負傷や出場停止のほか、今後を見据えた休養もあってメンバーが足りないラージョ戦。ともかく勝ちを得たいという試合。
■マドリーの先発メンバー
GK:ディエゴ・ロペス
DF:セルヒオ・ラモス、バラン、ペペ、コエントラン
FW:モラタ
27分:モラタ→アルビオル、68分:エジル→ディマリア、80分:カジェホン→カカ
モラタが先発。ピボーテは珍しい組み合わせ。
■ラージョの先発メンバー
GK:ルベン
DF:ティト、ガルベス、フィゲラス、カサード
MF:トラスオラス、ハビ・フエゴ;ラス・バングーラ、ドミンゲス、ピティ
FW:バプティスタン
64分:カサード→ホセ・カルロス、73分:トラスオラス→フランコ・バスケス、83分:ピティ→デリバシッチ
ELへの出場も目指せる位置にいるラージョ。少ない戦力を上手く生かしているよう。
■速攻しかない
マドリーは2列目だけは主力を揃えられた。
良いときのマドリーの攻めは、彼らとフォワードに早くボールを入れて、スペースがある状態で勝負をさせることが主体。
今朝は、彼らを下支えするピボーテはエッシェンとケディラで、前線へボール供給する能力は、通常よりずっと劣る。また、最前線は若きモラタ。彼に任せればボールが収まるという立場の選手ではなく、ボールの預けどころも難しい。
となれば、狙うは奪ってからの2列目を中心にした速攻。状況としてはこれしかない。相手によってやり方を変えず、積極的にプレーするラージョだが、しっかり守られればいつも以上に引き出しの少ないマドリーが苦労するだろうことは明らかだった。
その点、早い時間帯に攻撃を成功させて先制できたことは、非常に大きかった。ゴールしたのがモラタという点も嬉しい。レバンテ戦以来のゴールは彼に自信をつけることにもなるし、起用した選手が結果を残したことはチームとしても前向きになれる材料だ。
その後もマドリーは2列目を中心に速攻でラージョの守備陣を脅かしていた。
ボールの供給力は劣ると書いたが、スペースのある状態では、ケディラはうまくボールを散らしていけるようになっていた。彼の良いところは、出して終わりにならないところで、速い攻めに厚みを出しうる存在になっていた。
■セットプレーが成功
2点目は久しぶりのセットプレーからのゴール。右サイドからのエジルのフリーキックに、ニアでセルヒオ・ラモスが頭で合わせた。
ラージョの守りが薄いニアに、速いボールが入ったことと、セルヒオ・ラモスがディフェンスより前に入り、先に飛んでポジションを確保したことで勝負あり。
特に、こうした速いボールは、コーナーでもなかなか見られないもので、このタイプのボールが安定して入るようになれば、セットプレーの攻撃はかなり良くなると思うのだが。
■軽率なプレーを続けて
2点目を挙げたセルヒオ・ラモスは18分に2枚のイエローを受けて退場。
笛を吹きたがる傾向があった主審が裁く試合で、手を使った守備をし、クロスに不用意に手を上げるという、軽率なプレーを連続してしてしまった。
この後、マドリーは先制点のモラタを下げてアルビオルを入れた。
エッシェンが右サイドバックに入っており、大きな問題は起きていなかったのだが、中盤を削るよりは最前線を削るほうがリスクが少なく、先に手を打っておきたいということだろう。
先制点を挙げたモラタは、チーム事情により前半途中でピッチを去ることになってしまった。
■守りきる
この後、マドリーはボールを持たず、良く守っていた。4-2-3-0でブロックを作り、機があれば前線に人が入って少人数で速攻を仕掛ける形。
ペペにとっては、試合の中でコンディションを取り戻す良いトレーニングになっただろうし、ディエゴ・ロペスと最終ラインの連携という点でも、これ以上ない形で実戦練習をすることになった。
ディエゴ・ロペスとの連携について言えば、ごく初期にバックパスがずれるといった初歩的な問題があったことから考えればずっと良くなってきている。
このあたりの順応のスピードには、ディエゴ・ロペスがマドリー出身であることが作用しているように思われる。ユニットとして、落ち着いてプレーできていると言えるだろう。
その中でも、このところ出場機会を得ているバランが安定していることは特筆に値する。
身体能力は高いが、それだけではなくコースを限定して足を出すといった基本的なことを試合の中できちんと出来ている。ボールの出どころに対する読みも良いから、クリーンなタックルが多く、対人の強さを際立たせている。
■勝って得たもの
10人になって以降は守りきる形で、90分を無失点で終え、難しい状況の中勝ち点3を手にした。
とにかく選手が足りなかった状況で、できることをやって早々に得点できたことと、失点せず、最後まで凌げたことは、今後の試合に向けて、とても良い材料になる。
後半は、内容には乏しかったが、悪い時のマドリーではこの試合を勝ちで終えることも怪しかったことを考えれば、こうして勝ち点3をもぎ取ったことは、自信になるだろう。