レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

うまくいかなくても(なぜか)勝つマドリー

ヨーロッパを目指せるラ・レアル、残留争いのマジョルカと、相手の置かれている状況は全く違う2試合だったが、マドリーは再開直後の2試合のようなプレーができなかった。

 

平日に時間が取れなかったので、これらの試合についてまとめる形で少し書いておく。

 

■守備に問題 

一番大きかったのは、守備の考え方が整理されなかった点だ。

 

ラ・レアルはGKから良いボールが供給できる。これまで通りに前線にインテリオールが加わって最終ラインにプレッシャーをかけても、GKに下げて守備を飛び越えられてしまうリスクが付きまとった。

だから、そこまでは追わずに、選択肢を制限しつつディフェンダーからボールを出させ、その先で回収するくらいの寄せ方に統一すべきだった。

それをあくまで普段通りにいったことで、思うようなボール回収とそこからの攻撃が再現できないままとなった。

 

一方マジョルカは、久保がいる右サイドで前進して左のラゴ・ジュニオールに展開するシンプルな形。連動が少ないのでそうせざるを得ないのだろう。マドリーとしては中盤で引っ掛けられそうではあった。

ところが、カゼミロがいない中盤の守備がややバランスを欠いた。期待したほどは攻撃に繋げられる守備とならず、互角に組み合うような格好となって、順位から想像されるほど楽な試合展開とはならなかった。

 

■メンバーの違い

考慮すべきなのは、メンバーが違った点だ。

ラ・レアル戦ではハメスが久しぶりの出場、マジョルカ戦ではカゼミロが出場停止と、中盤の組み合わせを変えなければならなかった。

 

ハメスは最低限求められる守備強度は保っていたが、組織に入れるかどうかはまた別の問題だ。

個々の場面でどの程度守備参加してくれるか、どう動くかがつかめないと、周囲もオートマティックには動けない。結果、突出してしまったり下がりすぎてしまったりといった不具合も生まれやすくなり、組織として思うようなプレーができない。

 

カゼミロがいなかったマジョルカ戦では4-2-3-1とし、バルベルデモドリッチが低い位置をカバーしていた。

彼らの特徴に問題があるわけではないが、広範囲を動き回ってカバーするカゼミロがいてその上でインテリオールが守備の役割を担う形とは異なる。

二人で中盤の底を分け合い攻守を取り仕切るのはちょっと慣れていないようで、取りに行くか下がるかといった状況判断がスムーズではないように見受けられた。

 

攻撃面では個人のひらめきが局面を打開することがあるが、守備は組織が前提。

出場停止や負傷といった不確定要素は受け入れるしかないものの、中盤の組織に組み込んで計算できる人材が少ないことが改めて浮き彫りとなった。

 

■ローテーション

もう一つ触れておきたいのは、ジダンのローテーションの考え方。

ボールを持って積極的に攻められるラ・レアルとの試合で守備に不安があるハメスを使った点から、相手に合わせる観点はほとんどなく、自分たちの都合を優先してローテーションしているものと考えられる。

 

日程に対処していかなければならないことを考えた時、このジダンのやり方は妥当と思われる。

ほぼ使っていないハメスをこのタイミングで起用したこと自体、ジダンのこれまでのやり方とは異なる。少数精鋭では乗り切れないと判断し、起用可能なら使ってやりくりする方針としたのだろう。

 

その一方で、そのやり方を取る以上、これらの試合のようにうまく機能しない状況が現れることは受け入れざるを得ない。

際どい首位争いが続くリーガで、どの程度まで不安定さを許容しローテーションしていくかは非常に難しい問題だ。コンディションに留意して勝ち点1では意味がない。とにかく勝ち点を3つ積み上げていくしかないのだ。

 

■マドリーらしさ

その点において、マドリーはこの2試合うまくやった。

状況的には勝ち点を落としていてもおかしくはなかった。良くない時間が長い試合でも、最後のところをやらせず、先行して勝ち切る要所を掴んだ試合運びを徹底してできている。

 

特筆すべきはビニシウス。

彼により、普通ならチャンスにならない場面からゴールが生まれていて、得点に直結するプレーを増やしていると言える。

期待を込めてまだまだやれると言いたいが、現状でも中断前より目に見えて進歩している。チームが困っている時に打開するきっかけを作れるプレーヤーになりつつあって頼もしい。

アザールも、自身のゴールこそないもののアシストを記録しており、求められる仕事はできている。彼ら両翼が生きることで、相手に先んじることに成功しているといっても過言ではない。

 

組織だった守備が十分に機能せずとも、ちょっとしたきっかけからゴールを奪ってしまう。

流れに関係なく点を取って勝てているから、相手にしてみれば「なぜかわからないままにやられている」といった印象だろう。

相手が疲れるなどして問題が出てきたところを突いて追加点も取れており、今のところ結果を出していくという点においては文句がつけられない。

この、つかみどころがない感じが、いかにもマドリーらしい。

 

■最後に

「取りこぼしが出たらやり方を再考する」というのは簡単だ。

しかし今その余裕はない。持ち時間なしで指すしかない将棋のように、ぎりぎりの制限時間の中で最善手を選び、勝ち筋を見つけなければならない。

 

そして、今のところ失敗はしていない。そのことこそが重要だ。

あと7試合、これを続けていけるかどうか。ジダンの選択に注目したい。