内容的には勝ち点1。それでもアウェイで3拾って帰ってこられることが状態の良さを表している。
■マドリーの先発メンバー
GK:クルトワ
DF:ナチョ、バラン、セルヒオ・ラモス、メンディ
MF:カゼミロ;モドリッチ、クロース
73分:イスコ→ルーカス・バスケス、88分:モドリッチ→バルベルデ、89分:ロドリゴ→ヨビッチ
右サイドバックは順当にナチョ。メンディも先発となった。
前線にはイスコ。
■バジャドリーの先発メンバー
GK:マシップ
DF:アントニート、キコ・オリーバス、サリス、ラウール・ガルシア
MF:サン・エメテリオ、ホアキン・フェルナンデス、ミチェル、アルカラス
FW:セルジ・グアルディオラ、ウナル
58分:ミチェル→トニ・ビジャ、76分:ウナル→オスカル・プラーノ、81分:サン・エメテリオ→デラフエンテ
下位にいるが、ここまでホームで6失点は上位並み。その分、得点も10と少ない。
■バジャドリーの狙い通り
バジャドリーは4-4のブロックが強固だった。
その外側でボールを動かすマドリーは、彼らと中盤の主導権争いをせざるを得ないこととに。前線にボールが運べないのでベンゼマも下りてきて、ようやく中盤から前に進んだ時には最前線に人がいない状態を強いられることとなってしまった。
マドリー側にもそうなる要因があった。
第一に、前線の組み合わせ。
ビニシウスやアザールがいれば相手を下げさせるプレーができるのだが、ライン後方への脅威がないとばれてしまっていた。
ベンゼマは下りてボールを触りたい、イスコは中央に絞りたい、ロドリゴは一人でボールを運んだり裏抜けしたりせず、バジャドリーのラインを下げられないということで、彼らの守備が一番厳しいところで真正面からやり合う格好に。
さすがに力負けはしないものの、ここにエネルギーを多く使っていてはその先はより苦しくなる。
第二に、サイドバック。
当初ナチョとイスコが並んだ右サイドは顕著で、イスコは中に絞っていて、ナチョは上がらないから、何も生み出すことができていなかった。
前半の早いうちにロドリゴとイスコが入れ替わったことで多少ましにはなったものの、ロドリゴも単独でサイド突破するタイプではない。普段ならすぐにカルバハルのサポートが受けられているのに、ナチョがしばしばかなり後方に位置していて、数的不利でどうしようもないといった場面が散見された。
左のメンディは大外をよく走っていたが、駆け上がってもクロスのターゲットがいないからその後は遅攻に。どうせ中央に人を多く投入するのであればマルセロも入って混乱させてしまった方が良かったかもしれない。
ナチョとメンディで守備は問題ないレベルを保てたのは確かだ。これは控えとしては十分な働きで、そこは評価したい。
その一方で、幅広くピッチを使う攻撃のために、サイドバックの攻撃関与を前提にしていることから、それが機能しないと狭いところでプレーすることになってしまうのだった。
前半はバジャドリーがシュート1本で、マドリーも2本。
両方ともカゼミロで1つはミドルだから、本数、場所ともにゴールに迫れなかったことを如実に表している。
ロースコアの試合はバジャドリーの狙い通りであったことだろう。
■またも守備により修正
ボールを持って攻めるのがうまくいかなかったので、後半は前から守備で圧力をかけることに。
早いタイミングで寄せるようになって、バジャドリーを押し込みようやくゴール前でのプレー機会を増やせるようになった。
押し込んでも単純なクロスはほぼなく、狭いスペースを狙うので効果的に打開はできていなかったものの、前半はそこまでたどり着くこともできていなかったのだから、そこからは一歩前進。
バルベルデがいないと、プレスを始める役割を担うプレーヤーが明確にならないのだが、途中から修正はできている。
このところ、このように後半になってからの修正でカバーする試合が多い。ジダンの修正能力の高さと言えよう。
裏を返すと、うまく試合に入れないことが続いているということでもある。うまくいかない時の問題点は明らかだから、途中からではなく最初から自分たちの長所を出せるようになればなお良い。
いったん相手の土俵に乗ってからでは、そのまま押し切られてしまう恐れが消えない。最初から自分たちのやり方を相手に強いるような試合を作れればと思う。
狭いスペースで苦労していたので、イスコを下げてルーカス・バスケス。
仕掛ける能力は高くないが、一番外で待って相手を引き付けることはできる。これが結果的に唯一の得点へとつながった。
得点は78分、コーナーにナチョが合わせたものだが、そのコーナーを得る前の流れで、バスケスは右サイドの一番外で2回サイドチェンジのボールを受けている。
反対サイドでボールを待ち続けることはイスコではできない。序列通りの交代が良い作用をもたらした。
ビハインドとなったバジャドリーは残り10分余りで攻勢に出てきた。
守備でかなり消耗したかと思っていたので、最後の時間帯で前に出てこられたのには驚いた。中盤で優位に立てると判断したら、もっと早いタイミングでこうした変化もあったのかもしれない。速い攻めはホームで得点の少ないチームには見えなかった。
マドリーは短い時間ながらバルベルデを使って逃げ切り。
セットプレーからの1点を守り切って、単独首位に立った。
■最後に
うまくいかなくても勝つ。いかにもジダンのチームらしい。
前述の通り、途中からの修正ではなく、最初からペースを握る試合ができればもっと良いのだが、コンディション調整が難しい1月に、うまく結果を出し続けていることは高く評価できる。
得点したのがナチョというのも良い。
前回のジダン期でも、基本は少数精鋭でありつつ、モラタやコバチッチといった控えの活躍で勝ちを拾うことができていた。それに似た状況である。
楽観するにはまだまだ早いが、今の雰囲気を維持して進んでいければと思えるのはありがたい。
ミッドウィークにはコパデルレイがあり、サラゴサとアウェイで対戦。
週末にはベルナベウでのアトレティコ戦が控えている。