大会形式を取っているこのプレシーズンマッチ。マドリーは既にグループステージ敗退が決定しており、第3戦を迎えた。
■マドリーの先発メンバー
GK:カシージャス
DF:アルベロア、ペペ、セルヒオ・ラモス、ナチョ
FW:カルバハル、イスコ、ベイル
56分:シャビ・アロンソ→デ・トマス、74分:アルベロア→ロナウド
カルバハルが前線に入るといういかにもプレシーズンマッチな布陣。
■マンチェスターU.の先発メンバー
GK:デヘア
DF:キーン、フィル・ジョーンズ、エバンス
46分:エバンス→クレバリー、ヤング→ショー、エレーラ→ブラケット、61分:マタ→エルナンデス、ルーニー→香川、バレンシア→リンガード
復活を期するユナイテッド。プレミアの早い開幕に向け、マドリーよりは調整が早い。
■コンディションは徐々に
先日のローマ戦同様、コンディションはまずまずの印象。交代枠を2つしか使わず、トップ登録となるプレーヤーに長い時間を与えたことからも、90分プレーする準備が徐々に整ってきていることを見て取れる。
W杯がなかったプレーヤーの中では、特にベイルが状態の良さを見せてくれた。
マッチアップの相手が若手だったとはいえ、サイドでボールを受ければ1対1ではほとんど止められていなかった。PKを得た場面でも、中を確認しながら相手の前に出られる位置にボールを置いて体を入れており、タッチの感覚が良かった。
W杯出場組ではペペが頑張っていて、今シーズンも安心して最終ラインを任せられそうな雰囲気。その他にセンターバックはセルヒオ・ラモスとバランしかおらず、コンディションによっては人員不足になることも懸念されるポジションだが、序盤はその心配はなさそう。
12日に最初の公式戦であるセビージャとのスーパーカップがあるが、そこに向けて身体的なコンディションはしっかり上がってきている印象で、その点に不安はあまりない。
■イスコのフォワード起用は不安
一方で、センターフォワードの問題は大いに不安を残している。
この試合もイスコがこのポジションに入ったが、効果的にボールに絡むことができず。低い位置でボールに触ってリズムを作ることはできるのだが、高い位置で受けるプレーは回数が少なく、中盤から前にボールが進まない時間が長くなってしまっていた。
中央で形を作れないと、サイドへと逃げていかざるを得なくなる。
先程触れたようにベイルは個人で相手を制していたが、右サイドのカルバハルは不慣れなポジション。いくら攻撃的なサイドバックとはいえウイングで相手を突破するのは難しく、マドリーが形を作れたのは左サイドでベイルがスピードに乗った時がほとんど。
イスコは低い位置にいることが多いので、せっかくサイドを突破しても中央の人が足りないこともあった。
イスコの9番としての起用はこれまでのところ成果を見出せない状況だ。
昨シーズンもイスコのトップ起用は何度か見られた形で、これほど悪くはない試合もあったので、継続していけば徐々にこなれていくだろうという風にも考えられるが、どこまで我慢できるか。
取りこぼしを少なくしなければならないリーガで、攻め手が少なくなってしまうこの形を使って引き分け以下、というのは避けたいところ。今のところは、ベイルとロナウドの両翼になって、イスコがサイドをうまく使えるようになることを楽観的に待つしかないだろう。
■1勝したい
このように攻撃がうまくいかない状況で耐え忍ぶのは難しい。
ベイルのPKで一度は追いつくものの、マドリーはリズムが悪く、全体としてはユナイテッドのペース。この内容であれば3失点はやむなしといったところ。守備の問題というよりも、攻撃で形を作れずボールを失い続けた結果というべきだろう。
結果は二の次のプレシーズンマッチなので、敗北については気にする必要はない。コンディションが作れてきていることは確認できて
おり、それは良い材料だ。
ただ、結果を求められていないとは言っても、勝てない状況が続くと精神的には辛い。新シーズンになって、試合での成功体験が得られていない状況なので、自信をつけるためにもどこかで勝利を得たいところ。
スーパーカップまでにプレシーズンマッチはなく、これはいきなり臨むしかないが、16日のフィオレンティーナ戦は、とにかく勝っておきたい。