先制を許し、カディスが自信をつけて守りを徹底した後半からだった。
これではなかなか厳しい。
左サイドはビニシウスが一番外で、マルセロが内側を使う。これはマルセロの特性も生きるので、良い組み合わせ。
ただ、マルセロに攻撃で多くを担ってもらうことになるので、高い位置に残ってプレーしてもらう必要があり、守備への切り替えでリスクが大きい。
メンディは身体能力である程度カバーできるが、マルセロには要求が大き過ぎる。であれば、他のプレーヤーのカバーでスペースをケアする必要がある。
そうなった時に、中盤がカゼミロではなくイスコだと、計算が立たない。
このように、両サイドを見てみても、ベストの形との差や、やり方の違いが大きいことがわかる。
組み合わせの問題はあるにせよ、「層が厚い」という評価を現時点ですることはできない。
カディスが上回った強度
カディスとの力関係を考えれば、ボールを持つ試合になることは想定できる。
であれば、アタッキングサードに多くのプレーヤーがいる状態にはなるから、ボールを奪われたタイミングで切り替えができれば、狭い局面で奪い返せる可能性は高まることになる。
せめて守備で必要な運動量が確保されていれば、失点のリスクが下がることはもちろん、ショートカウンターの可能性を高めることもできる。
ところが、今節のマドリーにはそうした強度もなかった。
控え組のプレーヤーにチャンスだという勢いはなかったし、持ち場は維持するがそれ以上のことはできないといった雰囲気。
カディスの方がモチベーション高く、やれることをやるという意思があった。
勝ち点3に値したのはカディスで、マドリーは単純に緩かった。
しかも、それを数人による打開で覆す往時のような理不尽な力はないのだから、この結果は当然であると言うしかない。
しぶとく勝つしかない
この数節、ジダンはいくつかのやり方を試してきた。
最終的な結果はまだ先とはいえ、現時点では、「しぶとく1点勝負をものにする」というやり方しか見えてきていない。
昨シーズン終盤から続く心理的に厳しい試合の連続を変えられるやり方は、今のところ発見されていないのだ。
逆に言えば、昨シーズン終盤と同様の内容の試合で、粘って勝ち点を積んでいくのが、今のチームのスタイルということが分かったのは、一つの成果だ。
1点勝負の試合ばかりでどこまでチームが持つか不安なのは確かだが、「あり得ない可能性」を追って資源を使うのは浪費でしかない。
実現可能な範囲でより良いプレーができるチームを作っていくしかないのだから、その中で良い選択をしていくべきだ。
3点くらい楽に取れる可能性がある組み合わせを探して目指す道は可能性がない、ということが分かっただけでも良かったと捉えたい。