久しぶりのインタビュー記事。
このところ一気に出場時間を増やし、19歳とは思えない落ち着いたプレーを随所に見せているバランのインタビューを。
2011年8月11日のレキップによるインタビューがアスに掲載されたもので、同年6月の移籍から2か月ほど時期のもの。
少し古いけれど、今最も将来が楽しみな選手なので、このタイミングで。
以下、記事訳。
・マドリーと契約するのと、経済学のバカロレア資格を得るのとでは、どちらが難しかったでしょう?
Varane(以下、V):(笑)多分、マドリーとの契約にサインするほうが複雑なことでしたよ、だって今年バカロレア資格を取った人より、このクラブとサインした人の方が少なかったでしょう?
・マドリーが契約に興味を持っていると最初に聞いたときはどんな反応をしましたか?
V:ワオ!ですね。どんな冒険なんだろうって。でも、これは真剣な話なんだろうか?どんなプロジェクトなんだろう?僕は、マドリーが自分についてどんな計画を持っているのか、好奇心を持ったんですよ。
・でも、ユナイテッドやPSGがあなたとの契約に一番近かったようですよね・・・
V:実際、マドリーでは全てがとても早く進んだんです。まず、ユナイテッドが大きな興味を持っていたことは本当です。でも、僕の頭の中では、結局パリかマドリーを選ばなければいけなかったんですよ。
・あなたにマドリーを選ばせたものはなんだったのでしょう?
V:選ぶのはかなり簡単なことでした。パリでは僕を欲しがってくれた監督はいなくて、新しいオーナーだけでしたから。もし、PSGの監督(当時はコンブアレ)が来ていて僕に「これが君のための私のプロジェクトなんだ。」と言っていたら・・・たぶん、僕はもっと考えたと思いますよ。カタールのオーナーがPSGに来て、状況は不透明になったんです。
・ジョゼ・モウリーニョはあなたとの契約に重要な役割を果たしたのでしょうか?
V:契約書にサインする前、監督に会うためにマドリーにきていたんですが、監督はシンプルに言いました。「マドリーに来るのはチームの一員になるためで、移籍させられるためじゃないぞ。」って。このことに関しては、僕にはとてもすっきりした言葉でした。それに実際、モウリーニョが僕にそういってくれた時、とても確かなものを感じたんですよ。
・フランスのリーグアンで23試合しかプレーしていないあなたにとって、マドリーは急すぎるステップかもしれないとは思いませんか?
V:ですが、僕はこういう状況が好きなんです。チャレンジすることが好きなんですよ。勝利するために、進歩するために励むのが好きなんです。こうしたプロジェクトがあって野心のある人物がいることで、前に進めるのなら、それを拒否することはできません。素晴らしい冒険になると思っています。
・チームにたくさんのスターがいること、チーム内の競争、メディアのプレッシャーもあります・・・
V:マドリーと契約することは、僕にとっての新しい人生を象徴するものだとわかっていましたが、怖くはありません。これは選手として、人間としての新しい挑戦ですから。
・マドリーに行くと決断した時は、マドリーの規模を意識していましたか?
V:たぶんそれほどはしていないです。バラハス空港に着いた時に誰かが「記者に築かれるだろうけど、心配するな。」って言ったんです。それで飛行機を降りてみたら、60か70人くらいの記者がいたんですよ。その時は自分に言い聞かせました、「OK、もうどこにいるかわかるだろ、僕はレアルマドリーにいるんだ。」って。
・ロナウド、カシージャス、ベンゼマの前に立った最初の練習ではどう感じましたか?
V:ピッチにいる時は、僕の前にいるのがバロンドーラーかどうか聞いたりはしません。時々、練習の時に彼らみんなが出来ていることを羨ましく思いますけど、感動はしませんでしたよ。
・あなたのことを新たなイエロだと既に言っているスペインの人々もいますよ。
V:僕のことを良く言ってくれるのは嬉しいですけれど、まだ早すぎますよ。想像してください、僕は18歳で、マドリーに来てレジェンドのイエロと比較されて、表紙を飾るんです・・・皆さんは僕のことを素晴らしい選手のように話してくれますが、僕はまだ何も成し遂げたわけではないんですから。でも、嘘はつきませんよ、嬉しいです(笑)
・今シーズンの目標はなんでしょう?
V:成長することに必死です。できるだけ多くの時間プレーしたいですが、急いではいません。先発だってできていませんから。まだ無理です、適応しなくては。
・しかし、中国へのツアー中は長くプレーしましたね・・・
V:プレーできることは僕にとってとても良いことです。親善試合だけですが、成長している感覚はありました。マドリーでプレーすることに適応するための第一は、率直に言って、マドリーではランスでと同じやり方でプレーしないということですからね・・・(笑)
・ジョゼ・モウリーニョには何か聞きましたか?
V:言葉の壁はありますが、ピッチで同僚とコミュニケーションをとる必要はありますし、出来ることを見せる必要がありますよね。それに、まずはボールの取り方と、最初のパスで違いを作ることについて聞きましたね。
・モウリーニョはあなたに対してどう振舞いますか?
V:実際のところ、イメージと同じですよ。とても父のような振る舞いです。ラモスやシャビ・アロンソ、カルバーリョのようなロッカールームのリーダーに対してもそうです。助けが欲しい時はそれがとても大事だと気づきますよ。
・ジダンとは何か話しましたか?
V:彼とは良く会います。どうやってチームに混じっていくかについてアドバイスをくれるんですよ、「シャイになっちゃダメだ。ランスから来たからって、引っ込み思案になっちゃいけない。」というふうに。
・キャリアを積む速さを見て、一か月以内には代表に呼ばれそうですね。
V:U-21の代表に行くだけです。そこで自分がどれだけ進歩できるか楽しみです。目標を達成できたら、A代表からも声がかかるかもしれません。それが1つの目標でもあるんです。
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チャレンジが好きで、困難なことの中で励み成長できることが好きという、前向きなメンタリティは素晴らしい。
ただ、言動もとても落ち着いているようなのはプレーと同様で、しっかりした人なんだな、という印象。
移籍当初は、将来に向けた投資なのだろうと思っていたが、出番を与えられた時にしっかり役割をこなせていたことで、一気に先発に割ってはいることになった。
ペペやセルヒオ・ラモスのように、強気さを前面に出していくディフェンダーはいるが、いつも冷静沈着に見える選手は、今のマドリーにはとても貴重だ。
ユナイテッド戦では、流れの中では速さと良いタックルを見せていたものの、セットプレーではビディッチに競り負け続けてしまったバラン。
こうした経験をすぐに糧にできる人物であり選手だと思うので、この課題も乗り越え、マドリーの最終ラインを仕切れる選手へと成長していってもらいたい。
そうなるのも、そう遠い未来のことではないだろう。