今シーズン、アンダルシアでのアウェイゲーム3戦(セビージャ、アルメリア、ベティス)に全敗という相性の悪い土地で臨む第26節。
3連敗を阻止し、CLローマ戦に弾みを付けたいが、果たして。
■マドリーの先発メンバー
GK:カシージャス、
FW:ラウール、バティスタ
表記上は2トップだが、バティスタは頻繁に、しかもかなり低い位置まで降りてくるし、それに合わせてドレンテやロッベンが最前線で働こうという形に移行するので、4-3-3とも言える流動的形。ディアラとガゴも適宜中盤の前でプレーする。
ペペとロビーニョはベンチからのスタートとなった。
■レクレアティーボの先発メンバー
GK:ソレンティーノ
DF:ボウソン、ベト、マルティン・カセレス、ポリ
FW:カムーニャス、シナマ
シナマを活かしたいレクレアティーボ。マルカではカムーニャスがシナマの下に入った4-4-1-1という表記。
■先制されるも・・・幸運の同点
序盤からレクレアティーボが、右サイドを積極的に使う。
シナマがサイドで起点になることもあり、トーレスが守備に忙殺されることに。トーレスはスピードに難があり縦に攻められるのが怖い。
ロッベンやドレンテが下がってきてくれれば助かるが、常に戻ってくることはなく、ガゴが中からカバーにくる。そうなるとギャップができやすいので危険。
先週よりは前からボールを追っているので、その点は良いが、攻め込まれると怖い。
15分、左サイドからのカルロス・マルティンのフリーキックがファーに入ったマルティン・カセレスに合って先制を許す。前でダミーとなったレクレアティーボの選手に意識が集まってしまったような印象。
先制される前から、マドリーは攻め手を欠いていた。ロッベンは周りと調子が合わず、遅い攻めでは退かれて狭いのでいつものように厳しい。そんな中での失点は精神的にきつい。
相手にリードを許し、しっかりリトリートされた時の対応ができないのは今季の典型的な苦戦のパターンだけに、心配。
ロッベンがボールを持ちすぎている印象が前半半ばごろからあった。1対3の状態で突進されてもフォローのしようがないし、あっさり取られるのが見ていてすぐにわかってしまう。
彼一人だけでプレーしているような状況を作ってしまう他の選手の動きの問題もあるだろうが、突っかけては取られ、突っかけては取られを繰り返されると流れが悪くなるのは当然。
27分、マドリー右サイドにポジションを移していたドレンテからの早めのクロスをラウールがヘディングで決め同点。
リプレイを見る限り明らかにオフサイドだったが、取られずにプレーオンだった。先週なかった運が今節はあった、という印象。
グティもスナイデルもいない、というより、ロッベンとドレンテがいるマドリーの攻撃は当然サイドからのものが多くなるが、上記のとおりロッベンは猪突猛進、運良く二人のどちらかがクロスを上げられる状態になっても、中の人数が足りないといった状況も何回かあった。
同点とはいえ、レクレアティーボのペースと言っていい前半。
前線の守備の運動が少し戻ってきた印象なのが救い。
■荒れた後半 控えのロビーニョがチームを救う
後半開始時点での交代は両チームともなし。
52分、エインセとベトが交錯、ベトの行為が暴力行為とみなされ退場。マドリーは一人多くなった。
こうなると前半に追いついておいたのが生きてくる。どこで仕掛けて勝ちをもぎ取るか、に集中できる展開。
と思っていたら、56分、セルヒオ・ラモスがシナマとヘディングで競り合った際に肘が出たとして2枚目のイエローで退場。10対10の試合となってしまった。
ただ、人数が少なくなって得をしたのはマドリーだっただろう。セルヒオ・ラモスの退場は勿論想定外だっただろうが、疲れてくる後半に人数が減ってスペースができやすくなってくれば、マドリーの選手の技術がモノをいう。
58分、ドレンテに替えてペペ。同点なので、まずは4バックを維持する交代。トーレスが右サイドバックに、エインセが左サイドバックに入った。
63分、レクレアティーボも退場者の対応。アイトールに替えて。キケ・アルバレス。
69分、そのキケ・アルバレスがロッベンに足の裏を向けてタックル。危険なプレーで退場。
足が少し浮いていたから横からのタックルの力が流れたようだったが、アーセナルのエドゥアルドの骨折の場面に近いような角度で当たっていて、怖かった。
10対9となったマドリーは73分、カンナバーロを下げてロビーニョを投入。3バックとし、前線に人数を戻した。
74分、ガゴからディアラへのパスがカットされ、こぼれたボールにロビーニョが走り込んできてそのままシュート。これが決まって勝ち越し。
78分レクレアティーボはポリに替えてエルセン・マルティン、マドリーは負傷したロッベンに替えてイグアイン。
この時間帯から試合が本格的に荒れ始め、主審もカードでしかコントロールできなくなってしまった。10対9という状況もあって、どたばたとした展開に。
90分ロビーニョとガゴのパス交換。ガゴは狭いところを見事に通し、ロビーニョがGKと1対1。ループで決めて3-1とし、試合の行方を決めた。
92分、カルロス・マルティンのFKが決まって3-2となるも、このまま終了。連敗を止め、首位をキープした。
マドリーには運があった。ラウールのゴールが認められたのもそうだし、ロビーニョが入って早々に得点したのも大きい。
さらに言えば同時開催されていたアトレティコとバルサの試合でバルサが敗れたことも、今節のうんと言ってもいいのではないだろうか。
連敗中、悪い方へ悪い方へと行きがちな流れを断ち切れた。
ローマ戦でもいい方向に向かえば、勝ち上がることは十分に可能だ。
今節、ロッベンは良くなかった。入ってすぐにロビーニョが活躍したことと比較するとかわいそうだが、それにしてもちょっと出来が良くない。
残り時間が少ない場面で、2人を相手にボールをキープして時間を稼ぐロビーニョのプレーをロッベンができるのか、と思ってしまう。
技術的には遜色ないが、怪我で出遅れているという焦りもあるだろうし、余裕を持ってのプレー、連携という点でロビーニョの方が信頼できる。
何よりゴールに向かってくれるプレーはチームにとって貴重なものだ。
ロビーニョも悪い時は突破できずにボールを取られることを繰り返すが、今シーズンはその悪い試合が少なくなってきている。
仮にロビーニョとロッベン2人とも起用可能だとして、選択しなければならないとしたら、今はロビーニョが当然の選択だろう。
ロッベンはキケ・アルバレスのタックルで負傷し、ローマ戦の招集が怪しい。
復帰したならば、プレーを改善しないと、今節の出来ではロビーニョに取って代わることはできないだろ
う。
■ミッドウィークの決戦に挑む
現地時間の水曜日にいよいよCL第2戦。1-2とアウェイゴールを挙げているが、「1点ならとれるだろう」という雰囲気は怖い。コパデルレイもそういう雰囲気で試合に入って、結果負けてしまっている。
ホームで攻守に緊張感を持ってプレーしてほしい。