レアルマドリードのある生活

レアルマドリードの応援日記。試合中心にお送りします。

ディエゴ・ロペスはミランへ

ディエゴ・ロペスがミランに完全移籍することが8月13日、マドリーとミランの両クラブから発表された。

ミランとは4年契約を結ぶこととなった。移籍金はなしとなり、マドリーは彼の貢献と今回の移籍の経緯から、マドリーとの契約で残っていた年俸を支払う形を取ったと報じられている。

カシージャスの負傷を受けて、セビージャから昨年の1月に緊急補強した時は、これほどレベルが高いプレーヤーになっているとは考えもしていなかった。カンテラーノとして当初在籍していた頃はそれほどのインパクトはなかったし、ビジャレアルで実績を積んだとはいえ、補強時にはセビージャで確固たる地位を築いていたとは言いがたかったからだ。

それでも復帰後は堅実なプレーぶりで評価を得、マドリーで出場時間を増やしていった。CLユナイテッド戦は彼の帰還後のハイライトと言っていい試合だろう。

彼にとって不幸だったのは、同い年であるカシージャスとのポジション争いが、プレーのみではなくあらゆる方面からの騒動になってしまったこと。プレーの内容としては一長一短で優劣をつけがたい中、ピッチの外の話題でも何かと比較されるようになり、とてもプレーしづらい環境になってしまった。

どちらかが移籍しなければこの騒動に終わりはなかっただろう。そして、カピタンであるカシージャスを残し、ディエゴ・ロペスはマドリーを離れることになった。

チームのマネージメントしてはこの選択に賛成だ。

プレーレベルは落ちてきているとはいえ、カピタンはそれだけで移籍させられるべき立場ではない。もちろんただ残れるということではなく、カピタンとしての重い役割は担っていくことになるのだが、だからこそ、そうした立場のプレーヤーはそれなりに扱われなければならない。前任のラウールの際はモウリーニョ就任という変化の時だったが、アンチェロッティが続投する状況でカピタンを変えるという選択は難しい。

カシージャスのピッチ上の立場を下げていき、ベテランとして徐々にベンチに下がっていく引導を渡す役割は、やってきたケイラー・ナバスに担ってもらい、カピタンとして少しずつ第一線から退いていくことが望ましいだろう。

だからと言って、今回のディエゴ・ロペスの移籍がマドリディスタにとって幸せなものかというとそうではない。

チームの苦境に際して帰還し成長した姿を見せてくれたディエゴ・ロペスとカシージャスとのどちらかを選択しなければならない、などという選択は心情として余りにも苦しい。

抵抗して居残ることもできたし、本人も言いたいことはあるだろうが、感謝だけを述べてオファーを受け入れ去っていく。何か言えば去り際にまたメディアを騒がせてしまうことも考えてのことだろう。最後までクラブのために振舞ってくれる態度は模範的だ。だが、だからこそ切ない。

クラブに貢献してくれたプレーヤーであればあるほど、見る側として感情が揺さぶられる。クラブを愛してくれる人々皆に残ってほしいと思う。だが、チームのために誰かを残し、誰かを移籍させなければならないのは当然のこと。その選択には感情が関与してはならない。冷徹に判断しなければならない。

それならば、マドリーで戦った誇りを持って、移籍する先で輝いてくれることを祈りたい。

ディエゴ・ロペスのミランでの大きな成功を祈っている。