ベルナベウでのアヤックス戦。第1節のアヤックスはリヨンと引き分けている。苦手、とはもう言わなくてもいいのかもしれないが、見ている側としては良い印象をまだ持ちづらいリヨンとの対戦を控え、勝っておきたい試合。
■マドリーの先発メンバー
GK:カシージャス
FW:ベンゼマ
75分:ベンゼマ→イグアイン、カカ→ディマリア、84分:エジル→アルティントップ
バランがCLでも先発。マルセロを出場停止で欠く左サイドにはアルベロアが入った。中盤ではカカとエジルを併用。
■アヤックスの先発メンバー
GK:フェルメール
DF:ファン・デル・ヴィール、オルダーワイレルト、フェルトンゲン、アニタ
FW:スレイマニ、シグトルソン、ボーリフテル
51分:ヤンセン→エノオ、71分スレイマニ→エビシリオ、ボーリフテル→トゥラニ・セレーロ
4-1-4-1に近いかと思ったがオランダらしく4-3-3表記としておく。若くて良い選手がたくさんいる。いずれビッグクラブで見られる選手だろう。
■ボールがない方が
立ち上がりはアヤックスが頑張ってペースをつかんだ。直前のラージョ戦でもそうだったが、マドリーは試合の入り方がおとなしい。
様子見にしても、序盤はもう少しボールを大事にして、リスクを減らしていったほうが良い。最終ラインとピボーテで落ち着かせることはできるはずだ。
ラージョ戦は逆転したし、この試合では失点はなかったが、序盤の失敗を引きずる試合はよくあるもの。最初の15分で取り返しのつかないことにならないようにしなければならない。
さて、アヤックスは序盤の攻勢の後はあまりつっかけてこなくなった。また、下がるにしても、シグトルソンや、ヤンセン、エリクセンあたりがシャビ・アロンソのパスコースを限定しておくべきだっただろう。
自由だったシャビ・アロンソは前線の4人に効果的にパスを供給し続けることができた。
前線の3-1の4人は、おおよそ元のポジションはあるが、攻撃時は自由なポジションチェンジをしていた。
この試合ではカカがまずボールを受けるために動き、それに合わせるような形がうまくできていたように思う。また、縦に速くなりがちだった最近に比べ、エジルが右にいることでサイドでもためができていた。
シャヒンやカカとエジルの併用の効果はこういうところにあるだろう。
マドリーはアヤックスが出てきたところをきれいにカウンターで先制。セルヒオ・ラモスがうまく縦にパスを出せたところから、後は前が空けば仕事ができる選手たちが良い仕事をしてくれた。
これほど速い正確な攻撃を見せられたら、アヤックスはなかなか出づらくなってしまう。
そして、守備が中途半端だったアヤックスは、カカやエジルに良い位置でのプレーを許し、カカが2点目、そして3点目のアシストを記録した。
マドリーの攻撃は、バイタルエリアで良い形でボールを持つことに苦労して、アタッキングサードでの出来が悪くなっているが、シャビ・アロンソが供給したボールをこの位置で持つことができれば、という選手の技術の質の高さを示した。
この試合ではボールの支配率が低めで、ボールを手放すことに”成功”したため、カウンターの脅威も見せつつ、という今のチームにとって理想的な流れがあった。
■バックアッパーは大事
マルセロの代わりにアルベロアだったため、攻撃の変化の代わりにサイドの守備はある程度安定。前線の選手がいつも戻ってくることは期待できないので、アルベロアは上手く使っていきたい。
最終ラインではバランが使えることが見えてきたのも大きい。無難に役割をこなしているし、足元の技術も心配ない。しなやかな強さを見せてくれていると思う。
ディフェンダーとしての経験はこれから試合で積んでいくしかないので、とにかく使ってもらいたい。ペペの精神的な不安定さ、カルバーリョの年齢を考えれば、彼のような選手は大事にしたいところ。
アヤックスは後半、エノオを使って守備を強化。エノオは中盤に守備の運動量をもたらしたが、チームとしての攻撃はいまひとつ。マドリーの出鼻を挫けなかったのが全てだった。
マルセロのサイド、という狙い目もなく、4-3-3のサイドの強みを生かせなかった。
マドリーは3点のリードを保ったまま、アルティントップをデビューさせる余裕を持って試合を終えた。
■技術を生かせ
上述の通り、活躍したカカを含め、技量の高さは素晴らしい。後はそれを生かす術をチームとして見つけることが必要。
縦へ縦への選手が多いとカウンターの威力は増すかもしれないが、相手がボールを放棄すると苦しい。そのあたりのプランがやはり課題。
エジルやシャヒン、カカの併用がひとつの答えになるかもしれない。
週末のリーガはエスパニョールとアウェイで対戦。