開幕からアノエタ。いきなり難しいアウェイでの試合となった。
■マドリーの先発メンバー
GK:カシージャ
DF:カルバハル、バラン、セルヒオ・ラモス、マルセロ
MF:カゼミロ;コバチッチ、クロース
FW:ベイル、モラタ、アセンシオ
66分:アセンシオ→ルーカス・バスケス、73分:クロース→イスコ、77分:モラタ→ハメス・ロドリゲス
モドリッチの代役は同郷のコバチッチに。アセンシオは左サイドで先発の座を射止めた。
■レアル・ソシエダの先発メンバー
GK:ルジ
DF:サルドゥア、ミケル・ゴンサレス、イニゴ・マルティネス、ユーリ
MF:イジャラメンディ、マルケル;コンチャ、オヤルサバル、スルトゥサ
FW:フアンミ
56分:コンチャ→ウィリアン・ジョゼ、72分:フアンミ→シャビ・プリエト、79分:ミケル・ゴンサレス→カルロス・ベラ
イジャラメンディは先発。そのほかにもグラネロ、カナレスとマドリーと縁のあるプレーヤーが所属している。
■メンバーは変わるも、落ち着いたプレー
マドリーは立ち上がりに先制することに成功。
2分、セルヒオ・ラモスからのサイドチェンジをフリーで受けたカルバハルのクロスが中央のベイルにぴたりと合い、ヘディングシュートがゴール右に決まった。
サイドチェンジとそれを受けるトラップ、クロス、シュートとどれも最高の精度。アウェイでしかも開始早々ということもあって、あまり盛り上がりもなかったが、素晴らしい技術の連続によるゴールだった。
マドリーの形はお馴染みの4-1-2-3。カゼミロを底に置いて、インテリオールにコバチッチとクロースが入った。
出場停止のモドリッチと負傷で招集外となったロナウドの代役をどうするかが注目点だったが、開幕節にしてコバチッチとアセンシオが抜擢された。昨シーズンならば、インテリオールにはイスコ、前線ではルーカス・バスケスかハメスをまず使うところ、ジダンはいきなり変化をつけてきた。
代表戦の疲労も考慮しなければならないとはいえ、負傷者を除けばベストの11人を並べられる第1節において、イスコ、ハメス、ルーカス・バスケスといった面々を差し置いてコバチッチとアセンシオが先発した意味は非常に大きい。
今現在の序列は彼らが上とジダンが表明したとも取れるこの起用で、ポジション争いは激しくなるだろう。大きな移籍は今のところないままだが、それでも競争が起こせるのは今後のチームにとって重要。
これからの数節、どういった起用があるのか楽しみだ。
■アセンシオ、コバチッチ、モラタ
そのアセンシオとコバチッチは、先制したこともあり落ち着いたプレー。
コバチッチは中盤で昨シーズンよりも安定しているように見え、パスを捌くのも前を向いてのプレーも安定していた。
アセンシオは縦に出て行く意識が良かった。純粋なウイングというタイプではないが、イスコやハメスより速さがあり、サイドでのプレーに問題はない。球離れも良く、周囲とうまく絡んで攻撃に参加できていた。
アセンシオは40分に追加点も挙げた。
最終ラインがばらついたところでバランからのロングフィードを受け、きれいなトラップでルジと1対1に。左足でループシュートを決めた。
ゴールはなくても彼の価値は見て取れるが、スーパーカップに続き目に見える形で結果を出したことは彼のキャリアを変えるものになるだろう。いきなりの先発抜擢でも落ち着いてプレーし、美しいゴールも挙げたとなれば、マドリディスタは彼を強く後押ししそう。
チームとしての形は、4-1-2-3から守備時に4-1-4-1に変形するお馴染みのもの。
ベイルとアセンシオが中盤の両サイドに入り、モラタが前線に残る。ベイルが後方との距離感を細かく確認していたのが象徴的で、しっかり戻ってブロックを作る意識が徹底されていた。
また、奪われてからのプレスの初動が速く、攻撃を作る時間を削いでいたことも印象が良かった。
先制以降、守備面でチームとして機能し、ラ・レアルにほとんど良い形を作らせていなかった。
攻撃面ではモラタが今シーズンここまでで一番の存在感。
前線でポストに入ってつぶれる役をこなしつつ、サイドに流れて展開を作ることも。マドリーがポゼッションで圧倒するような展開にならなかった分、ディフェンスを背負って受けてくれるモラタのプレーはチームを大いに助けた。
彼の働きによって、中盤やサイドのプレーヤーがかなり楽にプレーすることができていた。
■問題も
マドリーに隙がなかったわけではない。
守備への切り替え時にプレスに出て行くことが多かったことから、繋がれると一気にエリア付近まで撤退せざるを得なくなる。特に後半、サイドで丁寧に蓋をできず、良い形を作られることが何度かあった。
また、低い位置での繋ぎも安定せず。奪った後に蹴り出さないのは良いにしても、その精度が低くなると返って危ない。良い形でボールを献上してしまう場面があって、バタバタと守る破目になってしまっていた。
ただ、最後のところは良く集中していたし、前述の通りチーム全体としての守備意識そのものは悪くなかったので、ギリギリの場面はありながらも受けたシュートは8本、枠内シュートなしに抑えた。
ラ・レアルから見れば、イジャラメンディが抜け出した場面やオヤルサバルがカシージャと1対1になりかけた場面があり、何とかしたかったところ。彼らには少し運がなく、マドリーにはそれがあったという印象だった。
■ベンチの充実
マドリーはアセンシオに替えてルーカス・バスケス、クロースをイスコ、モラタをハメスに順次交代。
主力を欠いてもこの交代が出来ることがすごい。
途中出場となった面々はそれぞれ良いところを出していた。
ルーカス・バスケスはサイドで攻守にしっかり走ってくれ、イスコは中盤のアクセントに、ハメスは昨シーズンの不振を吹き飛ばすべく、高い位置で受け方を工夫していた。
アセンシオやコバチッチのプレーは彼らに奮起を促すものになっただろう。リードを得ており、出場時間もそれほど長いものではなかったが、だれる様子は全くなかった。
最後はフリーキックを素早くリスタートし、ハメスがベイルにスルーパス。広大なスペースでフリーになったベイルがルジをかわし、左足で決めて3-0とし、試合終了。
難しいスタジアムで主力を欠いての開幕という不安要素など忘れさせるようなプレー。チームとしても個々のプレーヤーとしても良いところを多く出すことができた試合となった。
■最後に
モラタに得点を取らせてあげたかったのが数少ない残念な点。献身的だったし、良い場面も迎えていただけに、はっきりした成果を付けられればなお良かった。
それでも、マルカでもチームトップの3点がついており、彼の前線での頑張りは認められている。ユベントス以前とは違い、相手にとって嫌なプレーができるようになっていて頼もしい。しばらくは彼に頼ることが多いだろう。今後もこの試合同様のプレーをつづけていって欲しい。
守備面での集中は素晴らしかったが、気になるのはカゼミロのところ。
彼自身のプレーに文句の付けようなどないが、そうであるがゆえに控えがいないことの不安が高まる。彼ほど広いスペースをカバーしボールを奪ってくれるプレーヤーがいなく場合、バランスの再構築はかなり難しくなるだろう。
まだ移籍期間中であるので、このポジションは手をいれるべきだ。
今シーズンはどのような試合が待っているだろうか。今後を楽しみにできる結果と内容でマドリーは初戦をものにした。
次節はセルタをホームに迎える。