豪雨の中での試合で観客も少なめ。これほどの雨は珍しい。
■マドリーの先発メンバー
GK:ケイラー・ナバス
MF:ルーカス・バスケス、コバチッチ、モドリッチ、ハメス・ロドリゲス
72分:セルヒオ・ラモス→マルセロ、ハメス・ロドリゲス→アセンシオ、81分:コバチッチ→イスコ
ダニーロが先発。マルセロはベンチとなり、ナチョが左サイドバックに入った。
■スポルティング・ヒホンの先発メンバー
GK:マリーニョ
DF:ドウグラス、アモレビエタ、リージョ、メレ、イスマ・ロペス
MF:ラシッド、セルヒオ・アルバレス;カルモナ、モイ・ゴメス
FW:チョプ
76分:カルモナ→ビゲラ、80分モイ・ゴメス→ビクトル・ロドリゲス、82分:ラシッド→カセス
アウェイで未勝利、獲得勝ち点2と苦しいヒホン。
■せっかくのリードも・・・
雨はやむことなく、逆に時間経過とともに強くなっていった。
この天候の中で、トラップやパスが乱れないのはさすが。ヒホンも低い位置から何度も繋いでいて素晴らしい。下位のクラブでも平気でこういう繋ぎをするところがリーガの技術の高さ。
5分にルーカス・バスケスがペナルティを得て、ロナウドが決めて先制。
エリア内で仕掛けられたことで、ペナルティを生んだ。時間が経てば得点はより遠くなりそうな試合で、幸運な先制点をもらった。
更に18分、左サイドバックのナチョのクロスにロナウドが頭で合わせ追加点。
ロナウドのニアに入っていくと見せかけてファーに逃げる動きが見事。それに合わせたナチョのクロスの精度は素晴らしかった。
早い時間に2点を挙げて、大量得点もあるかと思ったが、そうはならず。
ヒホンは3バックとウイングバックの5枚、その前に4枚を並べて守るので、スペースと時間は限定される。雨中でそれを突破していけるだけの精度でボールを動かすのは難しい。
こういうところで、ベンゼマのボールを収める技術が発揮されれば良かったが、試合を通じて存在感がなかった。ボールに触る回数が少なく、降りていくプレーもロナウドの方が目立つようでは、コンディション自体まだまだ上がっていないのかと思わざるを得ない。
バイタルで受けてくれることもなく、組み立てに参加することもなければ、彼のピッチでの真価は発揮されない。技術的に難しい試合でこそ、彼のプレーに価値が出てくるのだが、何事もなく消えてしまって残念だった。
また、挽回を期すハメスもサイドでぱっとせず。彼もまた技術の高さを見せてほしいプレーヤーながら、そうした位置でのプレー自体が少なかった。最低限の仕事はしたと言え、その点については一定の評価をしたいと思うが、彼はそれを裁定ラインとし、攻撃面でのプラスアルファを期待したいプレーヤー。
本職の中央でのポジション争いが厳しいのは気の毒。サイドで何かを見せるしかない。
序盤に2失点したヒホンも反撃。
35分、左サイドからのイスマ・ロペスのアーリークロスに対し、カルモナが飛び込みシュート。ゴールまでの距離はあったが、うまく角度をつけたボールがファーに決まった。
攻撃は停滞、守備も失点し不安を残しつつ、序盤のリードを守った前半。
リードを得ているので、まずは守備を整えたいところ。ただ、アピールしたいであろうハメスもいて、2トップも前残りしがちと、枚数に問題は抱えていた。
■危うい後半
後半はヒホンが攻勢に出る。
マドリーは得意のカウンターに繋げるべく、守って縦へという意図は見えた。しかしながら、キーとなるパスが通らず、次第に自陣に押し込まれるように。頼みの綱はコバチッチの持ち上がりだけになってしまった。
ここでコバチッチが頼れる、ということが彼の進歩を示しているとも言える。守備でも奮闘、攻撃では前線まで出て行くという、仕事の幅が素晴らしい。
ディマリアを思い出させるような雰囲気、と言うのは早過ぎるかもしれないが、中盤を支えてくれる重要な存在となっている。
マドリーは72分にドブレカンビオ。
カードをもらうと次節バルセロナ戦が出場停止となるセルヒオ・ラモスを下げてマルセロをいれ、ナチョをセントラルに、目立てなかったハメスはここで時間切れでアセンシオと交代。
これで落ち着き、追加点は難しいにしても逃げ切れるかと思いきや、76分にペナルティ。タイミングとしては最悪。流れを失っているし、先を見据えた交代をした直後で、ここから盛り返すのは精神的にも困難になる。勝ちは遠のくか、と思われた。
が、チョプがキックミス。ナバスの逆に蹴ったものの、ボールはバーの上へ。命拾いした。
せっかくの相手のミスを生かして、少なくともリズムは取り戻して落ち着いて試合を終わらせるべき時間帯になったが、この日は最後までバタバタ。ヒホンのプレーがマドリーを上回り、跳ね返して凌ぐだけになってしまった。
幸いゴールは許さなかったものの、戦い方としては残念。ここで2点差に出来るのが本来のマドリーなのに、最後までわからない試合をして苦しんだ。
奮闘したコバチッチをイスコに代えたため、復帰してきていたカゼミロを試すことも出来ず。もったいない試合運びだった。
■最後に
勝ったのが不思議なほどの出来。ヒホンは勝ち点に値したが、報われず。チョプのペナルティは雨によるスリップもなかったようで、マドリーにとっては幸運以外の何者でもなかった。
前向きに考えれば、バルセロナ戦前に勝ったとはいえ反省点の多い試合をした方が、浮き足立たなくていいかもしれない。
バルセロナはアノエタでラ・レアルに引き分けて勝ち点差は6となっており、マドリーが優位との観測もあるが、そうした時こそ注意が必要である。
勝てるだろうと思って臨むほど危険なものはない。この試合で釘を刺されたと受け止めたい。
ミッドウィークはコパ。クルトゥラル・レオネサ戦がある。第1戦は大勝しており、無理は必要ない。コンディションを重視したメンバー構成で臨んでほしい。