レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

CL決勝トーナメント1回戦第2戦 vマンチェスターU.

第1戦は1-1。コパと同じスコアで追いかける立場のマドリー。

■マドリーの先発メンバー

GK:ディエゴ・ロペス

DF:アルベロア、バラン、セルヒオ・ラモス、コエントラン

MF:ケディラシャビ・アロンソ;ディマリア、エジルロナウド

FW:イグアイン

44分:ディマリア→カカ、59分:アルベロアモドリッチ、71分:エジル→ペペ

マルカの予想通りの11人。好調のバランが先発した。ペペに関してはカードを気にしたということもあるかもしれない。

■ユナイテッドの先発メンバー

GK:デヘア

DF:ラファエウファーディナンド、ビディッチ、エブラ

MF:キャリッククレバリーギグスウェルベック、ナニ

FW:ファン・ペルシ

73分:クレバリールーニー、81分:ウェルベック→ヤング、87分:ラファエウバレンシア

2列目にはルーニーも、週末にハットトリックの香川もいない。ウェルベックシャビ・アロンソに当てる。

■ユナイテッドの思惑通りだった前半

ユナイテッドの2列目は、なかなかのサプライズだった。ルーニーも先発させないとは、予想もつかなかった形。

ウェルベックのトップ下での起用は、守備を第一に考えたもの。

シャビ・アロンソを自由にさせず、マドリーに速い展開をさせないよう、良く走ってついていっていた。これによって、マドリーはシャビ・アロンソをあまり使えない状態での組み立てを余儀なくされることとなった。

攻撃においては、ウェルベックは周りを生かすタイプではないが、ユナイテッドはそもそも押し込んで攻める気はほとんどなかったから、大きな問題にはなっていない。

カウンターでスピードを生かしボールを運ぶことが主になっていたので、ウェルベックで正解だっただろう。

つまり、ユナイテッドのトップ下には、守備でシャビ・アロンソの番をすることと、カウンターとなった時は、ある程度独力でボールを持っていけることの2つが求められていた。

こうしたことから、ルーニー、香川を控えとしたことはある程度納得できる。

ルーニーでもできる仕事だったかもしれないとは思うが、マドリーが攻めあぐねることを予想し、スコアレスで後半に入ってからカウンターの鋭さを高めるために取っておいたとも考えられる。

サイドで起用したギグスをフルで使うことは考えていなかっただろうから、ギグスにはいけるところまで行ってもらって、ルーニーと替え、ウェルベックをサイドに出すなど、スコアレスのまま行ければ、ユナイテッドの2列目は色々と変更が利く。

右サイドのギグスは守備が第一。ロナウドについていったラファエウのスペースを埋めたり、自身がロナウドについていったりと、年齢を感じさせない献身的な働き。

左のナニは、どちらかといえばカウンター要員だろう。

第1戦にロナウドのケアをしていたフィル・ジョーンズピボーテにいないが、キャリッククレバリーは卒なく守備をこなしていて、バイタルのスペースを埋めていた。

こうしたやり方を取ったユナイテッドに対し、マドリーは完全に手詰まりに。

シャビ・アロンソは封じられているため、攻撃のスタートがセルヒオ・ラモスの持ち上がりになることが多かったが、大きなリスクを負うわけにはいかないため、センターライン付近でボールを離すことになり、マークをずらすことにはならなかった。

ボールの行き先は左サイドが中心。アルベロアと比べればずっと攻撃的なコエントランがいるので、どうしてもこちらに偏る。ロナウドに預けたい思いもあっただろう。

ユナイテッドはラファエウギグスの対応だが、ラファエウは第1戦に比べればずっと良かった。上述の通りギグスもしっかりスペースを埋めていたので、大きな穴はできなかった。

マドリーの問題は、バイタルエリアでボールをほとんど持てなかったこと。ユナイテッドの守備がしっかりしていたことはあるが、エジルがサイドでしかボールに触れず、中央で相手の脅威となれなかったことは残念。

シャビ・アロンソが封じられ、エジルもブロックの外側でしかボールを触れなかったことで、普段の状況に輪をかけて攻めあぐねる、非常に厳しい状態になってしまった。

今後対戦するクラブも、マドリーには迷わずボールを持たせてくるだろう。これだけ縦にボールが入らないと、サイドでの個人技を期待するしかなくなるが、レベルが高くなればなるほどその可能性は低くなる。

エジルには中央の狭いところでも効果的なプレーをできるように、一皮むけて欲しい。彼の位置で前を向けるか向けないかは、チームの攻撃の質を大きく左右することになる。

■ユナイテッド先制

前半、攻撃がさっぱり機能しなかったので、ディマリアの負傷は心配ではあるが、カカには期待していた。

ボールを運ぶ能力はディマリアが優るが、ある程度の位置までは持たせてくれていて、その先が課題だったから、カカとエジルの併用で、バイタルを使えれば。

と思っていたら、ユナイテッドが先制。

ラファエウがボールを持ち上がり、ウェルベックへのスルーパス。シュートのこぼれ球をファン・ペルシーが狙い、サイドに流れたところでバランがナニに奪われ、クロスがセルヒオ・ラモスオウンゴールを誘った。

まず、ラファエウにうまく持ち上がられたことで大きなチャンスを作られた。そして、守備が落ち着いていない状態で、バランがリスクのあるプレーを選択してしまい、残念な結果に。

マドリーはいずれにせよ2点が必要だったのだが、失点のしかたと時間帯がまずかった。

だが、ナニの退場で状況は一変する。

■数的優位に立って一気に

ナニの退場は56分。

30分以上残した時間帯で、マドリーは1人多い状況となった。

モウリーニョの動きは早く、59分にアルベロアを下げ、モドリッチを投入。ケディラサイドバックにしてモドリッチを中央に入れ、出しどころを増やした。

ユナイテッドはシャビ・アロンソについていたウェルベックをナニのサイドに動かし、ファン・ペルシーを残す4-4-1で守備に。

気になったのは、この時のユナイテッドの2列目の位置。ラインの間を狭めるのはセオリーとしても、マドリーの出し手をかなり高い位置まで進出させてくれ、シャビ・アロンソモドリッチ、カカ、エジルが高い位置でボールを多く触ることができることになった。

前半苦労した出し手に対するプレッシャーが一気になくなったことと、出し手が増えたことで、マドリーはゴールを脅かせるようになった。

同点ゴールは66分。

モドリッチが中央でディフェンダーをかわし、右に流れながらミドル。これがポストに当たって入る素晴らしいコースに決まった。

これも、中央でユナイテッド守備陣を押し込んでしまってのプレー。モドリッチのプレーする位置がエリア際に非常に近くなっていた。

勢いはそのままに、69分に逆転に成功する。

イグアインがエリア内で楔を受け、エジルとワンツー。右サイドからグラウンダーのクロスをあげ、これをロナウドがうまく流し込んだ。

ロナウドは古巣相手のゴールで、当然ながらゴールパフォーマンスはせず。

マドリーにとっては、ユナイテッドが一気に守備の位置を下げてくれたことでゴール付近でのプレーが多くなって楽になった。

それでも4分で逆転は出来すぎだろう。幸運をきちんとものにして、ユナイテッドに修正の時間を与えないままたたみかけ、大きなアウェイゴールでのリードを得た。

ユナイテッドから見れば、守備を改善できる交代はエバンスくらいだったのは痛かっただろう。中盤のメンバーはそのままに後退することになり、守備は難しくなった。結果として、フィル・ジョーンズのような選手が控えにも入れなかったことが大きなダメージになった。

ギグスルーニーに替えて運動量を維持し、攻撃能力でマドリーを牽制する策はあり得ただろうが、ギグスの前半のプレーが良かったので、替えづらかったかもしれない。

■逆転後の終盤

結局、ユナイテッドはビハインドを負ってからルーニー、ヤング、バレンシアを出場させることになった。

ルーニーが出てきたのが73分で、時間は残されていたが、マドリーは既にエジルを下げ、ペペを右サイドバックとして投入しており、バランスは戻っていた。

マドリーが危なかったのは、中盤が出て行って守備の人数が足りなくなることとセットプレー。

特にコーナーでは、ビディッチがことごとくバランに競り勝っていて、ディエゴ・ロペスが何度もチームを救ってくれていた。ディエゴ・ロペスを獲得しておいて良かったと思わずにいられない終盤だった。

バランは、ポジションの取り方や動き方を実戦で大いに勉強したことだろう。バルセロナ戦では得点もし、守備も安定した彼だが、まだい19歳。ビディッチとマッチアップし、何度も前に入りこまれたことは、今後に向けての大切なレッスンになった。

もちろん、勝ち抜けたからこそそう言えることだが。

カカとロナウドイグアインでのカウンターはとどめをさすには至らず。ユナイテッドに望みを繋ぐ1点を与えないよう、水際での守備を10分ほど続けて、合計スコア3-2で何とか勝ち抜けを決めた。

■もろもろ

ナニの退場については、結果として試合の行方を変えた判定となったため、議論となっている。

退場もあり得るような接触に”なってしまった”という場面だったので、ユナイテッドには厳しい判定だった。

判定には恵まれることもあれば恵まれないこともあり、マドリーはこの試合ではたまたま恵まれた、ということ。それを逃さずモドリッチの投入で一気に結果へ結びつけることが出来たことは忘れるべきではないだろう。

マドリーにとっては、前半の出来の悪さをどう改善していくかが、今後のトーナメントを勝ち抜く上で大きな課題。

シャビ・アロンソを封じられた時の次の手と、トップ下が高い位置の中央で仕事をできるようにすることの2つがポイントで、モドリッチやカカが鍵を握っているように思う。

シャビ・アロンソモドリッチの組み合わせは、守備を考えるとCLではなかなか難しいが、トップ下のポジションで彼らのどちらかが違いを作れれば。

幸い、リーガで試す時間はある。エジルを押しのけられるだけのものを彼らが見せてくれるかどうか、週末にテストするのも悪くないだろう。