消化試合とはいえ、デラレが初ゴールを決めた。
中盤の中央でのプレーの引き出しが多く、ゴールも決められる能力は、マドリーの中盤に有用だと言える。
(オフィシャルサイトにインタビューが出ていて、未だ正式決定していない買い戻しが既成事実化していると言えるだろう)
ただ、既に買い戻しオプションの行使が発表されているハビ・ガルシアの立つ瀬がない。
クラブがどういう意図で先にハビ・ガルシアのオプション行使を決めたのかはわからないが、代表でプレーするデラレの方が勢いがあり、経験を積んで帰ってくることは明らか。
期限付き移籍の噂が報道されているのはそうした背景があってのこと。
ただ、それでも8月末に25人の登録枠に入れたら、それは期待の表れとみていいはず。
今のところ、出場機会がないといった理由での本人からの移籍志願は聞こえてこないので、それは救い。最後までポジション争いに絡んでほしいと思う。
■ロナウド問題の整理
ほとんどの方が気づいていたであろうことではあったが、ロナウド問題はユーロが始まっても解決しなかった。多分ユーロが終わってもすんなり決まらないだろう。
(彼のようなレベルの選手の移籍問題はえてして長期化するものだけれど)
ロナウド加入の場合ロビーニョは放出ということも既成事実と化している。
熱狂的さんのところに「ロナウド獲得ならばロビーニョ放出」という記事が出たので、分かりやすいこちらの記事を参照していただきたいが、ロッベンでなくロビーニョが放出の対象になっている理由はすぐに理解ができるものではない。
書かれている理由は以下の2つ。
理由1.シーズン終盤のプレーへの不満
これが原因だと言うなら、シーズン序盤を棒に振ったロッベンはどうなる?ほとんど貢献していない前半戦のロッベンを考えると、この理由は恣意的だろう。
理由2.年俸の改定要求
こちらは少し理解できる面がある。素晴らしい活躍を見せたシーズンではあったが、理由1で書いたように、おおまかに言って前半はロビーニョ、後半はロッベンがいいプレーを見せたという事実がある。
その状態では、年俸上乗せに簡単に踏み切れないということは想像できる。
また記事に書かれてはいないが、プレー時間の問題はシーズン中から出ては消え、消えては出ていたことだ。
問題を表面化させなかったシュスターは、ロビーニョを含めたチーム全体をよくコントロールしていたといえる。ロビーニョ個人に関しては、シーズン序盤の「遅刻騒動」の幕引きで信頼を得て、その後もロッベンとのローテーションを納得させていたようだ。
そもそも1つのポジションを2人で争うという状態自体は健全なものだから、「出場したかったらパフォーマンスを上げてくれ」という要求も全く間違っていない。
シーズン中の報道を信じるならば、「いつ不満が噴き出すか知れない状態」であったと想像できるということでもある。
ただ、仮にこの移籍が実現したとして、理由1も2もロナウドなら起こり得ない問題なのかというと決してそんなことはない。結局のところ程度の問題なのだ。ロビーニョがそこまで良くなく、ロナウドがそこまで良いのか、と言われたら答えは「ノー」だし、どんな選手でも扱い方を誤れば問題になるのは当然。
ロビーニョの現状がどんなものなのかはわからないが、仮に年俸等に不満があるならば、同じくマンチェスターでの契約問題があるロナウドと入れ替えるのも、解決方法の一つではあると思う。
ロビーニョとロナウドは新天地で新たな契約下、心機一転頑張ればいいし、マドリーにも、淀んでいきかねない水を入れ替えるというメリットはあるだろう。
■仮定してみる
さて、現時点では何も動いていないこのロナウド問題だけれど、マドリーと契約に至った場合のことについて少し考えてみたい。
(決まってから考えればいいじゃないか、と思われる方もいらっしゃるでしょうが、当たらないながらも予想をしてみようということです)
ロナウド加入、ロビーニョ放出というこれまで書いたとおりの状況を仮定してみたい。
1.ポジション
ロッベンとのポジション争いは継続することになる。4-1-2-3という布陣を今後も維持する場合、将来的にはラウールの位置も担うようになるべきだろう。
ポジションについての大きな問題は、サイドに固定されないことで活きたロナウドを、マドリーで再現できるのかという点。
マンチェスターU.ではルーニー、テベスとポジションチェンジをしていたので、中央でのプレー機会は十分にあった。それによって、チャンスメイクだけでなく、自ら得点することも非常に多くなった。
ところが、マドリーではニステルが中央にいる。
ロッベンとのポジション交換は可能だろうが、中央も含めた交換ができるのか、というと、簡単ではないと思われる。
サイドに限定された場合、ロナウドの魅力は削がれてしまう。
少なくとも昨シーズン同様の数字を残すことはできないと考えた方が良い。
中央とも柔軟にポジション交換をするために、ラウールを置くという発想もあるが、ニステルを外す勇気が求められる。
2.右サイド問題
マドリーの右サイドはセルヒオ・ラモスに懸っていた状態だった昨季。ロナウド加入によってそれが解決するかというと、そうでもない。
1で見たように、右に固定させないことがカギならば、右サイドにやっぱり人がいない、ということは十分起こり得る事態だ。
ロナウドは右サイドにおけるセルヒオ・ラモス依存の特効薬ではない。
3.ロナウドのためのシステム作りは可能か
マンチェスターU.ではロナウド(とルーニー、テベス)が活きるシステムの構築が成功した。
マドリーでそれがすぐに実現する可能性は低い。
1も2も「マドリーでロナウドを活かすシステムは可能か」という問題は共通している。
少なくともあと数シーズンはニステル、ラウールの起用を前提とした形が続くだろうし、そうなればロナウドを第一に考えた形はすぐには出てこない。
その状態で、ロナウドに素晴らしい(目に見える)活躍を求めるのは酷だろう。
彼を主体としたチーム作りは長期的目標としてあるべきだが、短期的にはロナウドに大活躍してもらうというよりは、今最もマークされている彼をおとりとして周りが活きる、無形の活躍をしてもらう方が現実的だと思う。
まったく新しい形をシュスターが編み出し、成功する可能性はなくはない。それはロナウド加入が実現した場合のプレシーズンから注目してみたい重要なポイントになる。
■いずれにしても・・・
ユーロは続くが、ロナウドの2008年のユーロは今朝幕を閉じたわけで、そろそろはっきりさせる時期が来たんじゃないだろうか。
移籍するにしても、残留するにしても、長引かせることは、誰にとってもメリットがない。