折り返し地点も近づいてきたリーガは第18節。サンチャゴ・ベルナベウにサラゴサを迎えての一戦。
新年最初のリーガにどう臨むのか。
スターティングメンバーは以下の通り。
GK:カシージャス
ペペが大事を取って招集されず、代わってエインセがセンターバックに入った。
メッツェルダーも怪我で招集されておらず、センターバックの控えがいない。
対するサラゴサもアイマールが怪我、ダレッサンドロも監督と衝突し招集外が続き、中盤の柱がない状況。
とはいえ最終ラインにはアジャラが入っており、ディエゴ・ミリートとオリベイラの2トップも怖い。
また、セラデス、ディオゴなど、元マドリーの選手が先発。
■サラゴサの攻守が光る前半
現在のマドリーの中盤で誰に一番ボールを持たせたいかというと、もちろんスナイデルだが、この試合ではサラゴサの中盤がスナイデルに仕事をさせなかった。
前半から中盤の4人、セラデス、リュクサン、サパテル、セルヒオ・ガルシアがうまくパスコースを制限していたし、それにともなって、ラインも良くコントロールされていた印象。
スナイデルがダメなら、バティスタと絡んでロビーニョを使いたいところだが、ほとんどスペースが与えられなかった。
16分にエインセが負傷交代したことも厳しい状況に拍車をかけた。
交代出場したのはトーレスだが、セルヒオ・ラモスがセンターバックになり、トーレスが右サイドバックに入った。このことで右サイドの攻撃の勢いは失われてしまった。
トーレスはあがってフォローには入るが、そこからどうするか、ということに関するアイデアがないようだったし、周囲もそれをわかった上で対処せざるをえなかった印象を受けた。
そうこうしているうちに時間がかかって人数をかけられるとトーレスのサイド攻撃では厳しい。
前半終了時のボール支配率はマドリーの56%だったが、攻めた印象はほとんどなかった。後ろでボールを持たされることが多く、また低い位置でボールを失いがちだったということだろう。
24分の場面も一度ボールを奪った後にプレッシャーをかけられた。サパテルのミリートへのパスが通りカシージャスと一対一になってしまう。
カシージャスがファインセーブして事なきを得るが、この場面のようにディフェンシブサードでの不安定なプレーが多く、危険な場面が何度も発生していた。
前にボールが運べなければ支配率は意味をなさない。
実際シュート数ではサラゴサが13本(枠内5本)と、マドリーの7本(枠内1本)を大きく上回り、どちらが効率がいいかは明らかだった。
30分にバティスタが見せたような突破を彼に何度も期待しなければならないような状況では、得点するのは大変だし、アウェイの戦術をサラゴサにきっちりこなされている、といった前半だった。
■一つのチャンスをものにする能力と運
後半開始時に選手交代はなかったが、グティが早速アップ。ほとんどプレーさせてもらっていないスナイデルとの交代は54分だった。
後半もサラゴサに試合の主導権を握られる。
59分にはセラデスのフリーキックをディオゴが合わせたが、カシージャスがファインセーブで阻止。(セーブした後のボールを確保する速さも素晴らしかった。)
また、60分にはグティが相手にパスを出してしまうという凡ミスから一気に攻め込まれ、オリベイラのシュートがポストと、どれで失点してもおかしくないような場面が続く。
それでも先制できてしまうのが今のマドリー。
65分の先制点の場面は、グティの周囲にサラゴサの寄せはなく、右サイドでグティからのパスを受けたロビーニョにもスペースがあった、この試合ほとんどなかったチャンスからだった。
サイドでボールを受けるロビーニョには、どこのチームも1対2がディフェンスの約束になっているこの頃だが、この場面ではスペースがあり、スピードに乗っての1対1だった。
サラゴサの中盤の選手がフォローに走るも間に合わず、マークが外れたニステルに完璧なクロスが合ってゴール。
このあたりのニステルとラウールのポジションの取り方はさすがといった感じだった。
この一点で雰囲気が変わるかとも思ったが、全体的にサラゴサのペースなのは変わらない。チャンスはサラゴサの方が多く、どれかが同点弾となっていれば試合の行方はわからない。
点を取らなければならないサラゴサが、前がかりになってきたところをカウンターという定石通りの形でマドリーが2点目を決めるまでは、リードしている余裕は全くなかった。
2点目は76分。ロビーニョが足を出してカットした相手のボールをバティスタが拾い、左に広々とあったスペースにパス。ロビーニョがゴールへの直線的なドリブルで持ち込み、シュート。
78分にバティスタをガゴに替える。ディアラ離脱時のための調整出場か、ガゴが中盤の底に配置された。
2点差で残り10分あまりでは、追いつかれることはないだろうと思っていたが、それでもピンチは何度かあった。最後はこの試合を象徴するかのようにがガビのフリーキックをカシージャスがセーブし、こぼれ球に反応したミリートのシュートも止めて終了。
打てども打てどもカシージャスに立ちはだかられたサラゴサと、ひとつのチャンスを得点に繋げたマドリーの、いわゆる「決定力」と運が対照的だった。
■スナイデルの課題
スナイデルが仕事をできない状態にされると中盤で苦しくなる。
ジダンのようにどんなマークがきてもボールを納められるほどの能力はスナイデルにはないので、他の方法を考えなけえればならないだろう。
個人的にはもっと走りまわってスペースを見つけてボールを受けてほしいと思う。中盤を3人とした時点でそもそも運動量が求められているのだし、体格に劣る彼が厳しいマークの中で何とかするにはそれが一番いいように思える。
■センターバックが相次いで負傷
また、試合後にエインセの怪我が一ヶ月半から二か月ほどのものであることが判明した。カンナバーロも負傷しながらプレイしたため、検査を受ける。
2人とも離脱ということになると、センターバックにはペペとメッツェルダーしかいなくなる。ペペはすぐにも復帰可能だが、メッツェルダーの怪我もまだ回復途上で、最終ラインのやりくりが一気に大変になってきた。
最悪の場合はセルヒオ・ラモスをセンターバックとして凌ぐことになるだろうが、この試合でも見られたように、トーレスではサイドの攻撃に鋭さを欠くことになるので、できれば避けたい。
次節のレバンテ戦に限ればセルヒオ・ラモスも累積警告で出場停止となっており、負傷者の状態が思わしくなければ、トーレスをセンターバックに、サイドバックをサルガドにすることになるだろう。
カンナバーロの検査結果が問題なければいいが・・・