ビジャレアルはCL出場権獲得のためには負けられず、モチベーションが高い。マドリーとの精神的な差はいかに。
■マドリーの先発メンバー
GK:カシージャス
MF:ラス、ハビ・ガルシア;ロッベン、ラウール、ファン・デル・ファールト
FW:フンテラール
46分:フンテラール→イグアイン、74分:トーレス→ドレンテ、ファン・デル・ファールト→パレホ
ガゴの代役はハビ・ガルシア。ファンデ・ラモスはパレホを最初から使うつもりはないようだ。守備的な選手を2枚並べるいつも通りの形。
同じく出場停止のマルセロの位置にはファン・デル・ファールト。
■ビジャレアルの先発メンバー
GK:ディエゴ・ロペス
MF:エグレン;カニ、イバガサ、ピレス
FW:ジョレンテ、ロッシ
51分:イバガサ→ブルーノ、72分:ジョレンテ→ニハト、83分:ピレス→マティアス・フェルナンデス
セナ、カソルラを負傷で欠いているが、それでも充実しているといっていい陣容。
■いつも通りと言うほかなし・・・
ハビ・ガルシアは走り回るラスの相方としてどうしたらいいか、よくわからないままプレーしていると思う。
彼の長所は何かと言うと、やはりセンターバックでも通用する高さと当たりの強さだと思うのだけれど、それを活かす術がまだない。
ボールを持ってもパス出しが遅れて、助けに下がって来たラウールに渡すしかない場面もあって、今のままでは攻守ともに厳しい。
フンテラールは1トップとして、楔を受けたり、サイドに流れたりすることを相変わらずしない。ボールを受けてファールをもらったこともあったが、回数が少なすぎる。中盤が前を向けるよう、自分が基点になることをしてくれないと、自分が一番得意なゴール前でのシーンが少なくなってしまう。
とにかく、できる仕事を増やしてほしい。
ロッベンとファン・デル・ファールトは、いつもよりは守備に参加していた印象だが、攻撃面での見どころはあまり作れなかった。
特にロッベンは、パスが少なくボールロストが多いいつもの悪い癖が出てしまい、リズムが悪かった。
今のマドリーでは攻撃が脅威でなく、そのために相手が余裕をもって対応でき、また攻撃に転じているように見える。怖がっていないから、思い切った攻撃ができる、というマドリーにとっての悪循環。
15分のピレスの得点も、悪い取られ方から一気に展開されたもの。ゴール前でマドリーの選手が明らかに足りないという状況を作られての失点。
本当に悪い意味でいつも通り。何もできない展開が3週間続いている。
■至極当然
後半開始の時点で、フンテラールに替えてイグアイン。こんな展開では何もできないフンテラールが下げられるのは仕方ない。
そして、最初の攻撃。今日はバランスを取りながら要所で良い攻撃参加を見せていたトーレスが柔らかいクロス。イグアインが折り返し、ファン・デル・ファールトが押し込んで同点。
セルヒオ・ラモスのように一気に上がることはないが、様子を見ていい位置取りをするトーレスの攻撃参加とクロスが報われた。
一回のチャンスを得点に結びつけたマドリー。が、それ以降が続かない。
特に中盤の対決は前半同様厳しい。ラスが運動量を活かして頑張るが、周囲がついてこない。イバガサ、ピレス、カニの3人を中心に、良いようにボールを回される。
チームとしての成熟の度合いの差ははっきりしていた。
62分にカニに勝ち越し点を許した後、ドレンテとパレホを投入。
ドレンテは久々にサイドバック。とは言ってもほとんど2バックの形だったけれど。以前よりは少し余裕をもってプレーできているように見えた。
パレホはもう少し時間をかけて見たい。
88分、セルヒオ・ラモスのシュートのこぼれ球をイグアインが押し込んで同点。完全なオフサイドを見逃してもらってのゴールで、CL出場を争うビジャレアルには不運だなあと思っていたら、終了間際、カシージャスがコーナーをキャッチミスし、カプデビラに決められて2-3。
このまま試合終了。優れたプレーを見せ、勝つべきチームが勝った、という印象。
そして、バルセロナの優勝が決まった。
■おめでとう、バルセロナ
まずはバルセロナに祝福を。素晴らしいシーズンを送った、優勝にふさわしいチームだった。ただ、来シーズンは逆の立場になっていられるように願う。
さて、これで本当にシーズンが終わったマドリー。
数字上は可能性が残っていたので、いつもの形を崩さず行くという意図があったかもしれないが、残りの2試合を同じように浪費する必要はないだろう。
特に、ガゴ・ラスでなければ(少なくとも今のところは)機能しない守備的な選手を並べる中盤の組み合わせについては、組み替えていいのではないだろうか。
長い時間プレーさせて見てほしいパレホもいるし、ファン・デル・ファールトをここで試してもいい。ピボーテでグティのようにやらせてみてもいいと思う(彼の場合は、このポジションでもだめなら本当に厳しい。最後のチャンスかもしれない)。
あとは、今日なかなかの出来だったトーレスを継続してみる、怪我もなく、ほとんど休んでいないラウールを休ませて他の選手にする、などだけれど。
とにかく、今日のままでは”何となく”シーズンが終わってしまいそうだ。モチベーションの維持はとても難しいだろうから、だったらせめて可能性を見出す努力を見せてほしいと思う。