新年最初の試合からドタバタとなった。いきなりイレギュラーな状況になってしまい、内容について書くことは多くないが、要点を。
■マドリーの先発メンバー
GK:アダン
MF:ケディラ、シャビ・アロンソ;カジェホン、エジル、ロナウド
FW:ベンゼマ
6分:カジェホン→カシージャス、74分:ベンゼマ→イグアイン、85分:エジル→モドリッチ
アダンが再び先発。これについては別の記事を書きたい。
カルバーリョが久しぶりに最終ラインに帰って来た。若いバランとセンターバックのコンビ。
■レアル・ソシエダの先発メンバー
GK:ブラボ
DF:エストラーダ、ミケル・ゴンサレス、イニゴ・マルティネス、デ・ラ・ベージャ
MF:パルド、スルトゥサ;ベラ、シャビ・プリエト、グリースマン
FW:イフラン
58分:イフラン→カストロ、73分:スルトゥサ→エルストンド、83分:デ・ラ・ベージャ→ホセ・アンヘル
カルロス・ベラ、グリースマン、そしてクラブの顔と言って良いシャビ・プリエトと、2列目は実力ある選手が揃っている。
■アダン
2分にケディラのパスを受けたベンゼマが落ち着いてシュートを決め、先制に成功するも、6分にアダンがパスミス。カルバーリョへのパスがずれてベラに奪われ、飛び出したところファールを取られてPKと一発退場。
モウリーニョが言うように、ソシエダが高い位置からプレスに人数をかけていた場面で、アダンにボールを下げる選択をしたバランの判断は悪かった。ただでさえ連携には難がある構成なので、相手に当てて出すような、サイドに逃げるプレーが無難だっただろう。
それにしても、アダンのプレーはいただけない。
プレッシャーでパスがずれたのは、この布陣を狙ってプレスをかけたソシエダを褒めるべきだが、飛び出してあっさり足を出してしまうのはどうしようもない。
ゴールまでそれほど距離もなかったし、我慢してついていければ角度を悪くさせることもできたが、あっさりと後傾、足を投げ出すしかない姿勢になってしまった。
アダンのプレーを長く見てきたわけではないが、トップチームでの出場機会で安定したプレーを示してきたわけではないし、前節もそうだった。
経験の差の問題なら、出場機会を得られる場で場数を踏んだ方が良いが、カシージャスとの差は単にそれだけではないように思う。
■ケディラ
10人になったマドリーは、カジェホンを下げ、エジルを右に移した4-2-2-1に。フラットな4-4-1にするには両翼が攻撃的なので、3枚は攻撃に残すような形。
これで水を得たのがケディラ。
普段は前に3-1がいて中央は混雑気味だが、中央があいたこの形ならスペースはある。前線にボールが収まったら、中央に入ってくるのはまずはケディラだった。
得点はセットプレーの流れからだったが、その場面以外にもエリアへ侵入してボールを受ける場面が多数。彼は本来こういうスタイルの選手なのだと再認識させられる。
昨シーズン途中から、徐々に攻撃への参加の比重を高めていたが、当初の起用はあくまでも「シャビ・アロンソのための選手」。シャビ・アロンソのロングパスのために、3列目の守備を一手に担う役割だった。
身体能力は高いし、それでもそこそこ上手く行っていたのだが、持ち味は守備能力というより、広いエリアを与えてこそ輝くダイナミックなプレー。前後左右に走り回って攻守両面でボールに絡むようなスタイルが、彼には合っている。
だから、前方に混雑状態が出来にくいところでの起用、マドリーなら4-4-2はあまりないが、トリボーテで使うような形なら、八面六臂の活躍を期待できる。
もちろん、精度は高くない。ベンゼマのシュートのリバウンドにあわせ損なったような場面は、何度も見ることになるだろう。
だが、前線に加わって、ああいったタイミングにあの場所にいるということの意味は大きい。前線の4人だけがぐるぐる動くだけの状態から脱却するには、ケディラのような選手が重要だ。
■狙い通り
前半はケディラのゴールで突き放すが、ベラのシュートがシャビ・プリエトの前に落ち、きちんと決められ2-2の同点。跳ね返りはアンラッキーだったが、人がいるわりに、やることがぼやけたようなポジションの選手が多く、失点も当然。
後半は、ソシエダがボールを持って主導権を握る。
マドリーのチーム状態を考えれば、同点で終わることはできないし、統制なく出てくれば、うまく得点できるだろうという考え。攻撃も幅を広く取ってサイドを中心に攻める定石。
マドリーが良かったのは、ここで慌ててしまわなかったこと。
下手に高い位置でのボール奪取を狙わず、自陣で待ち受けて、タイミングがよければ速い攻めを狙う形が徹底できていた。
実際、前線のカウンターが得意な選手は残っていたのでこの形が良いのだが、どうもそれができないことが多い中、この状況でよくやったと言うべきだろう。
マドリーの勝ち越し点は68分。
自陣で網を張っていたところに入った縦パスをカルバーリョが前に出てカット。体勢を崩しながらもベンゼマに繋ぎ、ベンゼマもディフェンダーの当たりに耐える強さを見せて裏を狙うロナウドへ。素晴らしいボールが供給され、ロナウドはキーパーを良く見て決めるだけだった。
2本のパスでシュートに持っていく、10人らしい、そして今のマドリーらしい攻めで3-2。
流れに乗ったロナウドは直後のフリーキックも決めて3分で4-2に。
ロングシュートもいつもより当たっている感じだったが、ここでストライク。ブラボの予想よりも速く、そして落ちるボールで、反応は追いつかなかった。
このまま終えたいところだったが、その後、2点差になって守備が緩み、シャビ・プリエトにハットトリックを許したのは残念。
雰囲気としても、ロナウドのフリーキックの余韻のままで終わりたい試合だったが、そこまでは持たなかった。
いろいろなことが起こった試合を4-3で制し、何とか2013年の初戦を勝利で終えた。
■とにかく勝った
とにかく勝ったということは大きい。
勝てない、特にマドリーのような規模のクラブが勝てないというのは本当に辛いものだ。現状でも難しいCLなどへのアプローチが、さらに困難になってしまうところだった。
可能性がある大会がある限り、頂点を目指すために戦ってもらわなければならないし、そのためには、その大会以外の試合も、続いていくシーズンの中で軽視はできない。まして現状では、負ければ騒音はさらに激しくなるだろうから、落ち着いた状態で改めてスタートを切れたことは良かった。